『英語リスニングの鬼100則』やっと一周しましたので、レビューします!!
yaozoです。
英語学習者として、リスニングに一番苦心しているので、ここ数年力を入れています。
前の投稿に書いたように、いろんな動画で勉強したり、専門書を読んだりしてがんばってます。
今日は、前の投稿で紹介した『英語リスニングの鬼100則』(明日香出版・米山明日香先生の著作)がようやく一周したので、レビューします。
まず、簡単な短文が聞き取れない!
入手してからようやく1周終わりましたので、じっくりレビューさせていただきます。
ちょっと長いです。いつものように。
まず、本書の素晴らしい点は、上の写真の帯に書かれているように「リスニング・トレーニング満載」なところです。
書籍内に書かれているULRから音声ダウンロードサイトに行って、音声ファイルを一括ダウンロードすればOKです。
私はスマホでQRコードを読んでスマホ内のSDカードにダウンロードしました。
この音声を、スマホの音声をワイアレスイアフォンで聞きながら学習を進めました。
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.onkyo.jp.musicplayer&hl=ja&gl=US
私は、軽くて高性能なOnkyoのプレイヤーを使ってます。もちろん、オートリピート機能がついているので、ディクテーションの際に大変便利です。
それでですね、この本の中には、本当にたくさんのリスニング素材が収録されていて、ターゲットとする音素毎に適切な音声データがアメリカ英語(GA)および必要に応じてイギリス英語(RP)が用意されているわけなんです。
原則的には、ある音素、たとえば、[ð]のページを例にとると、「Practice Listening」で10個、「Pronunciations Practice」で5個と、合計10個の音声があります。
学習方法としては、
まず、[ð]という音が一体どのようなものか、ということについて1-1.5頁くらいを使って解説されているので、ここでまず、この音の本質を確認します。
口元アップの写真や、発音書でおなじみの喉や舌の位置がわかる側頭図などを用いて、かなり詳細に解説してくれていますし、「摩擦音」「破裂音」といった専門用語でも表現されているので、アマチュア用テキストとしてはこれで十分でしょう。
次に、「Practice Listening」というブロックがあり、実際にこの音を含む単語や短文を聞いて、ディクテーションします。
たとえば
(1)mother
(2)southern
(p-180)
といった具合に、[ð]の音を含む単語や短文が音声データ一区切り(音楽アルバムなら1曲分として)読み上げられます。
で、単語や短文ですんで、これを単に書きとっていけばいいんですけど、ほんのたまに、短文の中で、何回リピートしても全く聞き取れないものがあるわけなんです。
もちろん[ð]という音を含む例文を出しているだけなので、複雑な構文を使ったようなものはなく、ほんとに短い文章だけなんですけど、10回聞いてもわからないものがあります。
私は、5回くらい聞いてもわらかない場合、途中で一旦音声を止めて、冷静になって、あらんかぎりの文法的知識やボキャブラリー力を駆使して、「う~む。とにかく○○と言った後に、■■(聞き取れない箇所)が来て、その後に△△って言ってるんだから、ここは動詞のはずだ」などと、ああでもないこうでもないと考えます。これをやれば、大体の場合「AHA的瞬間」が訪れてわかります。
わかったときは、実に気持ちいいですよ。
そこまでやってわからなかったとしても、少なくとも10回は聞こう、と決めて取り組みました。
で、そこまでやっても聞き取れない文章があるんですねぇ。しかも、短文。
一応、TOEICも975点マークしましたし、ぎりぎりとはいえ、英検1級取得している私なのですが(詳しくは前の投稿に書きました)、そこは、やはり990点満点をとれていないだけあって、どうしても「これあと100回聞いてもわからんだろうなぁ」という短文があります。
たとえば、こんなやつ。
Michelle clothed herself in red.
(p-180)
次ページのAnswerを見ると、ほんとに、なんでもない文章なんです。
高校生以上であれば、これくらいの短文、テキストで読んでわからない人は、いないんじゃないでしょうか。
まぁ、実際私は、”clothe oneself in ~”っていうイディオムは、一旦停止して熟考している際に、私には全く思い浮かびませんでしたが、、、、。
後でレビューすれば、[ð]の勉強をしているページで、(カタカタで書けば)「クローズ」って聞こえてるんですから「clothe」って言ってるのはなんとか聞き取れましたし、最後が「red」っで締められてるってはなんとかわかりました。
じゃぁ、なぜ聞き取れなかったか?
よくよく考えると、その後に来る”herself “という音が聞き取れなかったことが原因だとわかりました。
つまり、”clothed” の ”d” と “herself” の 頭がリンキングして、「クロォーズドゥァセルフィンレッド」となっている一連のサウンドが聞き取れていなかったんです。
つまり、”herself” の語頭の “h” と語末の “f” がそれぞれ、前の “ð” と 後ろの “i”とつながって、
“klouðd hərsélf ín”
となっているのが聞き取れてなかったんですね。
ずっと「ダセーフィン」とはなんだ?
