英文法の「なぜ」by 朝尾幸次郎

英語学習

堀田隆一先生のブログ『『hellog ~英語史ブログ~』』というのは、実に頻々と更新されており、糸井さんチームよろしく「ほぼ日(almost daily)」です。

一回分が短いのと、長い歴史により積み重ねられたコンテンツに相互リンクを貼って、その時々の話題を支える、という構成が一般的なので、それこそ日記を書くように長らくコンスタントに書き続けてくれています。助かりますね。長距離ランナータイプです。人柄がしのばれますね。

※私は、ついついワンテーマが長くなりがちなので、知人から「長すぎて読み終えられない」というアドバイスをもらいましたので、もう少し短く書こうかと思います。つまり「あなたは...重い」ということらしいです。本人としては、あるテーマについて知らなかった自分が、これを読んだらさぞかし楽に当該テーマについて知れるなぁ、助かるなぁ、というコンテンツをめざしているので、ある程度長くないと成立しないんですけどね。まぁ、好き好きでしょう。

 

英文法の「なぜ」by 朝尾幸次郎

で、堀田先生の十八番である、「英語の素朴な疑問に答えます」的書籍の新刊本として紹介されていたのが、これ『英分布の「なぜ」』です。

 

朝尾先生は現在立命館の教授ですが、1949年生まれとのことなので、堀田先生よりなかなか先輩のようですね。

堀田先生は自身も『英語の「なぜ?」に答えるはじめての英語史』 という同趣旨の専門書を出しており、アプローチやゴールが似ていることもあることから、

手に取ってみたら, 実に読みやすく, わかりやすい

とブログで紹介しています。

なるほど。

 

で早速購入して読んでみました。

実に面白いですね。

私の場合、この種の本は大概楽しめるのですがみながみなそうではないでしょう。

最近は、理由はどうあれ、英語を再学習する大人が増えてきているでしょうから、日本の英語教育関連書マーケットも、いつまでも「テスト対策本」でなんとか食っていこうとする時代は過ぎた、と言っていいでしょうから、こういった「一般人向けの専門書」の存在は実にありがたいですね。

「講談社ブルーバックス」シリーズは、科学の分野で同じようなことを、極めて多様な領域において長らくやってきています。日本人の一般教養の底上げに、どれほど貢献があったことでしょう。

アメリカでは、この種のアカデミックなハイブラウな内容を一般人にわかりやすく説明して出版してくれる「テクニカルライター」が多いと聞きますし、私も何冊か読んだことがあります。教育・教養の国民資源への大きな影響を理解しているからでしょうね。

 

 

前提

さて実際のほんの内容ですが、「まえがき」を読むと、この本のコンセプトがわかります。

  1. 英語を学習すると、多くの「なぜ」がわいてくる
  2. その謎を解くカギは歴史にある(堀田先生と同じです)
  3. しかし、だからこそ、本書では、英語史の知識を前提にしない
  4. 具体的な用例に語らせる(小説、映画、インタビュー等多彩な素材から引用しています)
  5. キーワード(この章は、文法的には「何の話か」がわかりやすい)

全256ページ。丁度いい、幅と深み。

これ以上風呂敷広げられても落ち着かなくなりますし、これ以上深いと一般人には興味が薄れてきます。

 

これくらい平易な文章で、英語の本質的理解のための実に重要なヒントがこれでもか、と語られています。

いつも思うのですが、こういった良本に巡り合う度に、「あぁ、英文科1年生の時にこういった本に巡り合っていたらなぁ」と。

別に、良いものは何時読んでも遅いことはない、という考えもあるので特にすねたりうらやましがったりするのは無意味です。

しかしその一方で、「この1冊に出会ったからこそ」人生が変わった、という本もいくらもありますので、やはり勉強に専念できる学生時代に良書に出会うことは、人の人生をわりに簡単にそして大きく変えることができると思います。

なので、良い本は何時出会えてもラッキーなのですが、早ければ早いほどその幸運もまた大きいというのも事実でしょう。

特に、この本のように、専門的知識がまだ頭に入っていない人に、噛んで含めるように説明してくれる良書こそ、若い時代に読みたかったし、若い人には是非読んでいただきたいですね。

英語に対する心構えや理解力、総合的把握力みたいなものが大きく違ってくると思います。

 

昔は、英語の教授はもっと教条主義的で、権利主義的でした。

この2人のように、「まぁ、昔の監修はさておき、ただいま現在この点について考えてみますと...」と実にこだわりがなく、フラットです。

すばらしい。


コンテンツ

本書の目次を以下に転載します。目次を見るだけでも、読みたくなってきますね。

買うまでもないかなぁ、という方のために、面白いと思ったポイントは順次シェアしたいと思います。

いちいち膝を打つので、膝がいたいくらい納得の本です。

あのNHKの番組なら、聞いた人全員が「ガッテン」ボタンを押すことでしょう。

 

