究極の「ワイドレンジ・ハムバッカー百科事典」その歴史・構造・ブランド・価格のすべてがわかるページ!

Music, 芸術, 音楽

yaozoです。

巣ごもり期間も相当長引きましたが、自粛解除宣言がでたので営業開始しているところが増えてきているようです。とはいえ、まだまだ感染者数はアップダウンしており、予断を許さない状況ですね。

今日のテーマは、「ワイドレンジ・ハムバッカー」です。

これはエレキギターのピックアップの種類のひとつです。エレキギターに興味のない方には全く面白くないと思いますが悪しからず。

この投稿では、ワイドレンジ・ハムバッカー・ピックアップに関して、どういった道筋かはさておき、興味を持つに至った方々が(かなり趣味の偏った人たちだと思いますが)、あちこち苦労して情報収集しなくて済むように、私自身がここ最近精力的に収集した情報を、できるだけ手際よくまとめました。とはいえ、内容がそもそもトリビアルなだけに、そこそこ大部なものになります(書き終わって数えたら、久しぶりに1万文字超えてました)。

なので、「興味・関心→情報収集→購買→プレイ」にいたるまで、このページで大体片付くように書きます。

 

小岩ファンクのYouTubeチャネルは癖になる

巣ごもり期間中に、すっかり「小岩ファンク」という、新小岩にあると楽器リペア・販売ショップのやっているYouTubeチャネルにはまっており、新動画が出るとベルを鳴らすようにしてて必ず見てます。

そこで、店長のケンケンと、その友人のロッキー(音楽業界の方みたいです)が、2人で楽器やエフェクターにまつわる、実にトリビアルな話を10分前後楽しそうに話しているだけなのですが、これがまた妙に私の趣味にマッチして、面白い。

↓これがショップのホームページです。

http://psynogroup.boo.jp/koiwafunk/

で、このショップのYouTubeチャネルが面白いのです。リペアショップが業務の主軸なだけあって、ギターのピックアップ、エフェクター、アンプといった、ギターそのものというよりも、そのパーツというか周辺のアイテムに関する話題が中心となっています。

↓が、小岩ファンクYouTubeチャネルです。登録よろしくです。

※画像にハイパーリンクはってあります。

私も、自分でギターのパーツを買い集めて、テレキャスタータイプとストラトキャスタータイプを工作したり、エフェクターを数十個自作したりしましたので、素人ながら彼ら専門家の話には、そこそこついていけるので、楽器類を自作していた頃を思い出し、見てると楽しくてしょうがありません。

で、このチャネルでは、たまに、テレキャスター好きのロッキーが、テレキャスターの話題を取り上げております。特にテレキャスター・カスタムがそのルックスも相まって、大好きだとのこと。

私も前の投稿に書きましたように、ファーストエレキがテレキャスターですし、テレキャスターが大好きなので共感するところ大であります。

で、テレキャスター・カスタムというのは、フロントがフェンダーのオリジナル・ハムバッカ―(ワイドレンジ・ハムバッカー=WRHB)で、リアがテレキャスターのシングルピックアップという組み合わせのギターです。

こんな感じのギターです。ロッキーいわく、ピックガードが大きいのもまたかっこいいとのこと。


 

キース・リチャーズの「ミカウバー」も、PU構成の点では、テレキャスター・カスタムと同じ仕様です。

つまり、フロントにワイドレンジハムバッカーPU、リアにシングルPUという組み合わせです。

 

そのロッキーは、自身のテレキャスターをショップに持ってきて、動画作ったりもしているのですが、そこでちょくちょく出てくる話が、フェンダーのハムバッカー「ワイドレンジ・ハムバッカー(以降「WRHB」)」なわけです。

↓の動画のサムネイルの写真に写っているギターは、ロッキー私物の76年のシンラインです。これには、本物のワイドレンジハムバッカーが載っているそうです。

この動画からは、本物のWRHBが載ったテレキャスターを持っていることがうれしくてしょうがない、ということがよくわかります。

このシンラインのリアのWRHBの音に2人で聞きほれています。本物のWRHBは、使っている磁石の素材が異なります。当のケンケン店長はこの音ことが「リアPUの正解の姿の1つ」だと言っています。

そしてケンケン自身は、フツウのハムバッカーを、ポールピースをアルニコ5の磁石のものにして(フツウのハムバッカーのポールピースは磁石ではない)、銅線の巻き数を調整したりしながら、ハムバッカーのモコモコ感を落として、いい感じのミドルがシャキッと出るようなピックアップ「粉落とし」や「アルデンテ」を製作し披露しています。

