カントリー・ミュージックはすごい!その歴史とおすすめアーティスト

音楽

カントリー・ミュージックを楽しめるようになりました。

 

同時代音楽を楽しめなかった20代

私はもともと、ビートルズ、ストーンズ、レッドゼッペリン、キングクリムゾン、といったブリティッシュロックからロックを聴き始めたので、「ジャズ」や「カントリー」「クラシック」等、他のジャンルの音楽にはほぼ興味がわかず、若いころにはどのジャンルもなかなか本気で聞いてませんでした。

とはいえ、80年代に入り、自分史的には社会人になったころから、残念ながら同時代のロックに魅力を感じなくなっていきました。

ちょうど、ラップ音楽がメインストリームに現れたころです。

英国は、それまでのアコースティックでドライな音質の音楽から、「ユーロビート」に代表されるように、リバーブやらエコーやらをかけまくって、ウェットな音質の電子音を全面に押し出した楽曲がランキングを席捲していました。

今でも、「懐かしの80年代ポップス」などといったコンピレーションを聞くことができますが、英国ならワム、デュランデュラン、カルチャークラブ、米国なら、ジャーニーボンジョヴィ、TOTO、ホール&オーツ、EW&Fなどヒット曲を連発するグループがたくさんありました。

もちろん相応に聞いてはいましたが、どうしても、60年代、70年代の音楽の方がヘビーで奥行があり、質が高いように思えてなりませんでした。

その中でも、マイケル・ジャクソン、ポリス、エルビス・コステロといった一部のアーティストが救いだったように記憶しています。

90年代から2000年代に入ると、ますますリアルタイムのポピュラー・ミュージックにはあまり関心が無くなっていました。

 

視聴音楽の先祖返り

その隙間を埋めてくれたのが、特に「ジャズ」や「カントリー」という、60年代音楽の一世代前のものです。

両方とも食わず嫌いで、本気で聞いてこなかったのですが、背に腹は代えられなくなり、『ちょと本気で聞いてみるか』ぐらいの感じで少しづつ聞くようになりました。

「クラシック」や「ワールド(エスニック)」等、その他の音楽も貪欲に気に入るサウンドを追い求めていましたが、やはり「ジャズ」と「カントリー」は特別重要な音楽となりました。

この2つの音楽は、60年代以降の「ロックを含むポピュラー・ミュージック(大衆音楽)」の土台となった音楽です。聴けば聴くほど奥が深く、だんだん楽しくなってきたわけであります。

 

ジャズとは?

つまり、「ジャズ」は、奴隷としてアフリカから送られてきたアフリカ系アメリカ人が、ピアノ、トランペットやサックス等の管楽器、コントラバス(ウッドベース)、パーカッション(後のドラムセット)、ギター、歌等、従来クラシック音楽で使われてきた楽器を使って、自分たちなりに最も気持ちの良い音楽を追求していったものです。

19世紀末から20世紀初頭に派生した音楽のジャンルだと言われています。

西洋音楽の技術と理論と楽器、それにアフリカ系アメリカ人の独特のリズム感覚が合体して出来上がりました。

ジャズはまた別の機会に深堀りしたいと思います。

↑とりあえず、ジャケットだけ見てても楽しい感じですよ。

 

カントリーとは?

で、もう1つの大衆音楽の元祖となったのが、「カントリー(Country Music)」です。

ジャズと同じころ、1920年代に、場所も同じくアメリカ合衆国の南部が発祥と考えられています。

ジャズが、アフリカン・アメリカンの人々のコミュニティで生まれ育っていったコミュニティ・ミュージックであり、他方のカントリーは、大雑把に言うとイギリスの伝統的な民謡(英語でいうと「Folk Music」)やケルト音楽、宗教音楽、ゴスペル(讃美歌)といった大衆が好む音楽のミクスチャーとして生まれてきました。

つまり、イギリスを中心とするヨーロッパ諸国からの移民が、自国の大衆音楽を、その他の様々な文化とともに、一緒にイギリス統治下の北アメリカ地方(現在のアメリカ合衆国)に持ち込んだものがそのルーツになっています。

メロディ、ハーモニーもシンプルで、誰でも覚えやすくて歌いやすい楽曲で成っています。それほど高度な音楽的スキルや教養を必要としません。第一世代移民のための、移民の音楽ですからそれが必須条件です。

ジャズ同様、日々の生活苦の憂さ晴らしとして愛され、発展していった音楽ですから、大衆のための音楽(ポピュラー・ミュージック)です。

もともとの第一号移民「ピルグリムファーザーズ」は、新大陸の入り口近く、今でいうマサチューセッツあたりにコミュニティを構えます。宗教的楽園を作るという崇高な目的を持った「シリアスな」人々です。

