中学英語は間違っているのか?

英語学習

yaozoです。

前回、初対面で相手の名前をきく時に、英語で「Do you have a name?」というフレーズを使うことを紹介しました。

 

「What is your name?」はやや無礼?

まずは念のために、正確なニュアンスの確認をしたいのですが、我々日本人の英語学習者は一般的に「What is your name?」を、「あなたの名前はなんですか?」だと教わってきました。

または、その逆で。

ただし、このフレーズは正確に言えば、ややカジュアルなトーンの質問文です。

たとえば、学生同士が同級生の初対面の子に「名前なんていうの?」という感じです。

大人が使うシーンでいうなら、たとえば優しいおばさんが、迷子になった5歳児に「名前はなんでいうの?おばさんがママのこと探したげよか?」という場面ならOKだと思います。

 

しかし、このフレーズは正確に言えば、「~は何ですか?」といった丁寧表現ではありませんので、大人同士の初対面で使うには、やや無礼に聞こえると思います。

社会人が初対面の相手に、「(すみませんが、)あなたの名前はなんですか?」くらい丁寧に聞きたい場合は、↓のように言う必要があります。

May I have your name(, please)?

 

許可を求める際の助動詞は「can」→「could」→「may」と、より丁寧になりますので、もう少しくだけていいのであれば、

「Can I have your name」となります。

子供同士が初対面で名前を聞くには「Can I have your name?」は不自然ですので「What is you name?」がふさわしいと思います。日本人でも学生同士で名前を聞く時に、明らかな先輩に対してではない限り、概して敬語を使わないと思いますし。

 

なので社会人であれば、↑であげた「迷子を助ける」といったような見知らぬ子供と話す機会などを除けば、「What is you name?」というフレーズを使う機会は、実際そう多くないのではないかと思います。

 

 

そんなに脅かさないで欲しい

とまぁ、とりあえず「正確なニュアンス」の確認をしてみました。

しかし、私個人としては「What is your name?」は使わない方がいい、と言いたいのではありません。

本稿は、全く逆のことが言いたくて書いてます。

 

私の主張としては、「実際に、現実の場面で」我々日本人が初対面の相手に名前を聞く時は、その方の英語のレベルによっては、「What is your name?」でもいいのではないか?というものです。

昨今、「日本の英語学習者が長らく教えてもらってきた『典型フレーズ』が、実はネイティブにとって、不自然に聞こえる」というテーマの書籍やブログ投稿を目にすることが多くなりました。

 

しかし私は、このように「不自然なフレーズを個別的に取り上げて修正する」類のアドバイスについてあまり良い印象を持っていません。

外国語を学習する場合は、「聞く・読む・話す・書く」の4技能をもっと全体的に底上げしていくべきだと思います。誰とは言いませんが、ネイティブの英米人が、そういった例を取り上げて「リストアップ式」に並べられた書籍をたくさん書いてますが、ややネガティブな印象を持っています。

なぜなら多くの場合、このような書籍では、一つひとつのフレーズがなぜ不自然なのかについて、文法的、文化的な掘り下げが甘く、

「ネイティブはこのように言いません」

「(その言い方だと)こう聞こえてしまいます」

「なので、こういいましょう」

といった類の事実を述べるだけで、やや浅薄だからです。

 

言い方を変えれば、「問と答えだけが載っている問題集」を読まされているような感じです。

ある問があったとき、それをなぜ・どのように解くのか、という点について掘り下げがないような問題集は、既に解法やその理屈を理解している問題を「大量に・最速で」解くための機械的訓練にしかなりませんので、そもそも解き方をわからない学習者には役に立ちません。

 

そして、このような「間違い」は、やはり実際にネイティブとの会話の中で、「自分は使うが相手は使わない」といった事例に数多く行き当たり、相手の顔色がなんとなく違うなぁ、「なんか私変なこと言ってんのかなぁ」「そもそも相手はなんでこう言わないんだろう」「私の言い方は実は間違っているのはないだろうか」といった、ゆるやかなプロセスをたどる実感を伴って反省的・自省的に学習していかないと本当に身に付かないのではないでしょうか。

 

こんなことを書くと、「私はネイティブと話す機会に恵まれない。よって、こういった情報は有益である」という人がいるかもしれません。

しかし、逆にそういう機会がないのであれば、こんな「無視して構わないレベルの間違い」を正す時間があったら、単語を1つでも多く覚えたり、リスニングで聞き取れる単語や言い回しを1つでも増やした方が、よほどためになるのではないかと思います。

 

