『Revolver』スペシャル版発売に寄せて
yaozoです。
ビートルズが熱いですね。
ま、デビューしてからずっと熱いっちゃ、熱いんですけどね。
とはいえ解散後は、ある程度の波があったようですので、今回は高波といっていいんでしょう。
『ザ・ビートルズ:Get Back』
まず、第一に(今頃書くのも恐縮ですが)ディズニープラスで配信された『ザ・ビートルズ:Get Back』良かったですねぇ。
これはボリュームもあって、いかにもビンジウォッチングの慣習ができたオーディエンスにマッチしたコンテンツでした。2-3日かけて、夜中にビンジウォッチングしました。
私は、映画『Let it be』が公開された当時はまだ小学校に入ったばかりだったので、見てませんでした。
その後、長じてから、渋谷のブートレッグショップで、VHSテープ版の海賊版を買って何度も見ていました。
見るたびに、なんだか気持ちが暗くなるのですが、やはり少し時間を置いてから、また見たくなるんですねぇ。
冒頭、キックドラムに書かれた「The Beatles」のロゴ、そして、ポールがアドリブで弾くマイナーキーのバラッドが流れ、それを弾くポールのワンショット、と作り手がはなっから、「解散」ムードで暗い気持ちにさせようとしている感じのする演出です。
まぁ、ディズニー版は長尺使えるのと、時間の経過である程度中立的に描かれていて、やや暗さが薄らいでいて、少し楽に見れました。
これを見るために、ディズニープラスのトライアル入会して、ひと月楽しめたのもよかったです。
しかし、30年以上前のあのブートレッグショップはどうなったんでしょうかねぇ、、、、。
今やそのVHSテープも捨ててしまったようで、手元にありません。都会の一人住まいの狭い部屋で、あの映画を(字幕もなく)何度も見ていた日々が懐かしく、ちょっと、悲しい。
『リボルバー』スペシャル版発売
2019年9月の『Abbey Road 』50周年スペシャル版のリリースに続いて、2022年10月28日に『Revolver』のスペシャル版がリリースされました。
しかしこのアルバムジャケット、いつみてもかっこいいですねぇ。何千枚とアルバムジャケットを見ていると思いますが、これ以上にカッコいいジャケットはいまだ買ってみたことがありません。すごい。『Rubber Soul』も『Pepper’s』も相当かっこいいですけど、やはり私はこのジャケットが一番ですね。
昨今よくリリースされる、このような復刻ものには当たり前になってきましたが、このアルバムのフィジカル版も、やはり何種類もリリースされています。
「5CDスーパー・デラックス」なんかは、63曲入り+100頁ブックレットというヘビー級の商材です。
こりゃさすがに買えないなぁ、ということで本アルバムを特集しているラジオ番組を探すと、ピーター・バラカンのNHK-FM『ウィークエンドサンシャイン』の聞き逃し配信になんとか間に合い、無事「らじるらじる」で聴けました。
バラカンも言っていましたが、私も『Got To Get You Into My Life』のホーンなしバージョンがとても気に入りました。
ブラス・ロックの嚆矢ともいわれるこの曲ですが、正直私は、ホーンがない方がロックっぽいのになぁ、と長らく思っていましたので、まさにホーンレスバージョンが聴けて、大変うれしかった。
あとでYouTube検索したら、『Second Version/ Unnunberd Mix』として公式チャンネル(?)で聴けました。
リリース版では、ホーンのリフが、ファズギターで演奏されています。最終前なこともありますが、ちょっと足りませんが、ホーンよりはかっこいい。
また、ジョンのカッティング・ギターと思しきサウンドもとてもゴキゲンですね。
後の『Peppr’s』の『Getting Better』のカッティングは、この時点で思いついて気に入っていたサウンドだったのかもと思われますが、この曲にもとてもマッチしています。
まぁ、シンプル・ロック・バージョンといったところでしょうか。
ちなみにバラカンが番組で言ってましたが、ストーンズの『Satisfaction』の超有名なファズ・ギターのリフについて、キース・リチャード本人は実はホーンでやりたかったなぁ、と後悔しているとのこと。オーティス・レディングによるこの曲のカバーではホーンが使われてるのを聞いて、そう言ったらしいです。ほんとか知らむ、という感じですが、本当なら、まぁ不思議なもんですねぇ。もっとも有名なロックリフのひとつなんですけどねぇ。
『Rain』のオリジナル・オケはとても速い!
