「Do you have a name?」って?名前ぐらいあるにきまってるじゃん!
yaozoです。
英語で名前を聞く場合、どのように言いますか?
「Do you have a name?」って?
最近英米のドラマを見ていて、主人公がはじめて出会った人に対して、「あなたの名前は?」という質問をする際に、
「Do you have a name?」
とか、これの省略形
「Have a name?」
といった聴き方をするシーンを見かけることが多くなりました。
それまで特に気にせず、聞き捨ててましたが、一度気づくと、実はこのフレーズはいろんなドラマで使われていることを意識するようになりました。
私が最初そのフレーズを聞いたとき(気づいたとき)は、たまたま質問者がちょっと挑発的な態度をとっているシーンで使われていたので、
「お前なんかでも名前があんのかよ」
というようなトーンを持たせた、特殊な言い回しなのかと思っていました。
しかし、その後私が気づいただけでも、実にいろんな文脈で使われていましたので、そこから類推するにこのフレーズは、中学英語でいうところの↓と同様のシーンで使われる一般的な質問文だと思います。
「What is your name?」
レトリカル・クエスチョン(修辞疑問文)
実際、この質問はいわゆる「レトリカル・クエスチョン=rhetorical question(修辞疑問文)」と呼ばれる文型なわけです。
レトリカル・クエスチョンの具体例としては、以下のようなものがあります。
以下、「レトリカル・クエスチョン(疑問文)」→[本当の意味(意見)]
A:「どうしてこんなことがわからないの?」→[こんなことがわかない君は、ダメなやつだ!]
B:「なんでそんなこと言うの?」→[そんなこと言わないで!]
C:「いつになったらできるの?」→[遅いなぁ、もう!]
各々、「 」内のフレーズは質問の体をとっていますが、質問者はその答えが欲しくて質問をしているわけではなく、[ ]内の自身の考えを、「断定的に」「強烈に」表現するために、「疑問文の形を借りて」いるという、レトリカルな表現にすぎません。
Cambridge Dictionaryで定義を調べると、
a question, asked in order to make a statement, that does not expect an answer:
“Why do these things always happen to me?” is a rhetorical question.
とあります。
日本語でも、我々はしばしばこのような言い回しを使います。
特に、二者の関係で上位の人が下位の人に対して使うことが多い用法です。
たとえば、親が子に、教師が生徒に、上司が部下に。
このようなレトリカル・クエスチョンはあまり使わない方が良いと言われます。
特に立場の上の人が下の人に対して叱責する際に頻繁に使ってしまうと、本当に純粋に質問したいだけなのに、相手からレトリカル・クエスチョンかと誤解され、回答の代わりに「謝罪」が返ってきたりして、「いや、そうじゃなくて、本当にわからないから質問してるんだよ」と言わなければならなくなります。
また、このレトリカル・クエスチョンは、聞いてる方にしてみると、大抵良い気分がしないもので、自分のことをないがしろにされているような印象を持たれがちです。
あぶない、あぶない。気をつけたいですね。
学校でも習ったタイプのレトリカル・クエスチョン
また、これよりもっと単純な文型のレトリカル・クエスチョンがあります。具体的には、我々がよく見てきた、聞いてきたフレーズばかりです。
A:Who knows?
B:Who cares?
C:What do you know?
D:How could I know that?
これは実際には、各々↓のようなことを意味するフレーズです。
A’:Nobody knows!(そんなのわかんないよ!)
B’:Nobody cares!(どうでもいいだろう!)
C’:You don’t know anything!(君は何もわかってないだ!)
D’:I can’t know that!(僕が知るわけないじゃん!)
ちなみに、A’には、各々以下の言い替えがあります。
A”:God knows!
これはめんどくさい言い方をすれば↓のようになるでしょう。
God only knows which means that nobody(no human) knows!