それらのハムバッカーも、良い音してます。使ってる真空管アンプもいいのでしょうけれど、フツウのハムバッカーサウンドではありません。

さて、↓の1本は、フェンダーが「クニフェ」という磁石素材を使った、「本物のワイドレンジハムバッカー」を復活させた、というニュースを極めてうれしそうに語っています。

リリースされたばかりのその「クニフェ」を使ったテレキャスター・カスタムを「お客さんが買って、その足でショップに持ってきてくた」とのこと。で、そのサウンドをレビューしております。

 

↓これが、40年振りに「クニフェのポールピースを復活させた」というフェンダーの純正ワイドレンジハムバッカー(WRHB)搭載のテレキャスター・カスタムです。ほしい。


 

あまりに熱く語るので、テレキャスター・オーナーの私としても、どんどんドンドンと興味がわき、wikiやなんやでまじめに調べました。wikiは日本語版はないので英語版で。

概要、以下のようなことです。

 

ロック=ハムバッカーだった時代

エレクトリックギター市場において、ギブソンがいま一つ勢いが出ないのを尻目に、完全に独走していたフェンダーでした。

しかし、、、、

→まずは60年代はエリック・クラプトン(1966年ブルース・ブレイカーズ2ndで、1960年のレスポールをプレイ)

→70年代にはジミー・ペイジ(1969年「Led ZeppelinⅡ」で、1959年のレスポールをプレイ)

と、発売当初の50年代にはパッとしなかったレス・ポール=ハムバッカーピックアップのサウンド/ギターが、急激な復興をとげる立役者が出てきました。

特に70年代前半のレッドツェッペリンには世界中のロックファンがやられてしまい、ロック=レスポール・ギターのイメージが強烈に刷り込まれることになりました。

ジミー・ペイジは、1969年のZepのデビュー盤では、ヤードバーズのときにジェフ・ベックにもらったTelecasterを使っていました。

↓は、このほどジミー・ペイジ本人の監修のもとで復刻されたドラゴン・テレキャスターです。


しかし、アメリカツアー中だったかに、ジョー・ウォルシュから1959年製レスポール(ジミー・ペイジのレスポールNo.1と呼ばれる)をもらってから、これをメインギターとして長らく愛用することとなります。

レコードでも、2nd以降はずっとレスポール・プレイヤーとなりました。「The Song Remains the Same」などでのダブルネックのSGも、ハムバッカー・ピックアップのギターです。アメリカツアーを記録したドキュメンタリー「永遠の詩」で「ジミー・ペイジ=ハムバッカー・プレイヤー」というイメージはかなりセメントになったと思います。


ちなみに「天国への階段」のソロは、例のTelecasterを弾いています。
↓のデンマークのTV番組出演時にもこのドラゴン・テレキャスターを使っています。

このときのZepはとてもかっこいいです。ここで生で聞けたほんの数十人の観客はとてもラッキーですね。

これ全部で31分ちょっとあるんですが、この「HOW MANY MORE TIMES」が一番好きです。バンドメンバー紹介もしながらプレイしててね。ペイジのファズとワウのかかったみたいなテレキャスターのサウンドもシンプルでかっこいい。

また、この時代は、グラムロック全盛期でもありましたから、マーク・ボランの雄姿、例のレスポールをかき鳴らすイメージが強烈で、ロック=レスポールのイメージをより強固にしましたね。


デビッド・ボウイがジギー・スターダストだったころのSPIDERS FROM MARSのギター、ミック・ロンソンのギターもレスポールでしたね。

タイトルソングの「Ziggy Stardust」のイントロなんて、全く、レスポール+マーシャルの黄金のコンビネーションによる典型的サウンドですね。我々の時代は、大体エレキギターサウンドというと、こういうブリティッシュロックのハムバッカーサウンドだったわけです。

ジェフ・ベックも、「ブロウ・バイ・ブロウ(1975)」のアルバムジャケットでは、有名な黒のレスポールを弾いています。ジェフ・ベック・グループやBBAの頃はこの黒のレスポールだったと思います。

大体↓こんな感じ。

今ではすっかり白いフェンダー・ストラトキャスターのイメージですがね。

なので、私のようにブリティッシュロック一色で過ごしてきたような人間は、1970年代に↓のようなフェンダーシングルPUによってあまた生み出されていた珠玉のサウンドについて、「いいなぁ」なんて思うようになるのは、ずっとずっと後のことになりました。なんだか、「頼りない、ひょろひょろした音だなぁ」って思ってました。本当に。面白いもんです。

 

うちもハムバッカー作るぞ(by フェンダー)

まぁ、こんなくらいでおわかりのように、ある時期ロックギター業界は、圧倒的にハムバッカー優勢だったわけです。

大スタジアムでのコンサートが常態化して、ハムバッカーの音圧のあるサウンドが求められた、またシングルPU特有のノイズを嫌った、というのも関係があるのかもしれませんね。