なんとなく広告の世界で使われる心理的テクニック、「フィア・アピール(恐怖訴求)」や「恐怖マーケティング」のにおいがして、反発がわきます。

これは昔なら、「ふけを防止する効果のある」とうたうシャンプーが、「素敵なお嬢さん。でも肩にふけがあるかも?」などとかなり恐怖をあおっていました。

最近なら、制汗剤等のCMで「周りから気にされてるかも?」などと散々怖がらせて、あおっています。

どちらも消費者の1人として、あまりいい気分がしません。

最近気になったフィアアピール手法を用いたコンテンツに、1年前にAppleの年次イベント「WWDC18」の基調講演前のオープニング動画作品「Appocalypse」があります。これは「Apocalypse」をもじって言葉の頭を「APP」にしたデストピア世界をテーマにした作品です。

https://www.youtube.com/watch?v=z_ceZG0ppkY

ご覧のように、Appleのサーバールームの電源を不注意な管理者が抜いてしまったために、世界中のAppleアプリが消失してしまい、交通事故は起こるは、Appストアは闇市みたいになるわで、大変な終末的世界になるという、恐ろしい動画コンテンツです。Appleのアプリがないと世界は機能停止する、というしゃれなんでしょう。

しかし、アンドロイドユーザーの方が圧倒的に多いこの世界で、Appleのアプリが機能停止したからといって、世界はディストピアになりませんから。まぁ、しゃれでいっている人相手に目くじらたてるのも恰好悪いのでしょうが、製作者はその点も見越してストーリーテリングしているようで気分がよくありません。

もちろんMacマニアは大喝采でしょう。

 

話を「あおり」英語学習書に戻します。

相手に気をつかってもらえば、なんとか英語でのコミュニケーションができるようなレベルに達した極一部の英語学習者には、こういうトリビアルな情報は役に立つかとは思います。このような情報が役立つ人が日本の市場にそれほど多くいるとは思えません。

日本の英語学習市場は、どうみても(母語との距離感から)英語学習難易度が高い日本国民の足元を見て、儲けんかな、の論調が激しくてときに食傷気味になります。


やりだまにあがる中学英語の具体例を検証した事例

「ネイティブは使いませんよ」なとどやりだまにあがる具体例には↓のようなフレーズ(定形やりとり)があります。

 

A:「How are you?」

B:「I’m fine, thank you. And you?」

A:「I’m fine, too. Thank you.」

 

↓の英語教師Hapaさんが、実際に周囲のネイティブを相手に(実験内容を知らせずに)「How are you?」と問いかけて、相手がどのように返してくるか、を調べています。実に有益で興味深いです。

驚いたことに、彼の手近の人々を対象に実施した調査結果としては、半分くらいが、そもそも最初の「How are you?」の質問には答えず、いきなり「How are you?」と「質問返し」をしています。これは驚きました。

そして、その質問に最初の質問者が回答し、相手にもう一回質問し、やっと答えてもらっています。その後、スモールトークが続くわけです。

 

アメリカ人は「How are you?」にどう答えるか実験してみました

 

具体的に文字起こししてみると、

 

A①:「How are you?」(または「How’re you doin’?」等)

B①:「How are you?」(同上)

A②:「Great! How are you doing?」

B②:「Yeah, I’m doing fine!」

A③:「What are you up to?」

B③:「Well, nothing much. I’m just hanging out. ——-」

 

といった感じです。わかりやすいように、相手(B)を太文字にしてしました。

2回目の質問にやっと「Great!」と答えてくれていることがわかります。

 

つまり、A①の「How are you?」は「Hi」や「Hello」の代わりに発せられているようです。イギリスの現代英語なら「Alright?」くらいになりますね。

で、日本語ではどうかな?と振り返ってみますと、実は別に不自然でもなんでもないことがわかります。たとえば、↓の感じで言いますよね。

A①:よ~、げんき~?

B①:おう~、げんき~?

A②:まぁ、ねぇ。元気~、まじで?

B②:まぁまぁかなぁ。

A③:何してんの、こんなとこで。

B③:ちょっと用事があってさ。そういやこないだのさぁ~….(以下省略)。

 

という具合です。もちろん、↑のB①で、いきなり「げんきだよ~」って答えてもいいですが、そう答えない場合も少なくないことがわかります。あなたはいかがでしょうか。どちらともいいきれないのではないでしょうか。

 

ちなみに、回答も日本の中学英語で教えられるような「fine」のみならず、

good/super/OK/excellent/great….