バラカンのラジオ番組では、おそらくは5枚組のセッション・パートに入っていると思われる、『Rain』のオケをかけてくれました。
私、これ全然知りませんでしたが、この名曲、もともとはまずバッキングトラックをフルで、とても速く演奏して、それをスローダウンしたものにボーカルを載せてミックスダウンして完成したとのこと。つまりごく簡単にまとめると↓のような手順でファイナル版が製作されています。
- 高速(BPMが早いという意味)で演奏してバッキングトラックを演奏・録音
- 速度を落としたバッキングトラックに、ボーカルを録音
- ミックスダウンして完成
バラカンは、そのバッキング演奏のみのバージョンに続けて、ボーカル入りバージョンをかけてくれました。
バッキングトラックは、かなり早いですね。
ふざけてるんじゃないかってくらい早いです。このバッキング演奏は、軽々しくて、やや滑稽な感じすらするのですが、これをスローダウンした完成版のオケは、特にベースとドラムスが非常にヘビーで、かっこいいわけですね。狙い通りというわけです。
ちなみに、この『Rain』は、『Revolver』アルバムのレコーディングと同時期に製作されたもので、『Paperback Writer』とのカップリング・シングルだったのですが、当時多忙を極めるビートルズ本人に代わってTVなどでプロモーションしてもらうべく、世界初の「プロモーション・ビデオ」が作られた楽曲と言われてますね。
このビデオの撮影用に、まじめにロケしてますね。
↓はよく見る完パケ版ではなく、最近アップされていた、アウトテイク版です。初めて見るショットだらけで、楽しい。
ピッチ操作マニアのビートルズ
へぇ~、『Rain』のバッキング・トラックって、まるまるピッチ変えてたのかぁ、知らなかったぁ、などと思ってたら、実はビートルズ、かなり早い時期からレコーダーの回転数をいじって(ピッチ操作して)いたとのことで、↓の動画を見ると、かなり驚かされます。
この方の動画は「パソコンで聴いたビートルス」といったシリーズ動画で、非常に面白いので、ビートルマニアにはおススメです。
ピッチ操作で最も知られたものは『In My Life(1965)』の間奏のバロック風ピアノがあります。これ有名ですね。
これは、レコーダーのスピードを下げて、ジョージ・マーチンのキーボードを録音しノーマルスピードに戻してミックスダウンすることで、すごい速弾きみたいに聴こえるというやつですね。最後の方のメロディなんて「ピ~ピロリロリロリン」なんてかわいい感じで巻き取られてます。
で、この『ピッチ操作の変遷』で注目されているのが、彼らはピッチ操作する際に、特に「ぴったり半音上げたり、下げたり」といったことにはこだわってなかったという点です。
そのため、曲によっては、キーが「AとA♭の中間」といった感じになっているのもあるとのこと。
なるほどそのせいか。とはたと膝を打ったことがあります。
私は、中学生の時に、ビートルズを知って興奮し、楽譜集を買ってきて、同時に親にねだって買ってもらったクラシックギターで一所懸命弾いたものです。
私は私で、ちゃんとA=442ヘルツの音叉を買ってきてチューニングしたギターを使って、ラジカセで鳴らすビートルズの音源とあわせて弾くのですが、どうも微妙にチューニングがずれるなぁ、という曲がありましたが、これはそのせいかもしれません。
40年以上も前の、『う~む、なんかちょっと違うな』の回答がわかって、スッキリしました。
他のアーティストでも、古いものでは、レコードの音源にあわせて弾こうとすると、微妙にチューニングが合わないものがありますが、そんなの気にしない時代だったんですかね。
ということで、これらの音源をA=442ヘルツの絶対音感を持った人が聴くと、とても気持ち悪いらしいです。
この話聞いて、生まれてはじめて「絶対音感がなくてよかった」と思えましたw
それにしても、この『ビートルズ分析チャンネル』は、すごいクオリティの動画の宝庫ですので、ビートルマニアのみなさんには、特におススメします。
この方、DTMの知識のみならず、少なくともギター、ベースといった弦楽器の知識もあるようで、
ポールのベースはGで使って演奏してレコーディングしている一方、ジョージのギターはAで開放弦を使って演奏してレコーディングしていると思われます
といった解説もされてます。
また楽理の知識も専門性が高く
1オクターブは、12個の半音を経て周波数が2倍になるので
平均律での半音は、5.9463%の比率
などと解説してくれます。すごい。
『A Hard Day’s Night』のイントロ「ジャーン」のコードは?
で、↑の動画でのピッチ操作の例のひとつに、『ア・ハードデイズ・ナイト』のギターの間奏があげられています。
なるほど、あの三連4回はかなり早いですからね。
しかしこの頃のビートルズは、全然ライブ・バンドだったんですけど、ジョージはなんとかこの速弾きパート、ライブでも頑張って演奏しています。
ちなみに、この曲を語る際に忘れられない、例の特徴的なイントロの「ジャーン」ですが、↑の演奏では、レコードのサウンドと違いますので、テープで頭出しじゃなくて、ライブで「せーの」でやってますね。
さて一体このコードが何なのか?について、いまでも結論がついていませんが、とりあえずは、ジョージ・マーチンの楽理の知識も借りながら、オーバーダブしたんで、よく言われる「G7sus4」とかいった固定的なコードではなくいくつもの楽器でいくつものコードを合わせたもののようです。
たとえば、↓のブログでは数学者やミュージシャンなどによるいくつもの解釈がまとめられており、楽しく読めます。
https://blog.kouchu.info/2012/09/AHardDaysChord.html
ここでの現時点での結論は、
Waynus of Uranus&ケヴィン・ヒューストン説による肝心の解析結果はこうです。
ギター:F2 A2 F3 A3 C4 G4 (6弦から1-0-3-2-1-3フレット 6弦は親指で押さえる)
※ジョン・レノンのアコースティックギターとジョージ・ハリソンの12弦ギターは同じフォーム
※実際は12弦ギターの複弦によりF4 A4も足され、F3 A3 C4 G4は二重になる
ベース:D2 (3弦5フレット)
ピアノ:D2 G2 D3 G3 C4※ペダルを踏んで残響を長くする
とされています。
こりゃ一人で弾けるわけがないですね。大体、ピアノって、、、。
とはいえ、3人いれば、なんとなく似た感じで再現できるようで。さすが本人たちだわ。
ではまた。
yaozoでした。
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