不登校でもネットで勉強できるよ!
我が家の娘が、9月の新学期から学校に行くのをやめました。
いわゆる「不登校」ということです。
結論から言いますと、今回の投稿は、「別に学校行かなくても、勉強もできるし10代の青春を謳歌できるよ」という話です。
勉強は、元々リクルートのスタディサプリに入会して使っていたので(今までは、まじめに使ってませんでしたが!)それを使えば、全然いいんじゃないの?と言う話です。
↓これです。
これで全部です。あとはなぜそうなったか、というお話なので、興味のない方はここで終わって下さい。
公立中学に入学に至るまで
娘はこの4月に家のすぐ近くにある公立の中学校に入学しました。
制服も採寸し新調して、入学式にも夫婦で出席しました。
娘はこの学校が学区の中学校なので、受験をしなければ自動的にこの学校に入学することになっていました。
しかし彼女は小学校のかなり早い時期から「絶対にこの中学校に行きたくない」と主張していました。
相応の事情はあるのですが、それはまた別の話で。
ともあれそういうことなので、4年生くらいから中学受験をはじめました。
勉強ができる子ではないので、なかなか苦戦していました。
塾も3つも変えてみました。
ある科目は、本当に私の子かというぐらい、飛びぬけて高い偏差値をマークするのですが、苦手な成績はとんでもない偏差値を見せます。マンガみたいな成績表。で、結局おしなべると、思ったような成績に達しません。
これは随分まずいなぁ、と思いながらも、受験勉強まっしぐらですし、志望校の説明会にも私と娘で参加したりしてますし、いろんな塾の実施するオープン模試なんかにも、私が朝から彼女の送り迎えをやっていました。つまり我が家では、この動きはもう止められない既定路線となっていました。
また、これに加えて、彼女の通う学校はたった2クラス80人弱しかいないのに、生徒の9割強が中学受験するので、受験しない方が少数派だったのです。
加えて、彼らが受験する学校はみなランキング上位校が多いのです。学校名は割愛しますが、つまりは塾の広告によくでる例のような学校です。
その小学校は区立小学校なので、うちの娘は受験しないで入学したわけですが、そうとは知らずに入学してみると、みんな学力が高かったのです。近くにあるから入っただけなのに。
まぁ、そんなプレッシャーの中で、うちの娘は都立の中高一貫校という難関校を目指して受験勉強にはげんでいました。
都立の中高一貫校は、問題がなかなか難解で、一般的な私立の「詰込み型」というと不正確ですが、暗記が主軸となっているような試験ではありません。なので、勉強も特殊です。
5年生くらいになると、受験も本格化してきます。
ところが、受験が本格化するにつれて、家で私や妻が塾の宿題を手伝っているときに、娘の体に力が入らない、集中力が続かない、といった症状が出てきました。
しまいには、鉛筆も握れないので、隣で勉強を見ている私に「鉛筆持って」という始末。
受験会場で親が鉛筆持ってあげるわけにもいかないので、「そんなことでどうする」的な態度で厳しく指導したのですが、この脱力症状は悪化するばかり。
そしてとうとう運命の夜を迎えることになりました。
息ができない!!