「一般疑問文」としての「Do you have a name(for ~)」
一方で、レトリカル・クエスチョンではなくて、リテラリー(文字通り)な、「一般疑問文」として「Do you have a name?」を使う可能性があります。
※ちなみに英文法では、「Do you~?」や「Are you~?」という文型の疑問文を「一般疑問文」と呼び、「What do you~?」「When are you~?」のように、「疑問詞」ではじまる疑問文を「特殊疑問文」と呼んで区別しています。
この場合、後ろに「for~」をつけて、以下のような文例があります。
「Do you have a name for your car?」→「あなたは、自分の車に名前つけてる?」
つまり、必ずしもそのようなもの(↑なら「マイカー」)に名前をつけるとも限らないが、たまには名前をつける人もいるようなので、ほかならぬ相手の場合はどうなのかを確認する必要がある場合に、このようなストレートな疑問文として「Do you have a name~」というフレーズが使われます。
有名なブルーズ・ギタリスト、今は亡きB.B.Kingの「Gibson ES-335」タイプの黒いギターには「ルシール」という名前が付けられていました。
つまり、「Do you have a name for your guitar?」と聞かれた生前のB.B.Kingは、「Yes, I do. It’s “Lucille”. You wanna say “Hi” to my Lucille?」といった感じで答えたことになります。
BB.Kingは実際、このギターを愛するあまりこのギターについて歌を書いてます。
今聞こえているのは私のギター「ルシール」の奏でるサウンドだよ。私はこのギターが大好きなんだ
ルシールのおかげでプランテーションから抜け出せたよ。そして名声も手に入れた
さみしい時にはこのルシールが私の名を呼んでくれるようだ
などとはじまり、曲の最初から最後まで、ひたすらこの愛器を称え感謝しています。
彼は10分以上にわたり、ルシールに語りかけ、ルシールに歌わせ、2人で極めて親密に会話をしている様子を録音させ、それをタイトルチューンとしてアルバム「ルシール(1968年)」を発表したわけです。
日本人で言うなら、出来の良い一流の日本刀には必ず名前が付けられてきました。
「政宗」や「村正」など、主に作者や持主に由来する名前が付ける習わしのようです。
昔のその他大勢の持つ刀は「名もない刀」だったようなので、現代で考えると、ちょうど、↑のBB.King所有のギターや、車マニアのコレクションしているスーパーカーに名前が付いてるのとパラレルな感じみたいですね。
AIロボットへの質問「Do you have a name?」
先日、Amazon prime ビデオで『エクス・マキナ(2015)』を見ていたら、この「Do you have a name?」が、↑で紹介したのとは違う意味で使われていたシーンがあり、大変興味深いかったです。
映画では、主人公のケイレブ(AI分野に秀でたプログラマー)が、自分の会社の社長(マッドサイエンティスト風の人物)から別荘に招待され、彼がそこで密かに制作中のAIロボットに対して、チューリング・テストをするよう依頼されます。
で、実際に↓の予告編で見れる人型ロボットと初対面というシーンで、ケイレブとAIロボットAVA(エイヴァ)の間で以下の質疑が交わされます。
ケイレブ:「Do you have a name?」
エイヴァ:「Yes….. Ava.」
ここでは、主人公が「名前があるかどうかわからない」AIロボットに対して、「名前は持っているか(与えられているか)?」という、極めて文字通りの質問を、ロボットに発するという、レアな使用例を見ることができます。
AIロボットですから、こういったバーバルな質問をされて答えられる十分な知性を持っている設定ではありますが、かといって必ずしも名前があるかどうかはわからないので、この質問は極めて自然な質問です。しかし、一般的にこのように質問されて答えられる存在は、人間ですから、当然名前がありますので、このフレーズを使うとレトリカル・クエスチョンになってしまいます。相手がAIロボットの場合ならではのレアな「特殊疑問文」です。
しかし、ケイレブがエイヴァに会う前に、社長に「そのロボットに名前は付けましたか?」と質問するという設定なら↓のようになります。
「Do you have a name for the robot?」
この映画、Amazonプライムでリコメンドされて久しかったのですが、ずっとみてませんでした。テーマが大変現代的で、映像技術には度肝を抜かされましたし、ストーリーも面白くまた怖い映画でした。イギリス映画ですが、アカデミー賞視覚効果賞を受賞しています。そりゃそうでしょう。どうやって撮ってるんだ、しかし。詳しくは、お近くのレンタルショップかAmazonプライムで是非確認してみてください。
スクリプトはここで確認できます。画面上で、ctrol+Fで「do you have a name」と検索すれば該当箇所がわかります。
面白い。
ところで、私の英検1級取得に至るドキュメンタリー投稿はこちらです。
英語学習については、高額なスクールに通う前に、かなり計画的に学習誘導してくれるような、自学ツールでコツコツやるのも一つの手ではないでしょうか。 ちなみに、うちの中一の娘はこれで英語頑張ってます。
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