そして、植民地として少し落ち着いてきたころに、宗教的使命感というよりは、様々な理由で故郷を離れて、より良い暮らしを求め、第一世代を追ってアメリカに移住した人々が入植します。

とても大雑把にまとめていますが、まぁ、この人たちが第一世代の占拠している場所ではない、より未開拓な場所を我が住処と求めて、渡っていったのが、「アパラチア山脈」あたりの、やや南の「山」の地方です。

そこで、彼ら一般市民が故郷の音楽を日々の慰みとしてプレイしていたものが、時代の流れとともに、一部はその原型をとどめ、一部は時を経て変化していき、徐々に「カントリー・ミュージック」が形成されていきました。

 

山の音楽が全国区に

当初「山」のあたりのコミュニティで楽しまれたことから、「アパラチアン・ミュージック」「マウンテン・ミュージック」「ヒルビリー(丘の人々)」「カントリー&ウェスタン(南下した後、西に移動した人々も継承していったため。ただし、近年は「ウェスタン」の文字ははずれて呼びならわす)」とも呼ばれていました。


カントリーはほとんど聞いたことがないと言う人には、古典的で典型的なカントリーがどんな感じかを↓の短い動画で確認できます。

The Carter Familyの歌う「Wildwood Flower」です。

このように、「家族総出」で「ファミリー・ビジネス」みたいなグループはカントリーのグループ形成としてはとても自然です。

家族・親族の中で音楽の才がありそうな人が、めいめいに楽器を弾きみんなでコーラスをつけながら、楽しそうに歌うのです。

使われる楽器は、ギター、バンジョー、ウッドベース等のアコースティック楽器に、ウォッシュボード(洋服を洗うたらい)などでセットになります。時代が下るとエレキギター、エレキベース、ドラムセット等がこれにくわわり、モダンなエレキカントリーとも言うべき音楽に変遷していきます。

その最高峰が、テイラー・スイフトなわけです。

彼女はその歌唱法や演奏スタイルから考えて、明らかにカントリーミュージシャンなのですが、かなりポップ色が濃いので、カントリーについて知らない方から聞くと、フツウのポップソングと聞こえるかもしれません。

実際、音楽的構成だけから考えると、ポップスとモダン・カントリーミュージックの差はどんどんあいまいになってきています。

かろうじて、ファッションで「テンガロンハット」をかぶったり、して見た目でアピールしている人もいますが、やはり特徴的な要素は、その歌詞にあると思います。

ルーツが、ヒルビリーと呼ばれた、貧しい移民白人層が日々の労苦を忘れるために癒しの音楽としてスタートしており、その根本は、テイラー・スイフトの時代まで一貫しています。

決して、東海岸や西海岸のリッチで高い教育を受けた「スーツ族=勝ち組」のための音楽ではなく、額に汗して働き「レッドネック(外で仕事をするので、首が日焼けして赤くなることから、貧しい移民白人層を揶揄する言葉)」などとさげすまれる人たちのための音楽です。

いきおい、ファンの人は、南部を中心とするアメリカの保守層であり、愛国的人々であり、今でいえばトランプ支持層等とも重なる部分があったりします。

 

つまり、日々の仕事の終わった夜やお休みの日、お祭りの日にプレイして「○○さんちの一家は、グッドミュージシャンだ」などと言われる家庭は、コミュニティ内でいくつかあったことでしょうし、自然とコンペティション的な機運が盛り上がったことは想像に難くありません。

で、録音技術の発達、放送技術の発達なので、テクノロジーの進化に後押しされた、「コミュニティのスター」が「全米のスター」になってもなんらおかしくない時代が到来するわけです。

そんな時代形成を後押しし、土台となったのが、テネシー州ナッシュビルのWSMというラジオ局が1925年から放送してきた老舗カントリー番組「グランド・オール・オープリー」です。この番組に出れば、全国区であり、カントリーアーチストの夢の舞台なわけです。

 

エルビス・プレスリーを生んだカントリー

このようなカントリーを聞いて育った、ヒルビリーの少年の1人にエルビス・プレスリーという人がいました。

自身も貧しい白人移民の子で、近くに黒人労働者階級コミュニティがあったことから彼らの音楽、リズム&ブルーズやゴスペルを含むアフロ・アメリカンミュージックを幼いころから空気のように吸ってきた彼が、カントリー的イディオムとリズム&ブルーズを、彼の体の中で本人も無意識のうちにミックスさせたとしても、全く不思議ではありません。

ここで、生まれたのが、(後のロカビリーそしてロックンロールの土台となった)1954年の”That’s All Right, Mama”のシングルでした。

リハーサルの途中で、いい調子で歌いだしたのエルビスをプロデュ―サーが即座に録音ボタンを押した奇跡的な楽曲で、そのためドラムスが間に合っておらず、ドラムレスのロカビリー曲になっています。