そんなこんなで、ハムバッカー至上主義的な70代初頭のロックムーブメントの中、Fenderは、当時も今もそうですが、テレキャスターそしてストラトキャスターといった「シングルコイルギターのメーカー」というイメージがあり(実際そうなのですが)、レスポール、SG等を中心にしてにわかに盛り上がってきたヘビーなロックのハムバッカーサウンド市場において、ギブソンに遅れをとっていました。

そこで、これではいかんと、当のギブソンで伝説のハムバッカーピックアップ「P.A.F」を開発した天才セス・ラバー(Seth Lover)氏を引き抜き「フェンダーらしいキラキラ感があって、なおかつパワーもあるハムバッカー・サウンド」のピックアップを作ってくれ、というなんとも厳しいオーダーを受けます。

そこはやはり天才セス・ラバーですから、フェンダーのきらびやかなシングルコイル的トーンを残しつつ、ハムバッカーピックアップとして、60サイクルのハムノイズをキャンセルするとともに、パワフルでヘビーなロックサウンドも出せるような、夢のようなピックアップを完成させちゃうわけですね。

満を持して、このWRHBは、3つのテレキャスター・モデル(デラックス、カスタム、シンライン)に乗せらることになりました。あまり知られていませんが、ストラトキャスターにも乗せられたらしいです。

ではその3本をマニア垂涎の写真で見てもらいましょう。

1973年製デラックス → ネック、ブリッジともにWRHB。Vol 、Toがネックとブリッジで独立的にコントロール可能。

 

 

 

1970年代製カスタム → ネックがWRHB、リアがシングルコイル

 

 

1978年製シンライン → ネック、リアともにWRHBでシンライン(セミ・ホロー構造)。Vol、Toともに1個づつでコントロール。

 

こんなラインナップです。全部かっこいい。

いま中古市場で手に入れようとすると、どれも、安くても30万円台という相場のギターで、なかなか手が出ませんね。

 

また、↑の小岩ファンクの動画で紹介されている、40年振りに復刻されたクニフェWRHB版テレキャスター・カスタムも30万円台となかなか手が出にくい価格帯です。

ネックがクニフェWRHB、リアがショーバッカーによるシングルPUという構成。

 

なぜかヒットせずディスコンに。リイシューされるも中身は?

ともあれ、70年代にフェンダーの命運をかけてリリースされた、このWRHBシリーズですが、なぜか何時まで経っても人気に火がつくことはありませんでした。結局1979年にはディスコンになってしまいました。

その後、フェンダー・ジャパンやフェンダー・メキシコから、それら3つのテレキャスターのリイシューモデルはリリースされますが、ピックアップは、全く別のものでした

これは現在出ているリイシューモデルは、上のように特に「クニフェWRHB」と名乗っているもの以外は、全部本当のWRHBではなく、フツウのハムバッカーです。

WRHBは、よく見てもらえるとわかりますが、フツウのギブソンタイプのハムバッカーよりもサイズが大きく、厚みもあります。

そのため、リイシューモデルは、側のケースだけ、往年のWRHBのサイズのものを使い、その隙間(サイズがちがいますから当然ガバガバに隙間があります)をクッションで埋めてあるわけです。

ガタガタしたままだとハウリングの元になりますので、割とガッチガチに埋めてあります。

小岩ファンクの動画でも、リイシューもののピックアップを分解して中身を見せてくれているものがありましたが、確かに、ゴム状のものでぐるぐる巻きにして、ぴったりと隙間をうめてありました。

なんなら開けてほしくないのか、ガチガチに蓋が閉められており、ケンケン店長が開けるのに苦労していました。

↓のPUブランドの方が、同じような経緯を手短に説明してくれています。リスニングが苦手な方は、自動生成の英語字幕で見ると大体わかるかと。

 

WRHBは構造からしてフツウのHBではない

そりゃ、同じ音が出るわけないよな、ということですが、それではWRHBはどのような構造をしているか、というお話です。

 

まずその前に、ギターの構造のお話から確認しておきましょう。

一番シンプルなピックアップであるシングルコイルピックアップは、弦1本づつに対応したポール・ピースが永久磁石でできていて、その周りを銅線が巻きけられてコイルを形成しており、そこが磁場になることで、ギターの弦の震えをとらえます。そして、その信号をアンプで文字通り増幅することで、大きな音を得ているわけです。

ところが、この構造だと60サイクルのハムノイズ(「ジーーーーッ」というシングルコイル独特のノイズ)が出ます。手で弦に触れたりすると少し小さくなったりしますが、原則的にノイジーです。

