今度はNetflixで『Sherlock』のイギリス英語を完全制覇:その1

イギリス英語, ドラマ・映画, 英語学習

yaozoです。

 

英語と音楽に関する投稿の多いブログを書いています。

総読者数が少ないわけですが、そんな中でも人気のあるなしはあるもんでして、一番人気がある投稿は、英検1級山下達郎さん関係です。

しかし以外と検索結果の良いのが、Netflixのドラマ『After Life』のフルエピソードを使った、イギリス英語を深堀りするという企画です。10本以上書きましたので、3万文字以上になると思います。

たとえば、「イギリス英語 Netflix」などとググると、ある時期からずっと1位独走中です。

今調べたら、エピソード4が1位で、エピソード0(イントロ)が2位でした。なぜか、あとのエピソードはヒットしません。検索ワードを少し変えると出てきたりします。

Netflix「After Life」で学ぶイギリス英語 その4

このシリーズは、ドラマ『After Life』で使われるイギリス特有の英語を完全制覇しよう、そしてこのドラマで使われる英語は全て理解してしまおうという試みです。

しっかりとフルエピソード6本分を全12本の投稿で読破しました。

 

やり方はいたってシンプルです。ドラマや映画のスクリプトを読めるサイトにいって、このドラマのスクリプトを見ます。

そして、イギリスっぽいなぁとか、なんでこんな言い方するんだろう、と私自身がひっかかったフレーズを、かたっぱしからリサーチして解読する、というものです。

普段ドラマを鑑ているとき、日本語字幕を読みながら、英語オリジナル音声を聴いているだけだと、なんとなく英語がわかってる気になってしまいますが、存外わからない表現が山盛りなわけです。

特に、イギリスのドラマは、映画やドラマ好きな人なら圧倒的な割合でアメリカ英語のものを鑑て・聴いてきたわけなので、わかりません。

なので、そんなイギリスドラマを、力業でごりごりと読み下していくという企画だったわけです。

そして今回、ドラマファンの誰もが一度は見たことがあるだろう、というベネディクト・カンバーバッチ版の『Sherlock』に手を出そうというわけです。

エピソードいくつまでやれるかわかりませんが、一応本編は完結しているようなので、できれば全エピソードやりたいですね。

 

他のサイトの研究

ということで、他のベネディクト・カンバーバッチ版『Sherlock』関連のサイトをリサーチしてみました。

同じような趣旨のものがあっては、投稿の意味がありませんからね。

少し見てみたところ、

「あらすじの紹介(ネタバレのあり版、なし版)」

「エピソード1本の中から気になったフレーズを紹介し、作品の魅力を語る」

「イギリス作品のおすすめの1本として紹介」

「カンバーバッチのファンサイト」

といったようなタイプが大勢で、どれもみな面白いサイトばかりなのですが、いかんせん、私が『After Life』で試みた様な、ねちっこくワードバイワード、フレーズバイフレーズで攻め落とすようなサイトはちょっと見当たりませんでした。

正確に言えば、とても丁寧に読み下してあるサイトもありましたが、途中で『ピンク色の研究』の冒頭で終わってたりします。あまりにも丁寧で、「出版しましょうよ」みたいなレベルだったので、そりゃ趣味でやるには続かないかも、と思いました。

なので、私のアプローチは、とにかく私がわからないフレーズや面白かったフレーズだけに絞って、エピソードを読み下していきます。

『After Life』でやった、「基本的なイギリス英語固有の表現」は、よほどでないと飛ばします。そのあたりを読みたい方は、是非『After Life』の投稿をお読み下さい。そこそこ頑張ってますので、12本読んでいただければ、ほんとに基本的なイギリス英語固有表現でびっくりするものはなくなります。

私がわかるというのは、私の英語のレベルなのですが、私は↓の投稿で書いたように、英検1級で、TOEIC最高点が975点です。

50歳過ぎたシニアが、1年で英検1級に合格しTOEIC975点を取るまでの軌跡

※ちなみに、これに次いでヒット率が高いページのひとつに「God speed you」の意味を解説したページがあるのですが、理由が全くわかりません。みなさんそんなに「God speed you」って調べるんですかね。まぁ調べるとしても、なぜ、私の、ポストロックと暴走族映画とこの言葉の由来について長々と解説したページに人気があるのか不明です。どなたかわかる方、教えていただけますでしょうか。

 