6年生になったばかりの春の日の夜中2時ごろ、家族4人で寝ている寝室で(今は娘に部屋を与えましたので3人で寝てますが)、彼女がうめきごえをあげながら起き上がり、手を宙に伸ばし、苦しみもがいています。異変に気付いた夫婦二人して「どうしたの」「大丈夫」などと声がけしますが、電気をつけて彼女の様子を見ると。どうやら呼吸困難に陥っているようです。
抱きしめて、背中をさすりったり、叩いたりしても呼吸ができません。ここで死なせるわけにはいかないと、必死の介抱を数分繰り返した結果、大変運がいいことに、やっと呼吸ができるようになりました。
とりあえず夫婦ともにびくびくしながらも、朝を迎えました。私はほとんど寝ずに(もともと睡眠障害なので、こんなことがあると薬を飲んでもどうせ寝れません)、色々これまで数年のことを反芻してはああでもない、こうでもない、と考えながら朝を迎えました。
娘はその区立中学校に行きたくないので、別の学校を受験したい。妻もできれば娘に合った中学校に行かせたい。私も本人が嫌がる学校には行かせたくない。ということで、このままでは3人の誰もこの状況を解決できません。完全スタック状態です。
しかし、この事件のあった翌朝、私は、娘と妻をリビングに集め、
「もう受験はやめだ。君はもう無理だ。誰も言えないからパパが命令しよう。将来悔やんだら、全部パパのせいにしろ。君は来年から近くの区立中学に行きなさい。嫌いなのはわかってるがしょうがない、命と引き換えにはできん。嫌になったら行かなきゃいい。それで決定だ」
と宣言しました。
公立校に入学。しかし登校が難しくなる
ということで、受験をやめた娘は、今年2019年の4月の入学式に至ったわけです。
しかしというか、当然というか、そもそも大嫌いな中学なので、4月当初から、朝から頭痛、腹痛、吐き気が、順番にまたは同時に起こり、小学生のころからあった「起立性障害」的症状が悪化し、とにかく朝から学校にいけない感じとなりました。
それでも、夫婦二人して、叱咤激励し、とにかく学校には通わせていました。
調子のよい日は、玄関で夫婦そろって「いってらっしゃい」の声に、全くこちらを振り返ることもなく、扉を閉めて出かけていきます。
※不登校になってから言われたのですが、「振り向くと学校に行けなくなるから、振り向かなかった」とのこと
調子の悪い日は、朝ごはんの段階から、涙を流し、体に力が入らず、着替えも遅く、なんとか遅刻を回避できる時間に送りだそうと、玄関で夫婦二人で「いってらっしゃい」と声をかけるときには、すでに涙がポロポロと零れ落ちており、「行きたくないよぉ」と訴えます。
こちらも、そうは言われても、「頑張れ。どうしでもダメなら、保健室に行け。それでもだめなら、即刻帰宅しろ。それでも通学実績になるんだから、行き癖がつくだろう。な、頑張れ。応援してるぞ」といって送り出します。
とはいえ、どうしても身体的/心理的に無理な日もあり、朝から全くどうにもならない日もありましたので、そういった日はさすがに休ませました。なので、毎月2~4回は病欠ということになりました。
あっちが痛いこっちが痛い、全部痛いといった訴えがあるので、大変困っていたのですが、腹痛はともかく、中でも頭痛がかなりひどいらしいので、専門の頭痛外来にも連れていきました。
即日医者から、MRIを取ってくださいと言われたので、当日そのまま指定された病院にあわてて向い、MRIをとりました。
もらったCDをもって、別の日にその頭痛外来に行って診てもらうと、特に脳に異常はないということでした。まずは一安心しました。
ちょっと待て、そうなると、なぜこんなにもひどい頭痛が頻発するのだ?ということになります。
まぁ、事ここに至るや、これは学校に行きたくないことが主たる原因に違いないということは、誰が考えてもわかります。
なにしろ、学校がない日は、朝もなんとか起きられますし、頭痛の程度も軽いのです。
という状況で、7月に夏休みを迎えます。
ちょっと残念な夏休み
娘は中学に入る前の春休みにやっと与えられたスマホで、小学校の頃の大の仲良しの4人組だか5人組だかとラインでお話に夢中です。彼らはみな、早実、慶応といった、高偏差値中学に通っています。
彼らはとても楽しそうに青春を謳歌しているようで、早実と慶応の子が、早慶野球(中学)の応援に、二人仲良く出かけで言ったところ、どちらかだかの中学の先輩に見とがめられて叱られた、などといった、なにやら「あぁ、青春」な日々を過ごしている模様。
そんな楽し気な生活を見たり、実際にラインで話し合ったりしてると辛くならないのかと聞いたところ、「大好きな友達が楽しい生活を送っているのは、私の誇りなので、むしろ励みになるよ」とのこと。
まぁ、そういえばそういう気もするが、親としては微妙な気分です。君がいいならいいけど。
また、そのうちの女子の友達とは、実際に夏休みにお祭りに浴衣を着て一緒に出掛けたり、近くのショッピングモールで、ひがな一日あれやこれやを話したり、一緒にお昼を食べたりと言う付き合いが続いているので、それはとてもありがたい話です。
とはいえ、その子にはその子なりに学校で新たな友達もできるでしょうし、うちの娘がその子にかなり依存していて「好き好き大好き」なので、そのあたりはとても心配しています。
で、8月前半まで、家族旅行をしたり、妻の実家に長居して、従弟と遊んだり、プールに行って一日過ごしたりして、映画見たり、バス旅行したり、なんとか楽し気に過ごしていました。
実際は、家族イベントを楽しみながらも、9月からの二学期のことを考えない瞬間はひと時もなかったようで、とてもかわいそうな夏休みでした。
無論、我々両親も同じ気持ちでした。
夏休みが終わる!どうする?