ってもんもんと考えていたんです。
わからんなぁ、って。
おお、まさに帯に書いてある通り
なぜその音が聞き取れないのか?がわかれば、飛躍的にリスニング力が上がる
そのままの成果じゃん!!
と感動することしきり。
暗い[l(エル)]
本書では、[l]の音には、暗い[l]と明るい[l]がある点が説明されています(p-222~)。
暗い[l]は、たとえば[milk]の[l]です。
これを明るい[l]だと思い込んで(カタカタで書くなら)「ミルク」という音を期待してると、聞き取れません。
これは、暗い[l]なので、(カタカタで書くなら)「ミウク」と発音されます。
[herself]の中の[l]も、当然暗い[l]なので、上の[herself in]は、「(ダ)ァーセゥフ(ィン)」となるわけで、前後のリンキングも手伝って、よけいに「herself」を「ハーセルフ」だと思い込んでる人には、全く聞き取れるわけがありません。
この暗い[l]問題は、本書中にところどころで触れられています。
間違えといていうのも何なのですが、私は、この法則、20代前半に知ってました。
その時は「暗い[l]」「明るい[l]」という言い方ではありませんでしたが。
大学生の時に読んだ伊丹十三さんのエッセイに出てきたんですよね。
今手元にないので、あいまいなんですが、おそらく『ヨーロッパ退屈日記』だったと思います。
たしか、[well] かなんかを取り出して、『ネイティブ話者は「ウェル」なんて言わない。最後のエルは「ウ」と発音される』っていうようなことが書いてありました。
自分でも、「ウェーウ」とか「ウェゥ」とか口に出してみて、一気にネイティブ発音に近くなり、なるほど~、と膝を打った覚えがあります。
そういや、大学のアメリカ人教師は、雑談してるときに、「ウェゥ」とか「アイゥ ゴーンゲリィッ(I’ll go ‘n’ get it)」とか言ってるわ、って感じで関心しました。
そう聞こえているのは、わかっていても、「ル」よりも「ウ」が近い、という前景化してなかったですからね。
さすが、希代の才人、伊丹十三さんだと、ほれぼれしたもんです。
ちなみに、私が大学生のある冬、銀座の山下書店の哲学書コーナーに立ち寄ったら、ちょうど、高級そうなキャメルのコートを着た、背の高い「ダンディ」としか言いようのない恰好をした伊丹十三さんを見かけました。
もちろん、そのころ大ファンだったので、近づいて握手してもらいました。
とても大きくて、あったかくで、やわらかいのにしっかりと握りがいのある握手をしてくれたのを、昨日のことのように覚えています。
まだ彼が映画監督業に乗り出す前のことでした。
もう、35年以上前の冬のことです。
他にもこんな短文が聞き取れなかった。マジか?
Do you read poems with your children?
(p-204)
これは、[read]と[your children]の間の[poems with]が全く聞き取れなかったパターン。
「ポームズゥィーズ」って、なんだ?
という発想から離れられなくて、あなたは[read]=「読む」するか ~ で[your children]=「あなたの子供たち」と来ているんだから、冒頭に「文法的知識を駆使して」なんて書いたのが恥ずかしい、浅薄な分析ですね。
だって、[read][your children]で、「あなたの子供たち ~ 読むか?」なんだろうから、[your children]の前に、前置詞が来なきゃダメでしょう。
そこまではわかったんですが、どうしても「子供たちに」だという先入観がぬぐえず、
「ここは、[to your children] のはずなんだけどなぁ、でも[to] って言ってないなぁ」
で思考停止してしまい、前置詞がなきゃ成立しないのに「ポームズゥィーズ(なぜかかたくなに「1語」だと思い込んでいる)っていう謎の単語しかないなぁ、こまったなぁ」という状態でした。
で、Answerを読めば、先の例同様、中学卒業してれば、だれでもわかるようなレベルの短文でした、という情けない話。
しかも、このページは、[m]のページ。一番聞き取らないとならない部分を、勝手に1語だと思い込み、思考停止、というザマでした。う~む、情けない。
他にもいくつかあったな。
Do you eat fish and shellfish?
(p-280)
なんてのも、10回聞いてアウトだったやつです。
「フィッシェンシェルフィッシ?」って一体全体、何語でできてるフレーズかもわかりませんでした。
そもそもこの[fish and shellfish]という言葉自体を知らなかったのが敗因だとは思いますが、、、。
「魚介類」なんて言葉があるんですねぇ。
おそらくネイティブなら幼児も知ってるんでしょうけど、英語圏での生活経験のない我々は、案外こういう日常的な単語が穴になりますね。野菜の名前とかそういうやつ。
オーバージーンとか?
ミニマルペアが聞き分けられない!?