などで、「最も一般的」と言える決定打は無いと言っています。

これも日本語と同様ですね。

元気だよ/まぁまぁかな/ぼちぼちって感じ/サイコー e.t.c

 

また、「I’m fine. 」の後の「And you」はあまり使われないとのこと。聞かれた方も失礼のないように質問を返すわけですが、その際もしっかりと「How are you?」と聞くほうが一般的なようです。

 

この方のとりあえずの結論としては、中学英語の「How are you?」「I’m fine, thank you. And you?」「I’m fine, too. Thank you.」という定型文は、

「全然違っているわけではないが、一部使わない部分もある」

ということです。

 

 

日本の中学英語で全然OK(と強く思います)

ことわっておきますが、↑で紹介したHapaさんという英語教師は、よくみかける「こういうフレーズは実は恥ずかしい」といった「上から目線」ではありません。

かなり丁寧かつ中立的な表現で「あくまでも私の周りの極少ないサンプルに過ぎませんが、こういう言い方をしているようです」と教えてくれており、「だから今すぐ修正しないと恥ずかしいよ」などといった「あおり指導」はしていません。良心的な教師だと思いました。

 

昨今、「日本の中高の英語教育での定型的なフレーズ教育」が間違っていて「ネイティブはそんな風に言わない」との言説が流行しているようです。

個人的な感想としては、そもそも「我々はネイティブではない」ので、上でも述べたように、全体的にバランスのとれた学習をなおざりにして、個別フレーズをいちいちネイティブ流に修正していく、という作業は大多数の英語学習者には意味がないと思います。

なんならネイティブが挨拶の言葉を発した瞬間に大体の英語力は発音から察してもらえるでしょうから、中学で教わったフレーズを堂々と使えばいいと思います。

そんな会話の中で、自分なりに修正したいことに気づいたら修正すればいいわけですし、学習や経験を積む中で、「この言い方不自然かも?」という感覚が出てきますので、そのように一人称的反省を伴ってから修正する方がその後長く身に付くと思います。

 

なので、よほど意味が通じないとか、明らかに誤解を生むというフレーズでない限り、多少不自然であっても、これまで教わってきた通りに使う方が、「教育の歴史的遺産の継承」といった側面から見ると、効率的だと思います。

いたずらに、「今までの英語教育は間違っていた」といいつのるのは、書籍等の教材を売りたいマーケティング上のクリシェだと思っていいでしょう。

たとえば、↑で「一部使わない部分」にあたる「And you」にしても、実際にネイティブや英語話者と会話する機会が増えれば増えるほど、「相手が言わないなら、自然と自分も言わなくなり」ますので、最初は言っていても問題は一切ないと思います。

仮に長年の癖がどうしても抜けなかったとしても、そもそも、本人が調子いいのであれば「fine」なんですから間違っていません。

また「fine」じゃなかったとしても「fine」というのが礼儀ですから「fine」で全く問題ありません。

それに、相手に対して、こちらがノンネイティブであるシグナルとして機能するので、意図的に残す効用もあると思います。

 

あるいは、「『fine』以外にも多様な言い方ができるのに、『fine』一本やりだといかにも凡庸だと」などというような心配を持つ方もいるかもしれませんが、それも、会話経験が増えるほど、「superとか言うんだ。へぇ、今度私も使ってみよう」などと自然に覚えていくでしょうから問題ありません。

私は「fine」一本やりで済ます派です。わりに大きな声で「Fine!」などといえば、全然問題ありません。相手も笑顔になります。そういう機能の会話なのですから、それで十分ですね。

 

今時「私はネイティブと会話する機会がない」という人はいないと思いますが、念のために確認しておくと、現在ありがたいことに、ほんの数百円でネイティブにレッスンしてもらえるweb英会話スクールが雨後の竹の子のようにたくさんあるので、どんどん活用すればよいと思います。

私の若いころには、そんな便利なものは全くありませんでした。そういった学習のインフラでいえば40年前と現代とでは英語学習者にとっての便益は雲泥の差があります。

 

で、本稿の私の小結論としては、「別にこれまで習ってきたとおりで、特に問題ないじゃないか」というものです。

繰り返しになりますが、「売らんかな」のマーケッターの口車にのって、そんなトリビアルな点を修正している時間があったら、もっと根本的な「発音矯正」に取り組むとか「リスニング力強化」に取り組んだほうが、よほど生産的だと思います。

ある程度実力がついてきたら、そういうトリビアルな点は、実際の会話の中で自力で理解するようになりますので、全く心配いりません。

日本の英語教育市場が相応に大きく、拡大しているところにつけこんで、非本質的な点で注意を引こうとする方々にだまされない、健全な思考を持ちたいと思った次第です。

 

・・・・と書いた後に思ったのですが、タイトルの「中学英語は間違っているのか?」は、前回投稿したレトリカル・クエスチョンでした。

実際は、「中学英語で全然間違っていない!」という強調文です。

よくよく考えると、書籍やブログに至るまで、タイトルでレトリカル・クエスチョンが多用されますね。前回の投稿では、「使いすぎに注意しましょう」などと言っていたのですが、こういったケースならそれほど問題ないような気がしますが、いかがでしょうか(←は、本当の疑問文)。

 

英語学習については、高額なスクールに通う前に、かなり計画的に学習誘導してくれるような、自学ツールでコツコツやるのも一つの手ではないでしょうか。 ちなみに、うちの中一の娘はこれで英語頑張ってます。

 

 

 

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Posted by yaozo