エルビスにあこがれてロックをはじめたポール・マッカートニーなどは、今でもたまに歌うぐらい、よほど好きみたいです。

そしてこの稀代の名曲のB面は”Nlue Moon of Kentucky”というカントリーの名曲だったことが、彼の音楽の2つの上流を雄弁に物語っています。

 

ドリー・パートンの功績

その後、ロック時代にカントリーの命脈を保ってくれた大スターが、ドリー・パートンです。今でも現役で活躍している彼女には、ヒット曲が多いです。

また、多くのアーティストからカバーされて、そのカバーバージョンがモンスターヒットになっているアーティストでもあります。

最も有名なものが、ホイットニー・ヒューストンがカバーした「I will always love you」です。

ドリー・パートンの原曲と全く違うアレンジで壮大な楽曲に仕上げ、世界的大ヒットを生み出したヒューストンも偉いですが、ドリー・パートンの歌う原曲は、あの道ならぬ恋の歌が、カントリーのエレジーから来ていることを発見させてくれます。

また、オリビア・ニュートン・ジョンがカバーしてヒットさせた「ジョリーン」もパートンがオリジナルです。

 

 

ブラッド・ペイズリー

 

ドリー・パートンがメインストリーム・マーケットでのカントリーの命脈を保った功労者であれば、その後、この音楽をよりフロントにプッシュして、「現代に生きているライブな音楽である」ことを音楽ファンに強く印象づけたアーティストが、ブラッド・ペイズリーです。

名前通りの、ペイズリー柄のテレキャスターをかき鳴らし(この演奏レベルがまた高い)、男前の美声で、極めてポップな音楽をきかせてくれるのですから、カントリーにやや抵抗感のあった音楽ファンや、カントリーの魅力に気づいていなかった音楽ファンの絶対数をブーストした、という意味で大変貢献度が高いと思います。

 

また↓のビデオの中で、デュエットをしている女性アーティストは、スター・アーティスト、アリソン・クラウスです。

なかなか日本の音楽マーケットで彼女の名を聞くことは多くありませんが、実はこのクラウス、グラミー賞の受賞本数は史上最多です。2019年時点でまだ破られていないと思います。

 

で、アリソン・クラウスのソロの楽曲を1曲。

この人はフィドル(カントリー風に弾くバイオリンのこと)プレイヤーでもありますが、やはりメインはボーカリストです。信じられないくらい透明度の高い、抑制されコントロールされた歌声は高い芸術性を感じさせてくれます。

歌はその名も”You’re Just a Country Boy ”。美しい楽曲。美しい演奏。美しい歌声。

 

とういうことで、1920年代にある特徴的形式を得たカントリーは、約100年後に、テイラースイフトにまでたどり着き、その命脈を今でも保っています。

↓の代表曲なんて、単なる恋の歌として聞き流すこともできますが、よくよく歌詞に注目してみると、まぁあまりぱっとしない私にも大好きな男の子がいて。でも彼は「高嶺の花」的女子に気を奪われている。本当のあなたを知っているのは私なのよ。そろそろ気づいて。といった具合に、あくまでも「弱者」の立場ならではの悲しさを歌う、そしてそれが応援歌になっている、というカントリーのリリックのベースというか哲学のようなものはしっかりと守られています。

本人は、ペンシルバニア生まれで、両親ともに高等教育を受けた勝ち組であり、どうみても貧しい家の出身とは言えませんが、10歳からテキサス州(ハート・オブ・カントリー)に移り住んだことから、今の彼女のキャリの萌芽が生まれたようです。

決して、「勝ち組」の視点から世界を描かない。地に足のついた、フツウの人々の仲間として歌を書き歌う彼女は、どんなに音楽スタイルがR&B、ファンク、ロック的なイディオムでアレンジされていようと、あくまでもカントリーアーチストとして認識されていると思います。

 

オープリ―・ハウス

ところで、カントリーを全国区にしたラジオ番組~のちにテレビ番組は、1974年になり、ナッシュビルに劇場「オープリ―・ハウス」を建設します。

そして、このステージを見たさに世界中のファンがナッシュビルに訪れます。

昔と違って、音楽スタイルもモダンなものが許されるようになってきているようです。

いかに歴史を重んじるカントリーといえども、「能」のような伝統芸能ではないのですから、時代の変化に適応していく必要があるということです。

オーストラリア出身で、ニコール・キッドマンの2人目の夫、キース・アーバン等も出演させてもらえるみたいです。もはやアメリカ人ですらありません。日本の国技である相撲も、数カ国から力士を迎えており、初の外国人横綱を輩出して既に長い時間を経ています。

このように、どこの国にあっても、時代を越えて生き残るカルチャーは時代に適応してその形を変えながら、ベーシックななにかは決して変えることなく続いていくのだと思います。

 

 

 

 

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Posted by yaozo