Netflix「After Life」で学ぶイギリス英語 その10

イギリス英語



Netflixの人気オリジナルドラマ「After Life」で楽しくイギリス英語を勉強しましょうというシリーズ企画の今回は第10回です。今回はs1e5から最終回のe6まで勉強してみたいと思います。

can’t not

Tonyが唯一心を開いて相談できる、「墓参り仲間」ともいうべきおばあさんAnneに、自身の心境の変化について吐露するシーンがあります。

どうせ命なんか惜しくないのだから、何も怖いものなどない、嫌なら自殺すればいいんだから、などと思っていた。しかし、最近、大切なものはやはり大切なので、それを捨てることはできない、という気持ちが残っていることに気づきます。そのシーンで彼が使う二重否定形は、私がこれまで見たことのないものでした。

 

You can’t not care about things you actually care about.

本当に大切なものを、大切でないと思うことなんかできない。

この「can’t not」という部分を分解すれば、「can not not」なわけで、そもそも文法的にはありうるのか、と一瞬目を疑いました。しかし、英辞郎on the WEBで、ちゃんと下のように解説されていました。

 

can’t not

~しないことができない、~するしかない、~せずにはいられない、~でないわけがない

◆文法的には誤りだが、口語では使われる。

I can’t not think about her :彼女のことを考えずにいられない。

 

ということですので、つまり「can’t help but」というイディオムと同じ意味になります。

 

上のセリフでいうなら、

I can’t help but care about things you actually care about.

と言い換えることができます。

 

また「can’t」の後の「not care」を「ignore」などに変えれば、

I can’t ignore things you actually care about.

ということもできます。

 

ちなみに、この文章をMSワードにコピペしてみたところ、さすがに「I can not not」と開いて書くと波線が出ています(文法的にNGのコーション)ので、スペルチェック機能は働いていることが確認できます。

にもかかわらず「I can’t not」の部分は波線が出ていませんので、少なくともMSワードも文法的に許容しているようです。こんな二重否定表現、はじめて知りました。中学生に教えると混乱するので、やめた方がよいですが。



 

mind you

Anneに人生相談に乗ってもらっている格好のTonyですが、いろいろ話してすっきりしたようで、

-If you were 20 years younger, right?

あなたがあと20歳若けりゃあねぇ?

 

などと、柄にもなく、感謝ともお世辞ともつかないセリフを口にします。Anneがそれに答えます。

 

Mind you, if I was 20 years younger, I think I could do better.

いっとくけど、私が20歳若かったら、もっといい男を見つけてるわよ。

 

日本語字幕では、文字数の制限でかなり変形されているのが普通で、そのため「Mind you」は直接的に訳されていません。

ちなみにこのブログでは、そのまま日本語字幕を引用しても、読んでいる方に十分伝わりにくいため、このブログでの日本語訳はすべて私が直訳に近い形でやっているものです。

 

「mind you」というイディオム自体はアメリカ英語でも使われるのですが、辞書を調べていたら、イギリス英語だと「mind」だけでも同様の意味で使う、と出ていたので、ここでとりあげました。

 

Merriam-Webster

mind you

—often used in British English without you

//His advice wasn’t very helpful. I’m not criticizing him, mind!

 

「mind」で終始するなんていうのは、なかなか違和感があって面白いですね。このあたりの言い回しも、個人的にはなんとなくイギリスっぽい気がします。

 

ちなみに、Anneのセリフの後半のセリフ、

I think I could do better.

を、このドラマの字幕翻訳者は「(もし20歳若ければ)もっといい男を相手にしてるわ」というような意味に訳出しています。

私としては、「do better」だけで「もっといい男を相手にする」と解釈するのは、若干無理があるように思います。

私は、「do」なんだから、「もっと良い相談相手になってあげられた(ただ話を聞くだけでなく、他のこともやってあげられた)」という「動詞的な意味」を汲んで訳したほうが自然なように思いましたが、いかがでしょうか。

 

秀逸なサウンドトラック:You’ve Got A Friend

そろそろこの企画も終盤なので、少し横道に逸れますが、このドラマはオープニングとエンディングをはじめ、サウンドトラックが秀逸です。

私のような還暦前後のオーディエンスをターゲットに作られているだけあって、どの曲も懐かしく、そして各シーンに沿った、ぐっとくる選曲です。

そして、e5は、Carol Kingの名曲「You’ve got a friend」で終わります。

愛するLisaを失って自暴自棄のTonyにも、Anneというよき理解者(互いに伴侶に先立たれて、墓前で会って少し話すだけですが)がいるわけで、それによって生きる希望を与えられているというシーンに流れるには最適な選曲ですね。

ご紹介する動画は、英語歌詞と訳詞がついたバージョンなので、一緒に歌っても楽しいです。

 

作詞・作曲・歌唱を担当して「シンガーソングライター」のはしりとなったCarol kingのオリジナルバージョンは今聞いても最高なのですが、これに加えて、このオリジナルバージョンでバックコーラスで参加しているJames Taylorが、自身のアルバムで歌う甘ったるいカバーバージョンも捨てがたいですね。まさに「Sweet Baby James」の本領発揮というとことです。

 

名曲「You’ve got a friend」を聴き比べしていただきましたが、実は作者のキャロル・キングは、シンガーソングライターとして70年代にスターになる前は、前夫のジェリー・ゴフィンと組んだヒットソングメイカーだったのでした。裏方だったわけですね。

 

Will You Still Love Me Tomorrow

このコンビのその後のサクセスストーリーのスタートとなった大ヒット曲が、1960年にリリースされた「Will You Still Love Me Tomorrow」です。これは若い世代の方々も、なにかしらどこかしらで耳にしたことがある曲かと思います。

本稿の締めくくりに、この曲のThe Shirellesが歌うオリジナルバージョンと、約10年後にCarol Kingが歌って1971年にリリースしこれまた大ヒットとなった、セルフカバーバージョンを聞き比べしていただきましょう。

 

まずは、アップテンポなのに相当切ない女子の気持ちを歌った、涙なしには聞けないオリジナル青春バージョン。

 

次がアルバム『Tapestry(邦題「つづれおり」)』に収録された、スローバラードで大人の曲に一変した、セルフカバーバージョン。

 

Carol Kingの筆による名曲を2曲聴き比べしていただいたところで、エピソード5でのイギリス英語の勉強は終わります。

次回は、いよいよシーズン1のエピソード6を扱いますので、この企画の最終回となります。

 

英語学習については、高額なスクールに通う前に、かなり計画的に学習誘導してくれるような、自学ツールでコツコツやるのも一つの手ではないでしょうか。 ちなみに、うちの中一の娘はこれで英語頑張ってます。

 

 

 










Posted by yaozo