Netflix「After Life」で学ぶイギリス英語 その5

イギリス英語



Ricky GervaisがNetflixで主演・監督しているオリジナルドラマ「After Life」で、現代的なイギリス英語を楽しく学びましょう、という企画です。Gervaisが、アメリカ人コメディアンにはなかなか出せない独特の味を出しています。単に面白いだけではなく、ピリッとしたスパイスの利いた大人のためのドラマと言えます。

さて、脱線が長くてなかなか本編でのイギリス英語に戻ってこれませんでしたので、ここから巻き返しということで、「After Life」で聞くことのできるイギリス英語ならではの表現をご紹介します。

mate

このドラマでは、主人公Tonyが勤務先の新聞社のパートナーであるカメラマンのLennysを辛辣な表現でからかうのが定番シーンとなっています。Lennyはいつも何か食べてばかりの、だる~いキャラクターなので、なにかにつけて「おまえはなんてだらしないヤツなんだ」と、いつもストレスのはけ口にされています。とはいえ、Lennyはそれにキレるることもなく、ごくごく自然に受け答えしています。

「お前は食べてばかりいるな。パソコンの前でも、クイズマシン(これもイギリス独特の遊具)の前でも食べてるだろ。ほんで帰宅して、テレビの前で食べる。おそらくベッドでも食べてんだろ」と毒づきます。

横で見ていた新人から「あんなこと言われて腹立たないんですか?」と聞かれ、微笑みながら彼はこたえます。

Nah, he’s a mate. It distracts him.

いや、友達なんだ。あれで気晴らしになるんだよ。

色々なところで紹介されているので、ご存知の方も多いと思いますが、一般的には軽い親しみの表現として説明されています。しかしここでLennyが「mate」というときの彼の表情を見る限りは、「親友」という意味に使っているようです。

 

telly

そして、ここで出てくるテレビですが、イギリスではtelly (ˈtel·i)といいます。

いつも私が使っているCambridge Dictionaryで調べるてみても、アメリカ発音は表示されていませんし、「UK INFORMAL」と説明されていますので、完全なイギリス固有の表現ということがわかります。

ちなみに、Cambridge Dictionaryは、ユーザーインターフェースが良く大変見やすいので一番好きオンライン辞書です。各国語バージョンが用意されていて世界の英語学習者をユーザーとして運営されており、とても親切です。Oxfordもいいですが、私は圧倒的にCambridgeを多用しています。使ったことのない方は、試しに下のボックスで何か気になるワードを検索してみてはいかがでしょうか。

 

cheers

「ありがとう」の意味で、「cheers」という言葉が頻用されます。アメリカ英語しか接してこなかった方が一番最初に驚かされるイギリス英語表現の1つではないでしょうか。もちろん「乾杯」の意味でも使いますので、文脈に依存して使い分けがされています。

 

sorry

これはなかなか気がつきにくいかもしれませんが、イギリス人は大体日本人と同じくらいの感覚で「sorry(すいません)」を使いますね。他の国の方は、よほど明確に自分に非がある、という時以外は、「sorry」と言わないという話を聞きますし、個人的経験からももそう思います。謝る代わりに説明をしだす、といった感じでしょうか。まぁ、日本人同士なら「理由の説明の前に、まず誤ったら?」となるわけですが、このあたりの感覚は、イギリス人と共感できると思います。アメリカドラマで「sorry」という言葉が(「お気の毒」の意味以外で)出る際は、本気で謝罪している場面ですが、イギリスのドラマではわりと頻繁に「あぁ、ごめんね。そんでさ~」ぐらいの感じで、普通に「sorry」を連発します。

 

‘ouse

このスペルと「アウス」という音だけ聞いたら、イギリス英語になれていない方は、なんだかわからないかもしれませんが、これは「house」のことです。最近のロンドンあたりの若い世代の発音として、日本でも知られるようになってきた「Estuary English(河口域英語)」の発音です。