↑などと一発自慢をした割には、というか、実はそりゃそうだろう、という話なのですが、私は『Sherlock』レベルの作品だと、8割方何言っているのかわかりません。

これは本当の話で、エピソード1であまりにこの作品にはまった私は、日本でまだ次のエピソードが見れないときに、見たくて仕方がなく、我慢ができず、PAL方式のDVDなら海外で発売されていることを知り、わざわざPAL方式のDVDプレイヤーを買って、PAL方式の『Sherlock』のDVDをAmazon.UKかなんかで入手し、そんで見てみました。

しかし、字幕なしで見たら、ストーリーもセリフのやりとりもさっぱりわかりませんでした。こりゃダメだと思い、サブタイトルをONにして、英語の字幕を表示しても(日本語の字幕などでるわけがありません)、半分くらいしかわかりません。なにしろスピードが速いのと見たことも聞いたこともない英語が使われていますんで、さっぱりでした。

わからない英語フレーズを残したまま、何回か通しで見るほど好きな作品なのですが、英日のセリフ付きのマンガが発売されたことを機に、ワードバイワード、フレーズバイフレーズであまり手間をかけずに確認することができるようになりました。

というのも、もちろん、Netflixで見てれば、日本語字幕で見ながら、聞き取れないフレーズや単語があれば、一旦字幕を英語に変えて、10秒巻き戻して確認することはできます。しかし英語字幕を見てもわからない場合も少なくありません。

そもそも知らない単語や慣用句は英語で見てもわかりません。日本語字幕を先に見ているので、ああ、そういう風にいうのね、的な感じになり、なかなか深堀りできません。

それになにより、ベッドルームで、iPadで見ながらそんなことやってたら、眠れなくなります。

ということで、対訳マンガも手に入れ、熟読したことだし、ということで、マンガも横に置きながら、それでもわからないところや、深堀したいところをズズっと掘っていきたい、と思います。

ちなみにスクリプトは、↓のサイトで見れます。

https://www.springfieldspringfield.co.uk/view_episode_scripts.php?tv-show=sherlock&episode=s01e01

私はこのサイトのスクリプトを参照して本稿を書きます。

このサイトのスクリプトは、おそらくはDVDからバーナーソフトかなんかで自動でフルスクリプトを落としたもののようで、とにかくダラダラ~っとセリフが数珠繋がりに並んでいるだけですので、シーンによっては、どのセリフを誰が言っているのか、思い出せないときがあります。

そんなとき用にシーンを思い出すためにマンガを手元に置きつつ書きます

ただし、マンガは「BBCで放送時に使用されたご字幕を基に再編集」されており、一部セリフが抜けてたりする部分がありますので注意が必要です。

それから、一連の投稿はベネディクト・カンバーバッチ版『Sherlock』を既に見た方を対象に書いていますので、当然ネタバレがありますし、前後のシーンにはほぼ触れず前提なしでいきなり気になったフレーズが出たところで、動画を止めて深堀する、といったスタイルです。

なので、まだ見てない方には、「ネタがわかっちゃうじゃん」や「それどういう流れ?」みたいなことがありますので、ご注意ください。

また、1本の投稿があまりに長くなると書くほうも、読むほうも疲れるので、1本3,000~5,000文字を目安にして、流れ関係なく、ぶつ切りにします。

などと書いているうちにもう3,000文字に達する勢いです。まずい。

 

『ピンク色の研究』

早速まずは、ベネディクト・カンバーバッチ版『Sherlock』のシーズン1のエピソード1『ピンクの研究』から始めます。このエピソードは、1本目だけあって、多くの方が解説しています。とはいえ、ほとんどが私のアプローチとは異なりますので、全く気にせず、ガンガン行きたいと思います。

1人目の被害者である政治家の男性がおそらくは不倫相手であろう、秘書らしく女性と電話で話しています。男性は秘書に、自分の現在地に車を回してくれと依頼するのですが、当の車が別の要件で使われいるので、今迎えにやれる車がない、といったようです。それに応えて政治家が↓のように言います。

What do you mean, there’s no ruddy car?



”ruddy” って?

エピソード1の冒頭から実はこんな細かいところで知らない表現が使われていました。

”ruddy”は、Cambridge Dictionary (本テーマ関連投稿は、以降全てオンライン辞書を指します)では↓のように書かれています。

used to avoid saying bloody to express anger:
Ruddy hell!