そろそろ夏休み明けも見えてきた8月中盤、娘の口から「あぁ、学校やだなぁ」「このまま時間が止まればいいのになぁ」「二学期はじまるなぁ」などといった言葉が出るようになってきました。しまいには、「今、地球がなくなればいいなぁ」などと不穏当なことまでいう始末。
あまりの頻度に、これは本格的に腰を据えて話をしなければと思い、私が彼女の部屋に行き「9月から本当にどうする?」といった話をしました。前から、学校にいかないとだめ?などと何度か言われ、軽い話としては何度かしてたのですが、もうぬるい話をしている場合ではなくなりました。
「本当に行きたくないなら、パパは行かなくてもいいと思ってる。でも、そうなるとパパもママも納得できる理由がなければならんし、学校にもちゃんと理路整然とした理由を説明する義務がある」
「今まで、『私、パパやママには言ってないこといっぱいあるんだよ。でも絶対いわない。言うとパパ、学校に行って暴れるから』なんて言ってたけどさ、暴れないからちゃんと説明して」と私。
「わかった」とか細い声で答えた娘を、そのままリビングに連れていき、娘と私と妻の3人での話し合いが始まりました。
とはいえ、まずは、彼女が学校に行きたくない理由の説明から聞く必要があります。
小学校のころからある理由があって、その学校が嫌いだった話はすでにわかっているので、実際に学校に行ってみて決定的に「無理」となった理由について、我々は知りえなかったので、それについて話しを聞きました。
午後8時頃から深夜2時過ぎまで、6時間強に渡って、ちゃんと理由を聞き、話し合った結果、それでは「そんな学校は行くべきではない」という結論に至りました。
私はいくつかのひどい話に、涙まで流しましたが、具体的な理由は障りがあるので省きます。
妻は私より常識的な人間なので「まぁ、とはいえ、今後一切登校しません、とする必要はないのだし、未来のことは誰もわからないのだから、とにかく9月からは行きません、行きたい気持ちが湧いたら行きます」ってことでいいのではないか、との案が出て、それはベストアイデアだということで、その方向で決定しました。
あとは、学校に話すということですが、夏休み中でもありますので、妻から担任の先生が学校に出ている日を調べてもらい、電話をし事情を説明して、しばらく学校に行かせませんので、そうなった場合の学校の対応、オプションプラン等について助言を欲しいということで、三者面談のアポをとってもらいました。
当初は、私と妻と娘が学校に行こうと考えていたのですが、娘から、二親が来ると大げさで恥ずかしいから、パパだけにしてほしいと言われ、私が彼女を連れて行きました。
学校と話そう
約束の日、担任の先生(普通なら私の息子でもおかしくないほどの若い先生)と、別のクラスのやや先輩の先生が陪席し、私と娘の相手をしてくれました。
席につくなり、細かいことを後で忘れるといけないので、録音させてください、とはっきり言って、スマホで録音をはじめた上で、かくかくしかじかで、学校や生徒に問題があり、娘はそれに耐えられませんし、耐えさせる気もありません、そういった繊細さは彼女の長所なので失わせるわけにはいきません、繊細さを残したまま彼女が強くなるまで学校には行かせられません、と説明しました。
それについては、先生側は、クラスに問題があるのなら、その事実関係をしっかりと究明して対処します。これまでお嬢さんを苦しめていたことに関しては謝罪します、ということでした。
また、涙をこらえながらも色々と説明した娘に対して、先生から「思い出してもつらい話を、頑張って話してくれてありがとうね」といってもらいました。
「まずは本人がまた学校に行きたいと言い出すまで、9月から学校に行かせませんので、その場合はどうすればよいですか。ちょっと調べただけなのですが、学校は来なくても、地域センターで学習するという方法があるように読みましたが、そのあたりはいかがでしょうか?」