本書は音声データが豊富なのは上で書いた通りなのですが、特にありがたいのが、この「ミニマルペア」の音声群です。
「ミニマルペア」というのは、
ミニマルペアとは、ある言語において、語の意味を生む音の最小単位である音素をわかりやすく際立たせるために、単語のうちの1つだけ音素を変えた2つの単語のペアのこと。
(p-35)
とあります。具体的には↓のようなペアです。
(1) cat, cut [kæ’t][kʌ’t]
(2) lock, rock [lɑ’k][rɑ’k]
(p-36)
で、私の場合は、よく日本人の弱点として指摘される、[l]と[r]や[s]と[θ]はなんとか聞き分けられるつもりなのですが、やはりというか、なるほどというか、↑で聞き取れなかったと書いた[ð]と[z]の聞き分けが極めて苦手なこともわかりました。
↓のミニマルペアが激ムズでした。
with vs. whiz
clothe vs. close
teething vs. teasing
bathe vs. baize
(p-179)
特に、[bathe]と[baize]は、何回も聞きなおしましたが、聞けば聞くほどわからなくなる、という事態が起こり、一度忘れることにして、後日再チャレンジしました。
少しはましになったような気がしますが、また違う問題が出たら聞き分けられる自身がありません、、、、。
気音。大学で習ったような習ってないような、、、
本書で新たに学んだことはいくつもありましたが、中でも印象に残っているのが、この「気音」の存在です。
「気音」というのは↓のように説明されています。
強い母音(=弱母音ではない母音)の前で、無声破裂音の解放(破裂)が起こった直後に強い息が漏れることです。
たとえば、par と言う際に、’p’ のあと ‘ar’ の前に息が漏れるという感じです。
(p-139)
大学では、英文学を専攻したので、おそらく「英語音声学」的な授業でちゃんと習ったとは思うのですが、そのあたりの事情は、35年以上前の話なので記憶力的に無理なのと、音声学自体の今昔という事情もあろうかと思うので、私としては「初耳」感です。
具体的には、こんな単語です。
(1)pencil
(2)pick
(3)peanut
(p-141)
語頭に[p]が来る際に気音を伴うということです。
なので、語末の[p]には気音は続きません。
syrupの語末の[p]は「気音」を伴いません。むしろ音が脱落している感じがあります。
(p-140)
また、これは、他の破裂音[t][k]も同様の法則があるようですが、語の中に[p][t][k]がある場合には、気音を伴わないと書かれています。
(1) pin vs. spin
(3) take vs. stake
(5) cool vs. school
(p-253)
なるほど、ネイティブ発音を「耳コピ」して勉強してきた私が、無意識のうちに、やっていたことが、こうやって規則として、体系的に書かれてあると、大変腑に落ちます。
たとえば「このピンが痛かったんだよ」なんて言うときなら、「ピィーン」といった方が、ネイティブに近いですし、「ここが回転するからね」なんて言うときなら、「スペン」とパッと発音してますよね。
ちなみに、(5)の [cool]なんか、上の「暗い[l]」で終わりますので、気音と「ゥ化」を合わせて、カタカナで無理やり書くなら「クォーゥ」ってな感じですよね。
とにかくおススメなので、じっくり取り組んでみてはいかがでしょう?
私は、この書籍を買ったことを投稿したのが、12月の4日なので、結局3週間以上かかってやっと1周終わったわけです。
ボキャビル書などを除けば、この種の英語学習書にかける時間としては、相当長い方ですが、じっくりじりじりと進めていけば、毎回新たな発見があって「AHA体験」連発で楽しいですよ。
それから、私は圧倒的にアウトプット練習時間が短いので、本書の「Pronunciations Practice」にある短文を、発音に十分注意して一気に言い切る、という練習をしました。
久しぶりの発音練習で、舌が回らず、自身の英語のスピーキングの現在の限界点を痛感させられました。
それこそ10回くらいやれば、50過ぎのオッサンがやっても十分記憶できますので、最後は、テキストを見ずにオーバーラッピングできるようになりました。
やはり帯に書かれている通り、
「発音を「同人い練習して相乗効果を得る」
を実感した次第でした。
ということで、ちょっと、オーバーラッピングとかシャドーイングとか真剣にやるか、と思うに至り、さっそく↓のような本を買いました。
『10秒リスニング』
『決定版 英語シャドーイング』
鬼シリーズ3冊との集合写真です。
ご贈答品に『鬼100則シリーズ』を、是非!!
ということで、英語学習者のお友達がいらしたら、是非、お歳暮やお中元w、お誕生日プレゼントなどに「鬼シリーズ3巻セット」をお送りしたりすると、よろしいかと思います。
※って、時吉先生もツイートしてたような気が、、、
時吉先生のツイッター情報によれば、都内のあちこちの書店で、このセットが平積みされて大展開されているようです。ちょっと最近見たことないような「英語本セット」の平積み写真を何枚も見ました。
かなり圧巻です。
どれか一冊からでもお手に取ってみることをおススメする英語学習者でした。
ではまた。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません