Netflix「After Life」で学ぶイギリス英語 その2

イギリス英語



Ricky Gervais主演の最新ドラマ「After Life」から、今回もイギリス人ならではの英語表現をいくつか取り上げて、私なりに考察してみたいと思います。

本格s01e01中盤でのワンシーン。主人公のTonyが、勤務先である地方新聞社の社内で、広告担当の女性に対してあまりに無礼なことを言って困らせます。広告担当は社の代表Matt(亡くなった妻の兄弟なので、Tonyの義理の兄弟にあたる)に、彼を何とかしてくれと直訴。MattはTonyを「ちょっと来て」と、執務室に連れて行きます。

つらい時期なのはわかるが、もう少しわきまえてくれと諭すMatt。彼に対して、Tonyが立て板に水で言い返すときに、「reckon」という動詞を使います。

 

このページから読み始めた方は、前回のお話は以下でご覧になれます。

Netflix「After Life」で学ぶイギリス英語 その1

 

reckon = think

 

“Do you reckon my wife dying affected me a bit?(妻が死んだからだ、って思ってんだろ?)

 

受験英語的には、辞書に書いてあるように「計算する」「清算する」といった会計用語的なものだというイメージが強いです。また、アメリカ人の場合は、たいていこの意味でしか使わないように思います。ただし、この基本的な用法以外に、「~と思う」という意味でも使われる、と書かれています。ただ、受験英語的には、こんなマイナーな用法まで手が回りませんよね。

ところがウェブで調べてみると、イギリスで生活した経験のある方が、イギリスでは主にカジュアルな調子で「~と思う」というような意味でちょくちょく使われていて驚かされた、というような体験談をよく目にします。”I reckon that you’re a nice bloke “などと早口かつリダクションバリバリのイギリス語で話しかけられたら、面食らうでしょうね。想像に難くありません。

私自身は、残念ながら留学経験が一切なく、純粋な国産英語話者の1人なので、イギリスでどれくらいフツーにこの用法で使われるのかについては正直実感が沸きません。ドラマではたまに耳にして、イギリスならではの言い方なのだ、ということを知っていた程度です。

イギリス人(やオーストラリア人)の知り合いの方々の口からは、あまり聞いた記憶がありません。おそらく、仕事づきあいの方々は、あくまでビジネスベースのつきあいだということで、「よそ行きの言葉」を話しているものと推察されます。また彼らは一様に、外国人との仕事の経験も長いので、そもそも「どの国の人にも通じる英語=よそゆきの言葉」と、「国内の人にしか通じない英語」があることを経験上知っているので、イギリス人以外と話す時にはモードチェンジしているように思います。

「よそ行きの言葉」とは、イントネーションはできるだけ、RP(Recieved Pronounciation=主に上流階級が使うといわれる総体的に明瞭に聞こえる言葉)に近づけるとともに、イギリス英語固有の単語はさけるといった言葉です。

私的につきあいのあるイギリス人の方の場合も、色んな国を回ってきているので、上のようなモードの使い分けをして、私が私との会話の中では、よそ行きの言葉を使ってくれているようです。というのも、たまに固有表現をして、私から「それどういう意味ですか?」などと素直な目をして質問され、とても照れくさそうに、「あ、そっか、これイギリス英語でしか言わないかもね。●●って意味よ」と返してくれます。

というような事情で、日頃接することのないこの reckon は、このようにドラマでごくごくフルーに使われてるのを見て、「あぁ、そういえばreckonとか言うんだったなぁ。おもしろ~い」「でも、●●さんも◆◆さんも言わないなぁ...。き使ってくれてるんだなぁ」などと、その都度思うわけです。

bloke = guy

我らがTonyに戻りますが、かなり丁寧に噛んで含めるようにMattに説教されてもまだ、「人にやさしくしたりしても、まったくいいことなんかないじゃん。そんなことしたら、逆にdisadvantageになるよ」などとうそぶき、改める気が毛頭ありません。そんなTonyに業を煮やしたMattは「だったらやめてもらうことになるよ」とキツいことを言ってみるのですが、すかさす「そんなことしないよ、君は。君はしないんだよ」と返されてしまいます。その理由がこれ。

” ‘cause you’re a nice bloke” (君がいいやつだからだよ)

全く相手の人の好さに「つけこんで」好き放題なわけですが、ここで彼が使う「bloke」も、イギリスならではの表現ですね。意味は、アメリカ人の言う「guy」と全く同じですが、学校では全く習いませんでしたね、こんな言い方。

ところが、現代を舞台にしたイギリスのドラマの中では、しょっちゅう出てきます。誰かそこにいない人物を評して ”Yeah, he’s such a lovely bloke.” などと使っています。

他方この、「lovely bloke」の全く逆の表現として、この会話の中で使われ言葉に「arsehole」というものがります。もちろんこれは、アメリカ人の多用する忌避表現の1つ「asshole」と同じ「最低のやつ」という意味であり、わざわざこんなところで取り上げるような言葉ではないと思われるかもしれません。耳の良い人だと、音だけ聞いてる分には発音がちょっと違うなぁ、というのは分かることかと思います。無理やりカタカタ表記でやると、イギリス英語が「アースホール」とスカッと真っ直ぐ抜けていく感じなのに対して、アメリカ英語は、「ェアッスホール」といった感じで、第一アクセントにかなりのストレスがかかります。「あっんのやろう~」って感じでしょうか。

 

「arsehole = asshole」に見るイギリス英語の特徴

発音が違うのは気づいていたのですが、年を取ってから、DVDで英語字幕設定にしてイギリスの映画やドラマを見るようになって、スペルまで違うのに気がついたので、英米両英語の発音とスペリングの関係に関して思うところがあり、取り上げてみました。

実際、イギリスの方は、「アー」と伸ばしますので、スペル上、「r」が入らないと「asehole」となり「エイスホール」と誤読してしまう人が多発するでしょうね。あくまでも言語は和声ありきなので、音に合わせてスペルを合わせるわけですから、この言葉の最初の「アー」は、イギリス人が「car」という時の、non-rhoticの「r」の発音です。ですので、必然的につづりには「arse-」とrを入れないとこの伸びる感じが出ませんね。

些細なことといえば、些細なことなのですが、ここには、イギリス式発音(およびスペリングのマッチング)と、アメリカ式のそれとのとても特徴的な関係が浮き彫りになっていて面白いなぁと思ったのです。

仮にアメリカ人に「arsehole」を読ませると、rhoticが挿入された発音になり、イギリス人の読みとは全く違う音が出てくることでしょう。

発音の話になると、ついつい長くなりますのえ、一旦これくらいで切って次の投稿に続く、という感じです。

 

英語学習については、高額なスクールに通う前に、かなり計画的に学習誘導してくれるような、自学ツールでコツコツやるのも一つの手ではないでしょうか。 ちなみに、うちの中一の娘はこれで英語頑張ってます。

 

 

 








Posted by yaozo