と問うたところ、二人は、我々は具体的なことは詳しくないが上司の管理者が詳しいの呼んできます、ということで、我々二人を残して、二人の教師は去りました。
5分くらいたったでしょうか、先生が戻ってきて、「校長が直接説明させていただくということなので、お父様だけきていただけませんか」とのこと。
校長とも話す
それは話が早くていいぞ、と思い、早速校長室に連れて行ってもらいました。
座るなり、またスマホで録音をしながら、校長との話にのぞみました。
校長からは、「お嬢さんには大変なご心労をおかけした、戻ってきたときには楽しいクラスになっているよう、教師一同最善を尽くすのでご容赦願いたい。また、『地域支援センター』を見学できるよう、手配するので、早速その方向で試していただきたい」とのこと。
とんとん拍子で話が進んだので、これは吉だと、娘を連れて帰宅しました。
2時間強に及ぶ話内の経緯の要点だけを妻に説明したところ、ひとまず安心してくれました。
じゃぁ、勉強どうする?→スタディサプリをちゃんとやればいいんじゃない?
ただし、地域センターだけでは、学校に通っている同級生と学習進度にずれが生じる心配があるので、7月からは、学習補助のために以前(中学受験の初期、4年~5年)入会していたリクルートのスタディサプリを活用することにしました。
学校で使っている教科書に準じたビデオ講義が用意されており(そりゃすごい)選べるので、学校に行って受けるのと全く同じ内容の授業を、学校の教科書に沿って受講できるわけですし、またわからないところは、何回でもわかるまで見直しできるので安心です。
リクルートが社運をかけてやっているプロジェクトなので、講師も選り抜きを揃えているのでしょう。試しにいくつか講義を見てみましたが、やはり質の高いわかりやすい授業で安心しました。
早速、英国数理社のビデオ教材のあらまし、と補足テキストを遅まきながら、ざっと確認し、一年間でこのスタディサプリが終わることができれば、なんなら、学校に行って生半可に授業受けているよりも、学習レベルが高くなることも想定できます。まぁ、それは捕らぬ狸の皮算用ですが。。。。
娘は小学生の頃に使っていたので、ネット授業の使い方自体は慣れています。
ただし、そのようなネットコンテンツによる自学で肝心になるのが、進度管理です。
娘を呼んで、こうやって1年間でちゃんと終わらせるんだぞ、とPC画面上で、段取りを説明している中で、そのためにも進度管理表が必要だなぁ、と言う話になり、「たとえばこんな感じなんだよ」と言っているうちに、仕事の癖でエクセルでプロセス管理表を作りだすと、自動的に手が動いてどんどん作り始めてしまいます。
ということで、結局そのまま、私がスタサプの1年生の講義とテスト対策コンテンツを、1年間で終わらせるための進度管理表を完成させて、娘に手渡しました。
ちなみに、小学生用に、勉強のモチベーションをあげるために、勉強が進めば進むほど数が増えたり、かわいがれたりするマスコットというのがあるのですが、IDが死んでいなかったので(単に、一定期間サービスを利用していなかっただけ、という扱いのようです。大人になってもTOEICなどで使ってもらう生涯利用型サービスなわけです。賢いぞリクルート)、久しぶりに会ったマスコットに、娘もたいそう懐かしかったようで、小学生に戻った気分で涙ぐんでいました。
こんな感じで、学校には行かずに、eラーニングで義務教育も受講できるというお話です。
ここまででスタサプが気になった方は↓で内容を確認してみてください。
近所の中学生が自殺のニュース
なので、中学校に行かないと、高校にも行けないし、高校に行かないと、大学にもいけないし、そうすると社会人としての進路が極めて限定的になってしまう、ということで、無理して中学に行こうとしているなら、そんなのは全くナンセンスだと言いたいです。
そんなことで、無理やり学校に行って、ひどい場合、自殺してしまう子がいます。
つい先日、近くのマンションで二学期の初日に中学生が自殺を図ったとのニュースを目にしました。2人が同じ日に自殺を図っています。一人は娘の通った小学校の学区のマンションです。
