“God speed you!” ってどういう意味?

ドラマ・映画, 人文社会科学, 英語学習, 音楽


内田樹先生のブログを読んでいたら、最後に「God speed you.」という言葉で締めくくられていました。(「高校生へひとこと 2018-07-31 mardi」)

 

God speed you! Black Emperor

私がこの言葉を初めて聞いたのは、カナダのポスト・ロック系のバンド名「God speed you! Black Emperor」の中でした。

5-6年前に「ポスト・ロック系」と呼ばれるジャンルを集中的に聞いた時期があります。ポスト・ロックというのはその名の通り、従来のロックのイディオムに沿わない形式でクリエイトされるロック的な音楽を指します。「ベタなロックの進化系」ぐらいの意味になるわけです。

ベテランのロックファンであれば、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの影響を強く受けている音楽であり、元ピストルズのジョン・ライドンが結成したパブリック・イメージ・リミテッドがその先駆的存在だと言えば、なんとなく感じが掴めるのではないでしょうか。

ポストロックwiki

 

代表的なバンドの中で私がよく聞いたものは、トーク・トーク、ステレオラブ、トータスや、2000年代だと、モグワイ、シガー・ロス等があります。

ポストロックを聴くようになったきっかけは、よく憶えていないのですが、おそらくは、以前の投稿でも紹介した北欧ドラマ『The Bridge/ブリッジ』を見ていて、デンマークのポストロックバンド「Choir of Young Belieivers」が歌う主題歌『Hollow Talk』を耳にしたあたりからだったかと思います。

ドラマの冒頭のシーンに流れるこの曲が、ドラマと極めてうまくマッチしていて、のっけから、ワクワクさせられます。

 


もちろんテーマソングもとてもいいですが、このドラマ本編は本当に私好みで、何回も見たくなるドラマです。

吹き替え版が苦手な私ですが、この作品は(英語ではないこともあり)シーズン4まですべて日本語吹き替えで見ました。

オリジナルでは「デンマーク/スエーデン間」にかかる橋だった舞台設定を、「イギリス/フランス間」そして「アメリカ/メキシコ間」に移して、リメイク版が作られました。全部見ましたがどれも面白い。

 

北欧ドラマは、私が007シリーズのファンなので、ダニエル・クレイグが出演しているということで、珍しく映画館までわざわざ見に行った『ドラゴンタトゥーの女(2011年)』を皮切りにみるようになりました。『キリング』『ブリッジ』『特捜部Q』『刑事ヴァランダー』と素晴らしい作品がたくさんあります。「スカンジナビア・ノワール」などと言われるジャンルのようですね。大好きです。

そして、北欧ドラマのマイブームと並行して、ポストロックも聞くようになったというわけです。

 

といった経緯で、この「God speed you! Black Emperor」というバンドに行き当たりました。

このバンドはポストロック界の中でも特に有名なバンドの1つなので、主要なアルバムは聴きました。具体的なサウンドのイメージをつかんでもらうために、ポストロックらしい曲『Moya』をライブバージョンで↓。

 

彼らは、1994年にカナダのモントリオールで結成されており、その名はなんと、1976年に公開された日本映画『ゴッド・スピード・ユー!BLACK EMPEROR』から採用したと言われています。

ポストロック系バンドを調べていた時に、このバンドを見つけ、バンド名の由来がこの日本の映画タイトルであることを知りました。

YouTubeで検索すると、このポストロックバンドとこの日本暴走族のドキュメンタリー映画の両方が混ざって出てくるので、かなりの違和感があってびっくりします。






『ゴッド・スピード・ユー!BLACK EMPEROR』

その映画も、今ではなんとYouTubeで英語字幕付きで全編見ることができます。

 

この映画は、日本で最も有名な暴走族といっていい「BLACK EMPEROR」を扱ったドキュメンタリー映画です。この名前は、私ぐらいの年齢なら暴走族の代名詞といっていいくらい誰でも知っています。

自主制作され限定公開され、暴走族が大挙して来館して話題となったことから、35mmにブローアップして東映系で本格公開されたとのこと。

DVDも発売されているようです。

ここで取材されている方も、もうすでに十分大人になられているでしょう。すっかり、社会に貢献している良い市民になっている方も少なくないのでは。

私の近くにも、紆余曲折を経て更生されたのち、立派な市民となり、超大型のモーターサイクルに乗ってツーリングしている方が相当の割合でいらっしゃいます。髪型で主張してますので、初対面でわかりますが。


ちなみに同時上映は『暴走の季節(主演:岩城滉一、1976年)』『暴力教室(主演:松田優作、1976年)』との3本立てだったらしいです。こりゃそういう方々は全国でみんな見に来るわ。

前者に主演している岩城滉一は、矢沢永吉のバンド、キャロルの解散コンサートビデオ(『燃え尽きるキャロル・ラストライブ』。昔はビデオ版を、現在はDVD版を持ってます)で、「クールス」の一員として舘ひろしと一緒にバイクに乗ってます。




「God speed you」という言葉がこの暴走族映画に由来しているということから、

私は(辞書を調べることなく)自分なりの勝手な解釈をして、

これは「God bless you」のかけことばで、「スピード」に酔いしれる若者たちを賞賛する意味で使われており、「神があなたたちにスピードをあたえますように」

というような意味だと、思い込んでいました。



「God speed you」の本当の意味とは?