1 英語の始まり
1.1 ブリテン島の攻防
1.2 現代英語
1.3 近代英語
1.4 中英語
1.5 古英語
〈英文法こぼれ話〉 日比谷公園のルーン文字
2 「てにをは」はどこにある
2.1 「は」はどこにある
2.2 屈折の話
2.3 英語は聞き取りにくい
〈英文法こぼれ話〉 アポストロフィー大論争
3 代名詞にだけ主格・目的格があるのはなぜ
3.1 古い姿を残す1人称代名詞
3.2 単数にも複数にも you を使うのはなぜ
3.3 文法性を捨てた3人称代名詞
3.4 同じ起源だった who, what, why
3.5 主格と目的格のせめぎあい
〈英文法こぼれ話〉 who と whom,どちらを使う
4 屈折はなぜ消えた
4.1 英語消滅の危機
4.2 消えた屈折
4.3 代名詞の they はどこから来た
〈英文法こぼれ話〉 ポアロはことばの名探偵
5 格はどこへ行った
5.1 主語・目的語は何でわかる
5.2 なぜ It’s me. と言うのか
5.3 なぜ There is/are と言うのか
5.3 なぜ go home と言うのか
6 〈3単現〉だけでない動詞の謎
6.1 不規則動詞は例外か
6.2 〈3単現〉に -(e)s をつけるのはなぜ
6.3 be 動詞が無秩序なのはなぜ
〈英文法こぼれ話〉 『トム・ソーヤーの冒険』に現れる古英語の〈3単現〉
7 未来形はどこにある
7.1 「未来形」の謎
7.2 will が未来を表すのはなぜ
7.3 shall が未来を表すのはなぜ
8 仮定法は仮定を表すのか
8.1 なじみの薄い「法」
8.2 ものの見方・とらえ方
8.3 従節に現れる仮定法現在
8.4 影の薄い仮定法
8.5 過去形で現在を表すのはなぜ
8.6 命令文に動詞の原形を使うのはなぜ
8 仮定法は仮定を表すのか
9.1 can に〈3単現〉の –s をつけないのはなぜ
9.2 仮定法の意味を担うようになった may
9.3 なぜ must には過去形がないのか
9.4 could, might の将来
10 覚えきれない単語の謎
10.1 英語史上最大の危機
10.2 こんなに語彙が多いのはなぜ
10.3 不思議な綴り字の謎
〈英文法こぼれ話〉 U・V・W の謎
11 前置詞 of の意味はなぜ混乱している
11.1 「の」では理解できない
11.2 前置詞 of が所有格の意味を表すのはなぜ
11.3 所有格と of のどちらを使う
12 英語は歴史的かなづかい
12.1 母音を目で見る
12.2 姿を変えた英語の母音
12.3 規則的に不規則な英語の綴り字
〈英文法こぼれ話〉 ghoti の謎
13 A の謎:可算・不可算はどうして決まる
13.1 数詞から生まれた不定冠詞
13.2 可算・不可算はだれが決めた
13.3 形あるもの・ないもの
13.4 なぜ a few と言うのか
〈英文法こぼれ話〉 歴史に残った不定冠詞のつけ忘れ
14 定冠詞の謎:the はつけるの,つけないの
14.1 指示代名詞から生まれた定冠詞
14.2 認識の共有
14.3 輪郭をつくる
14.4 とりたて
〈英文法こぼれ話〉 ハックルベリー・フィンとトム・ソーヤー
15 関係代名詞に that と wh- があるのはなぜ
15.1 that を接続詞に使うのはなぜ
15.2 that, who, which, what を関係代名詞に使うのはなぜ
15.3 関係代名詞は省略されたのか
〈英文法こぼれ話〉 二重否定は肯定か
16 that で程度・結果を表すのはなぜ
16.1 なぜ so/such … that と言うのか
16.2 なぜ so that … で結果・目的を表すのか
16.3 なぜ that が「そんなに」と言う意味になるのか
17 不定詞に to がつくのはなぜ
17.1 なぜ「不定詞」と言うのか
17.2 不定詞に to がつくのはなぜ
17.3 疑問文・否定文に do/does/did が現れるのはなぜ
〈英文法こぼれ話〉 明治時代の助動詞 do
18 不定詞は何を表す:to 不定詞と原形不定詞
18.1 to 不定詞の意味はどこから生まれる
18.2 動名詞と to 不定詞,何が違う
18.3 知覚動詞と使役動詞:原形不定詞を使うのはなぜ
19 現在完了形に have を使うのはなぜ
19.1 現在完了はなぜ〈have+過去分詞〉なのか
19.2 完了・結果・経験・継続の意味になるのはなぜ
19.3 なぜ have to という言い方をするのか
20 進行形は進行を表すのか
20.1 進行形はなぜ〈be+…ing〉なのか
20.2 クローズアップで見せる進行形
20.3 なぜ be going to という言い方をするのか

あとがきに替えて――『オックスフォード英語辞典』を使う

 

未だお手元にない方は、是非。

 

英語学習については高額なスクールに通う前に、かなり計画的に学習誘導してくれるような、自学ツールでコツコツやるのも一つの手ではないでしょうか。

ちなみに、うちの中一の娘はこれで英語頑張ってます。



 

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Posted by yaozo