なんとか、学校なんか行かなくていい、という判断ができなかったのかと、よそ様のことながら悔やまれます。それとも、もっと複雑でのっぴきならない事情があったのかもしれません。
勝手に登校を苦にしての自殺、と決めつけるのは間違っているかもしれません。たまたま登校初日だっただけなのかもしれません。
とはいえ、もし学校に行かないと、将来が危ぶまれるから、「何でもいいから行かなきゃだめだ」的な考えて家族全員で苦しんでいるなら、こんな時代ですし、ネットで学習という方法もありますよ、ということがいいたかったのです。
現にうちの娘はそれでトライしようとしはじめています。
上で書いたほど簡単に進むとは思いませんが、夜中に息が止まるような、廊下で不意に意識を失うような、朝出かけるときに涙をポロポロ流すような、頭がガンガン痛くて割れそうな、おなかがいたくで起きられないような、そんな登校なら、やまてしまうのが、どのような角度から考えても正解だと思います。
取返しのつかないことになるより、ひどいことはありませんから。
余り遅くないどこかの時点で、社会市民の一員になって社会に貢献し、自分も相応の幸せを感じられるような人間になってくれればよいのですから、それが何歳でどんな段階かは構わないのではないかと思います。
※追記:『不登校になって伸びた7つの能力』
実際に、我が子が学校に行かなくなったことで、不登校に関する情報収集が終わったわけではなく、遅ればせながら、より多くの情報に接するようになりました。
何事も、準備を念入りに行ってから行動に出ると言うよりは、まぁまぁ調べたらとことん集中的に考えて即行動を起こすタイプなので、どうしてもこの順番になります。
そんな情報の中で、今のところ最も刺激になったのが、↓の親子の本や活動です。
吉田晃子さんという方とその娘さんの星山海琳(まりん)さんという方の共著です。
娘さんの海琳さんが小学校で不登校になり、中学、高校と学校に通わずに大学に行ったという話。
娘さんが、急に大学に行こうと思い立ち、数か月の勉強の結果、高認(昔の「大検」)に合格した、というあたり、地頭の良さのようなものを感じます。
高認は絶好の遊び
などと豪語するあたりで、「どこのだれにでもできる話ではない」という留保がつきますが、写真の帯に書かれているように、不登校になって以下の7つの能力が伸びた、と自身の具体例を出しながら読ませてくれる本です。
- 行動力
- 自己管理力
- 思考力
- コミュニケーション力
- 学力
- 集中力
- 自己肯定力
「不登校になって伸びた」というタイトルなので、「学校にいかなければ上記の能力が(無条件に)伸びる」ような意味にとりかねませんが、そうではなく、「私は伸びた」という限定案件です。
「不登校」になったあるお嬢さん(海琳さん)が、ある条件が与えられていて(所与の能力・特質=好奇心が旺盛、情報処理能力が高い等)、その後ある条件を与えられて(環境的要因、母デモグラティックスクールに通った等)、何年か経た結果、立派な大人に長じた、という「固有の」成功事例にすぎません。
海琳さんのプロフィールには
17歳の夏、とつぜん大学へ行くことを志す。高等学校卒業認定試験を受けるこを決め、約2か月の期間で、全8教科の勉強を小学校1年生のレベルからはじめる。(中略)高認試験に合格。志望校である大阪芸術大学を受験、現役入学した。
とあります。これがうまくいくような人なんて、まぁ、そうそういないと思います。
ただし、当の海琳さんが書籍内で書いているように、6-7歳の頃にあんなに難しかったことが、10年経つと実に簡単に理解できる、とありますが、私も同様の経験をしています。
私は40代前半に、「中小企業診断士」の資格を取得しようと思い立ち、4月から毎週日曜日に、対策スクールに通い勉強をはじめました。
一次試験の1つに「経済学」がありますが、そのスクールでは、GWあけぐらいから「経済学」の講義が始まりました。