映画「My Fiar Lady」でおなじみの、語頭の「h」が脱落する訛りの一種なのですが、英語字幕でもちゃんと「h」をはずして「’ouse」とスペルされていたのが興味深かったです。

この「Estuary English」は、Cambridge Dictionaryでは、下のように説明されています。

西東イングランドで話される英語の一種で、標準英語とロンドン英語のミックスされたもの

より詳しい特徴は、wiki日本語のページで読むことができます。

wikipedia 河口域英語

このドラマを英語字幕で見ていると、アメリカドラマの字幕よりもかなり省略系のスペルを使っているように思えます。そこがまた面白いですね。「知らない」などの場合「don’t know(Iは省略されることが多いです。日本語と変わりませんね)」とスペルするはずですが、このドラマでは「dunno」と表記されています。

 

can’t

これも有名なイギリス英語の発音の一種ですが、「can」だと、特に早口で話す場合などは「キャン」っぽい言い方をするときもあるようですが、否定形の「can’t」の場合は強調する必要があるのでアクセントも強くおかれますし、より一層「キャ」ではなく「カー」が選ばれる傾向が強いように感じます。


 

Potato

Tonyは、これもEstuary English発音で、RP的な「ポテイトゥ」ではなく、「ポテイオゥ」と発音しています。最初の「t」はそこそこ発音するのですが、2回目の「t」は発音されず、「声門閉鎖音」という、一瞬息を止めたような発音になります。

「water」が良く例に挙げられますが、「ウォーッア」と「t」が脱落しつつ、「r」の前で一度ストップする、というような発音です。予備知識がなく、はじめて聞いたらなんのことかわからないと思います。

 

ASAP

小さな町の新聞社ですので、たいしたネタもないのですが、編集長からあるネタについて、「これどうだ?」と言われた時に、なかばやけになってTonyが答えます。

Right, let’s get to the bottom of that ASAP

よ~し、じゃあその件、大至急真相解明だ。

この「ASAP」の「A」は「エイ」ではなく「アイ」となります。コックニー英語やオージー英語と同様です。なので、この言葉は「アイエスアイピー」と発音されます。慣れてくると自然と頭の中で変換されるのですが、イギリス英語の初学者の頃は、この音変化がなかなかフォローしにくくて苦労しました。

 

little

この音も「Estuary English」に典型的な訛りを見せる言葉の1つです。RPなら「リトゥル」ですが、「リッウゥ」というように、もはやなんだかわからない発音に変化します。とはいえ、「little」は英語の頻出語の1つなので、だんだん耳が慣れて、この音を聞くとこのスペルが思いうかぶようになりました。

 

Alright

s1e1の最後にご紹介したいのが、これまたアメリカ英語しか知らない人にはびっくりの言葉です。もちろん「大丈夫である」の意味でも使われるのですが、この用法以外に、あいさつの「やぁ」という意味で、アメリカ英語なら「Hi」にあたる言葉として、ごくごく一般的に使われます。

しかも、すれ違いざまのあいさつだったりすると、日本語でも「おはようございます」が「おやおや~す」になるのと同様、「オーァィ」ぐらいにしか聞こえないので、イギリスドラマで使われているのを見ていてもずっと気がつかず、英語字幕を使うようになって初めてあいさつの言葉だと知りました。

本来は「元気ですか=Are you alright?」だったものが、「Alright?」に短縮されたとのことです。

s1e1で気がついたイギリス英語ならではの表現、ちょうど10こでした。ほんの30分のエピソード1本見るだけでも、こんなにありましたね。

次回はs1e2を見ていきたいとおもいます。

英語学習については、高額なスクールに通う前に、かなり計画的に学習誘導してくれるような、自学ツールでコツコツやるのも一つの手ではないでしょうか。 ちなみに、うちの中一の娘はこれで英語頑張ってます。

 

 

 








Posted by yaozo