 

元来は、「赤い」という意味の形容詞なのですが、いわゆる ”curse words” である “bloody” を避けるために代用語として使われる言葉だそうです。
我々日本人でも、英語のcurse wordsは色々と知るようになってきてますが、大体アメリカ語の悪態なので、”bloody~” なんて言われても、そこまで汚い言葉のように聞こえませんので、”bloody” ぐらい言ってもなんでもないように思います。

 

ところが、この政治家、おそらくはエエとこの子が行く学校(パブリックスクール→OxBridge的な大学)を出て、まっすぐ偉いさんになっているのでしょう。労働者階級が使うような悪態も使わないんですね。

 

とはいえイライラするのは社会階級関係ありませんから『なんだよ、車ないのかよ~!』っていう感じが出したいんですね。いくら上品な人でも、そりゃ怒りますし、怒ったら相応の表現がしたいですからね。なるほど。

 

ところで、いきなりのネタバレで恐縮ですが、このエピソードの犯人は「タクシー運転手」です。秘書兼愛人が、車がないから、

 

Get a cab!
(じゃぁ、)タクシーでも拾ってよ!って言ってますね。

 

次の被害者である18歳の少年も雨に降られたので、タクシーをつかまえますし、その次の運輸政務官の女性は、パーティで酔っぱらうと、そのあと車に乗って(飲酒運転です)どこかに消える癖があるのか、秘書に車のキーを取り上げられます。そんで車のとこまできてから、バッグをのぞき、あ~あキーがないじゃん、といった感じでバッグから視線を上げます。このときおそらくタクシーが通りがかったのでしょう。
みんなタクシーが既に提示されています。

 

それはさておき、秘書から、車に迎えに行けないから、タクシーても拾ってよ、と言われた偉いさん、秘書に↓のように答えます。

 

I never get cabs!
どんだけ、偉いんですかね。ぼくちゃん、そんなタクシーなんて、労働者階級の人がシェアするような車にのらないもん、ってことでしょうか。

 

それもそのはずで、この中年男性、運輸政務官の事件に関するスコットランドヤードの記者会見で、”Sir. Jeffrey Patterson” って呼ばれてます。あの若さでSirってことはまぁ、自身の功績ではなくて、世襲で称号をもらってるシンプルな貴族なんでしょうね。なるほど。

 

文末に前置詞

さて、次はワトソンをシャーロックに引き合わせてくれる人物にあうシーンです。ワトソンの医大のときの同級生のスタンフォードさんです。懐かしがる彼が、風のうわさで聞いたのでしょう、ワトソンに↓のように質問します。

 

I heard you were abroad somewhere getting shot at.
What happened?
どっか海外にいて、そこで撃たれたってきいたけど。
どうしたの?
まず、このセリフがササっと一息で言われるのですが、早口でうまく聞き取れません。
まずそれがひとつ。

 

そしてもうひとつは、

 

”(I heard) you were abroad somewhere” で1つの文が成立しているにもかかわらず、その”somewhere” は彼が撃たれた場所である、とその場所を修飾するために “getting shot at”というフレーズがぶら下がっている、というトリッキーな構文です。

 

つまり、”getting shot at somewhere” なので、最後が “shot” で終わるのではなく、”at” で終わるわけです。

 

たとえば、”I thought you were somewhere you belong to.” みたいなもんですね。この場合、 “you belong to where (the placeとか)” であって、”you belong where” ではありません。自動詞ですから前置詞をとらなければなりません。

 

“getting shot” も “shot at somewhere” と前置詞がないと “somewhere” と場所の話につなげられません。
また、この “getting” はなんですかね。”(you were) getting shot at somewhere” と “you were” を受けているではありませんよね。

 

最初の ”you were somewhere” の ”were” は、単純なbe動詞です。「君はどこかにいた(と聞いた)」。

 

でも、”you were getting shot at somewhere” なんて文章は成立しないですよね。「君はどこかで、撃たれつつあった」。

恐らく、”getting” は、”somewhere you got shot at” を言い換えているんじゃないんでしょうか。これは「結果の分詞構文」と言われるような、分詞の使い方のように思います。

 

「君はどっか海外にいたと思ってた。そしてその結果、君はそこで撃たれた」みたいなだらだらした文章を、ササっというための構文だと考えられます。

 

また、本文の場合、どっか海外って言ってるその場所は、彼が何かをした場所(能動態)ではなく、何かをされた(撃たれた)場所だ、っていうところがまたこの文章を複雑にしていますね。

 

でもって、こんな複雑な文章を一息でササっとしゃべられちゃうと、なんかわかったようなわかんないような気がしちゃうわけです。

などと書いてるうちに、まだ2点しか触れてないのに、6,000文字も書いてしまったので、さすがにここら辺で一旦切っときます。ドラマだってまだ始まって8分も経ってません。

 

大丈夫ですかね、この企画。

 

ではまた。

 

 

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Posted by yaozo