ところが、「経済学」は、「積分」の知識が前提となっています。
まず、白板に先生が書く数学用語や概念が全くわかりません。
まわりでは、なにやら熱心にノートに板書したり、問題を解いたりしているのですが、私は高1で数学を0点を取ったくらい数学が苦手で(地方の進学校のプライドに満ちた数学教師から、「私この学校で数学を教えるようになってから、0点をとったのはあたなが初めてです。この回答用紙は、原本はあたなに返しますが、コピーして私が保管しておきます」と言われました)、何一つわかりませんでした。
数学が大嫌いなのですが、試験合格のためには仕方がありません。私はサラリーマンに与えられたそう長くない夏休みを目いっぱい使って、まるまる10日間ほどで、中学の数学からやり直し、高校の数学~微分・積分へと進み、なんとか、積分の概念操作を習得しました。
高校生の時には、あんなに難しくて苦手だった数学ですが、目標がありますし、もう40も越えた大人ですので、特段の問題なく、夏休みを過ぎたころには無事「経済学」の想定問題集も解けるようになり、難関と言われる「中小企業診断士」の1次試験を1回で合格しました。
残念ながら、二次試験は、2回受験して2回とも失敗し、その後あきらめたので資格はとれませんでしたが、私はこの経験を通して資格試験のなんたるかを肌感をもって実感することができました。なにせ、いい大人が2年間も費やしたのですから。
この時の経験は、そのあとの英検1級の合格やTOEIC975点獲得、といった得意分野での成果につながったと思っています。
50歳過ぎてから、英検1級に合格し、TOEIC975年を獲得する勉強の姿勢や態度といったものは、この時期に身に付いたものだと思っています。
明らかな自慢話になりましたので、話を元に戻します。
なので、そんなことを考える人はいないと思いますが、上記のような「どう考えても今般の社会を生き抜くためには重要に違いない能力」を獲得するために、「不登校」にしよう、というのは明らかな誤りです。
実際、共著者の母・晃子さんも
この本は、不登校を「治す」本ではありません。
「不登校」を推奨する本でもありません。
と書いています。
「不登校」を推奨していません。人それぞれだと言っているのです。
進学した上級学校になじんで、楽しい学園生活を送っている人には、何も関係のない書籍だと思いますが、「不登校」を選んだ私たち親子にとっては刺激になる本でした。
我が家は我が家で固有の事例として、どんな道を経るにせよ、娘が社会に貢献できる社会人になるよう、皆で努力するしかないわけですが、その点で非常に刺激になり、また少し勇気ももらいました。
彼らの活動は、以下のサイトがメインのプラットフォームになっていますので、興味のある方は以下をブラウズしてみてはいかがでしょうか。
https://ai-am.net/https://ai-am.net/
この追記を書いている2019年10月上旬時点、出版記念イベントという名の講演会が全国で予定されていますので、反響の大きさが推し量られます。
その分、不登校は、日本中において広くイシューになっていることも推察されるわけです。
全国規模でフリースクールを探せるガイドブックが昨年から出版されているようです。
我が家のように、ガーっと、即決めできた場合はそれでよいのかもしれませんが、
デリケートな事情がある場合は、慎重に、「居場所」を考えて決めたほうがいいと思います。
※2019/10/8追記:週2回AMだけセンターに通うだけ。でもキツいらしい。
我が家の娘は、区がやっている近くのセンターに、毎週2回午前中だけ、通うことにしました。
何を勉強してもいいし、教科書や教材も一通りおいてあるようなので、その日にこれをやりたい!と思ったものをやればいいという、極めて自由かつ学習に役に立つ居場所が見つけられました。
元学校の校長とか、元教師、といった方々が、実際についてくれるので、