で先日、内田先生がブログ内でこの言葉を、「スピードの話とは全く関係のない文脈」で使っているのを読み、これは↑の映画でかけことばで作られた造語ではなくて、ちゃんと元からある言葉なんだ、ということに気づき、遅ればせながら検索してみました。

結論を言うと、答えは、「God bless you」と同じ意味でした。

yourdictionary “godspeed” のページには、↓のように

 

Used to wish someone success or good fortune, as on a journey.

 

「誰かが旅をするにあたって、うまくいくように、幸運に恵まれますようにと祈念すること」

とあります。

 

weblioで調べると、「speed」の語源は「spede」という中期英語だったようで、

 

spede = prosperity, good luck, quickness, success

というような意味で使われていたとのこと。

ここであげられている「spede」の、4つの意味のうち3つが、単に「なにか良きこと(繁栄、幸運、成功)」を表すことばであり、現在、我々が第一想起している「素早さ」という意味は、どちらかというとマイナーな用法だったようです。

 

一方、現在の「speed」の意味をWiktionary で調べてみると、ようやく8番目に(archaic=古い文体)として、「Luck, success, prosperity」と出てきます。

だから、現在ほぼ使われない昔っぽい用法だよ、と言っているいわけです。

 

「成功や物事がうまくいくこと」が、「迅速さ」に変化したというのは、障害物に足止めをくうことなく、最短でゴールに到達できる、といった意味から、「早く着く」→「早い」と意味が変化したのでは?と想像できます。

やがて、旅に関わらず、「じゃまが入らずに事が運ぶ」という意味の「迅速」が、使用範囲が広いですから、主要な用法になっていったのかもしれません。

使える局面が多様な用法の方が、1つの言葉の異なる意味の間の「競争」において、有利に働くのでしょう。

 

なるほど、そういうことだったんですね。知ってるつもりになってた言葉の本当の意味を、5~6年経ってからようやく知りました。

 

こういうことがあるので、やはり新しい表現に出会ったら、勝手に「もじってる」などと思わず、「ちゃんとした言葉」をかけているのでは?と、とりあえずは疑って、ちゃんと調べる癖をつけねばならないなぁ、と思った次第でした。

 

といった紆余曲折を経て、

『God speed you! Black Emperor』という映画のタイトルは、そもそもこのタイトルの命名者(監督?)が、「Black Emperor~」を題材にした映画のタイトルを考案する際に、「God speed you!」という表現を知っていて(すごい!)これが、暴走族を扱う映画の内容に「かかっている」という判断で、「こりゃいいや!」ということで採用したのだろう、ということがようやく推察できます。

 

さて、話を冒頭に戻して、内田樹先生ですが、読んだことがない方は、まずは新刊はどうでしょう。読みやすいですよ。元気もわいてきたりします。

だから、わりに読書によって「実利的効用」が感じられる稀有な作家の1人かと思います。


 

面白かったと感じた方は、↓のような要書を手にしてください。これも難しいことを、実に簡単な言葉でわかりやすい理屈で解説してくれています。読後感が気分がいい。スッキリしたい人にお勧めします。


 

映画好きの方なら、↓こんな本で内田先生の博覧強記に触れてみるのも一興かと。

 

ともあれ、内田先生のブログを読まなかったら、この先ずっと(なんなら死ぬまで)、この表現を誤解したまんまだったわけです。いろいろ読んだり調べたりしてみるもんですね。

 

 

英語の基礎力をつけるには高額なスクールに通う前に、かなり計画的に学習誘導してくれるような、自学ツールでコツコツやるのも一つの手ではないでしょうか。

ちなみに、うちの中一の娘はこれで英語頑張ってます。

頑張れ不登校娘!



 

※追記:なんでこのページがここまで人気があるのかわかりません。

実は、このページ。これを書いている2019/12/25時点で、Googleで「god speed you」と調べると、1位で表示されます。

また、私のこのマイクロなブログの中でも、かなりの人気投稿で、毎月驚くほどの数の方が訪問してくださいます。

ところが、それがなぜか全くわかりません。考えられるのは、以下のセグメントです。

英語の好きな人:”God speed you.”というフレーズについて知りたい。

音楽の好きな人:「God speed you, Black Emperor(バンド)」について知りたい。

暴走族が好きな人:『God speed you, Black Emperor(映画)』について知りたい。

上の全部について知りたい人。

 

といった4者1択かと思います。

でも謎です。

 

どなたか、コメント欄で、このページを閲覧するにいたった動機について教えていただけないものでしょうか?

ほんとに不思議です。

 

ではまた。

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Posted by yaozo