「Mind you」に気をつけて!
yaozoです。
先日夜就寝前に、いつものようにiPadで海外ドラマを見ていて、気になるフレーズがありました。
『Game of thrones』の新作だったか、 『True Detective』だったか忘れましたが、登場人物が相手に↓のように言っていたのです。
“Mind you,****”
意味としては『いいかい?』と『言っておくけどさ』みたいなことだとはわかっていましたので、そのまま気にせずドラマを続けていました。
語順がよくわからない
しかし、よくよく考えると、このフレーズはなぜこの語順なのか、ドラマを見ながらも気になってしましました。
というのも、このフレーズは相手に対して『(これから言うことを)mindしてくれよ』という命令文ですよね。
であれば、本来語順は、「Mind,(意味上の主文)」であり、相手に対する命令であることを強調したいときであっても、「You mind, (意味上の主文)」となるはずです。
この時の「mind」は、目的語をとらない自動詞の「mind」です。
weblioで「mind」の自動詞用法を調べると↓の2用例がありました。
1.いやと思う, 気にする, 反対する
例:if you don’t mind(もしよかったら、差し支えなければ)”
2.注意する, 用心する”
例:Mind now. It’s too early to be certain(言っておくけど、まだ確信するには早すぎるよ)
なので、このフレーズは2の用法ですね。
ちなみに、↑のweblioの例文では「Mind」の後に「now」の副詞用法をつけて文にしていますので、「you」という命令相手は入っていません。
よって、たとえば「Go.」や「Sit(down).」のような単純な命令形なので、「Mind now.」なら、私の疑問は湧かないわけです。
さてそれでは、なぜ「You mind」ではなく「Mind you」の語順になっているのでしょう。
堀田先生に聞いてみよう!
早速「mind you語順」でGoogle検索すると、以前このブログで紹介したことのある、堀田隆一先生の英語史ブログ『hellog~英語史ブログ』の、「Mind you」の語順の謎を解説するページが、まんまと第1位にヒットしました。
#1541. Mind you の語順[imperative][word_order][syntax][emode]
読んでみると、相変わらずきわめてクリアに説明してくれており、スッキリしましたので、以下にその概要をシェアしみなさんにもスッキリしていただきたいと思います。
・現代英語では、一般的に2人称に対する命令文の場合には、主語のyouは省略される。
・ただし、相手に対するいらだちなどの感情表現したいときyouが現れることが少なくない。
・しかし、初期近代英語までは、主語のyouやthouを使う強調文の際には、動詞の後に表れていた(倒置文ということか?)。
例)“Bring thou the master to the citadel”(『オセロ』byシェイクスピア)
・18世紀以降、「主語→動詞」という語順が優勢になった。
・しかし、否定命令文にはまだ昔の名残が残っている。
・たとえば、“Don’t you be so sure of yourself”のように“Don‘t”が主語のyouの前に来る構文となる。
・同様の名残としてこの“Mind you”がある、と考えられる。
・他に、”mark you, look you”等があるが、これらのyouは全て目的格ではなく命令文における主語である。
英語の語順は思ったより不安定
なるほど、綴りと発音の関係が不安定だったのと同様に、語順(構文)も、私たちが今学校の英語教育でそれらしく教わっているほど、安定的なものではなかったということですね。
私は英語を習いたてのときに、しばしば「日本語は主語を省略するが英語では主語は絶対に省略してはならない」などと教える舌の根も乾かぬうちに、いきなり「ただし、命令文には(相手がyouであることが自明なので)youは省略する」などと言われます。
中学生の私は、「それをいうなら、『I love you』みたいな単純なSVO構文でも、『I』が相手に言っているのだから、省略可能なんじゃないの?」などと超素朴な疑問を持っていました。先生には言いませんでしたが...。
実際に主語の省略は日本語の専売特許でもなんでもなく、当の英語でも、「Got it!(「わかった!」「いいよ~」)、あるいは「On it!(「やります!」「了解!」)」、はたまた電話の最後で言う「Love you!(じゃあねぇ!)」等々、英語でも主語のI(や「I’m」)を省略することが少なくないことを知ったのは、はじめて英語構文を習ってから随分経った頃のことでした。
ちなみに、ロンドンでよく見たり聞いたりする例の、“Mind your gap(電車とホームの足元にお気を付けください)”のmindは他動詞で、your gapを目的語にしている素直な命令文ですね。
同様に他動詞のmindを使うイディオムで頻繁に耳にするのは“Mind your own business.(「君には関係ないだろ」「ほっとけよ」)”がありますね。
この辺りの、動詞が自動詞的用法なのか他動詞的用法なのかという点は、しっかりとmindしとかなきゃいけませんね。
英語学習については高額なスクールに通う前に、かなり計画的に学習誘導してくれるような、自学ツールでコツコツやるのも一つの手ではないでしょうか。
ちなみに、うちの中一の娘はこれで英語頑張ってます。
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