わからないところがあればすぐ教えてもらえるので、助かるらしいです。
ただ、たった週2回、しかも午前中のみの学習なのですが、
娘は「疲れる~」、といっています。まぁ、個人授業に近いものを、2~3時間やるわけですから
あてられるかどうかも分からない授業を、5つくらいとりあえず座って受けているよりは、ハードかもしれませんね。
親からしてみると、とはいえ、クラブなんかに入って、学校に朝から晩まで通って、毎日へとへとで帰ってくる同じマンションの中学生なんかを見かけると、ついつい、「こういう風にできないもんかねぇ」と思っていしまいます。
まぁ、ひとそれぞれっていうことで、できる範囲でがんばるしかないですね。
2018/11/13追記
娘は、4歳のころからずっとバレエを習っています。今でもこれだけは、週に3~4回通っています。
また、書道も習っていて、月に一回くらいしか行けていないのに、なにやら専門の雑誌で名前が出るような賞をそこそこ順調にとっています。先生から「もっと本格的にやったら、ぜんぜん伸びちゃうんだけどなぁ」と言われています。なかなか「本格的」になれないところが彼女の弱点でもあるので、辛いところですが。何か褒められるところがあるのはいいことです。
なので、週に3~4回は夕方から夜遅くまでバレエのレッスンがありますが、午前中から午後一は、週二回のセンター通いしか予定がありません。
そういうことから、妻が時間を作れる日は、積極的におでかけして、美術館で彼女の好きな絵を見せたり、デパートの漫画展に行ったり、書の展示会で専門家の作品に触れさせる、といったことをやってくれています。
一応、課外授業のつもり、ってことで。
先日は、平日の昼日中に、上野の東京国立博物館に妻と二人で出かけ、御即位記念特別展である「正倉院の世界」を見てきたようです。
例の琵琶のレプリカの演奏が鳴り響く中、様々な宝物を見てきたとのこと。中でも、足利義政や織田信長、そして明治天皇が実際に切り取ったと言われる「香木」が迫力を感じたようです。
なにしろ、二人とも歴史の教科書で見知る人物ですからね。その二人が、実際にこの香木をこのように切り取ったなど、なにや歴史が現実味を帯びて感じられたようです。ちなみに、信長等の武士と明治天皇が切り取った場所は、正反対の場所にあったようで、そのあたりも歴史を物理的に感じられたとのこと。
これら宝物が保管されている高床式の倉庫も再現されています。これは写真撮影が許可されていたそうです。ますますリアリティを感じさせてくれますね。
当日は、平日の午前中にも関わらず、入場70分待ちだったそうです。9割が上品そうな老婦人。ご主人の付き添いを帯同している方も若干名。その他は、40-50代の女性、といったデモグラフィックだったようです。なるほど。婦人画報等の読者層とマッチした感じかも。
とまぁ、他の子が(学校の授業がるために)できない素晴らしいことがあるなら、是非とも彼女に経験させてあげたい、と思っています。それが将来大人になった彼女が、周囲と差別化して価値を提供できる礎になるかもしれません。まぁ、人様がやっていないことをやっているわけですから、それだけでも、小話の1つや2つ披露して座持ちさせることはできるでしょう。それだけでも社会人としてはたいした技能ですしね。
できれば、歌のレッスンも専門家から受けて見たい、というようなことも言っています。歌手になるわけではなくても、自己表現の場を持つ、ということはそれはそれで人として良いアクティビティでしょうから、少し探してみようと思っています。
などと書いていると、12,000文字超えた投稿になってしまっています。誰か最後まで読んでくれるのでしょうか。そんな方がいらしたら感謝します。
投稿を分けるって手もあるのですが、ワンテーマですしね。やはり同じ方が良いような気がしてまして。すいません。
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