私がはじめて親に買ってもらったエレキギターも、YAMAHAのテレキャスタータイプだったのですが、ノイズの大きさに驚いた覚えがあります。そこそこ苦労しました。まぁ、それも含めて、シングルコイル的なサウンドが出来上がっていると言えなくもないわけですが。

↓の図で言うと、シングルコイルは、6本のポールピース自体が磁石で、その周りを銅線がまかれています。そこに磁場が発生して、弦の振動の変化で磁場が変化し、それをアンプで増幅することでサウンドが得られてると言う仕組みです。

 

一方のハムバッカーは、ポールピースも、ソリッドスタッグスもともに磁石ではなく、一番下の方に置かれた平らなマグネットバーから磁力を得ておており、その周りにコイルを巻いて、磁場を発生させているわけです。コイルの磁極をN/S逆にすることで、60サイクルハムをキャンセルする、という画期的発明で、ノイズが小さく、またコイルの巻き数が多いので、出力も大きい、夢のピックアップが誕生したというわけです。

 

まぁ、なんでもいいところがあれば、犠牲になるところもあるもので、この構造では「ノイズが少なく」「太くて大きな」音は得られるんですが、ややモコモコするというか、ファットというか、ミドル域が強調され、当然のことながらシングルコイルのようなきらびやかさは望めないわけです。

なので、↑に書いたように、フェンダーは、セス・ラバーに「フェンダーらしいきらびやかさを残したハムバッカー」を作ってくれ、と無茶な要望したわけです。

で、天才セス・ラバーは、どうしたかというと、永久磁石のポールピースにコイルを巻いたシングルコイルピックアップを2つ合わせて1つのピックアップにしたわけです。

シングルコイルピックアップを2つつなげてハムキャンセリングしつつ、直流抵抗値も大きくできて、ハードなサウンドも出せる、という夢のようなピックアップが完成しました。

 

ところで、WRHBは、P.A.F式ハムバッカーよりサイズが大きいという話をしましたね。

wikiで読むと、サイズが大きい理由は以下のストーリーで説明されています。

●まず、ギブソンのP.A.Fタイプのハムバッカーは、上で見たように、PUの地べたに、平らな磁石板を置いて、それに接地したポールピースが磁気をおびる。そのまわりにコイルをまいて磁場を作る、という方式だ。

●アルニコ磁石は、スクリュータイプのポールピースに加工するのは、容易ではなかった。

●なので、より加工しやすいクニフェ(CuNiFe=Copper/Nicke/Iron)の棒磁石を採用した。

●ところが、クニフェのポールピースをそのまま使って、P.A.F式と同じくらいの銅線をまいて作ったコイルだと、磁力がP.A.F式が生み出すものよりも弱い。

●よって、P.A.F式と同等の直流抵抗値を得ようとすると、銅線の巻き数を増やさなければならない。大体6200から6800巻き必要であり、そのためにケースというかPU自体の容積が大きくなったとのこと。

●直流抵抗値は、大体10.6kとのこと。

なるほど、それでケースが大きいんですね。なんでも理由があるものです。

※ちなみに、ポットはVOL、TONEともに1Mを使う方が、近年のリイシュー版で一般的に使われている250kのものよりは、オープンでブライトな音が得られるとのこと。250kのものだと「つまって、もこもこして」「高周波数帯をカットしてしまう」などと書いてあります。

 

ということで、往年の本物のフェンダーのWRHBはクニフェを使っていたのですが、残念ながらこの素材自体が現在はディスコンであり、手に入らないとのことです。

※小岩ファンクで紹介されている「復活クニフェWRHB搭載テレキャスター」は、フェンダーが一体どうやってクニフェを入手したのかは不明です。なんとか手に入れるルートがあったんでしょうね。

なので、上で見た、クニフェを使った70年代のWRHBのPUや、それの乗った70年代のテレキャスター3姉妹は、ヴィンテージ市場で大変な高値で取引されているわけです。人気が高いんですね。

私が見たことがあるものは、ピックアップ1つで7-8万円とかいうようなものでした。

さすがにピックアップ1つでその値段はどうだろう、ということで、セイモアダンカンなどのピックアップ専門ブランドなら、きっと似たようなものを出しているに違いないと、ネットを検索してみました。

やはりいくつかのリプレイス用ピックアップのブランドから、クニフェではなく、アルニコ等今でも一般的に使われている別の合金を使って磁石を作り、それを用いてWRHBのサウンドを再現しようと試みているピックアップが販売されています。

往年のサウンドを求めるユーザーのためにWRHBを復刻しようと思っても、クニフェが入手できなくなったので、入手が大変容易なアルニコを使うしかないのですが、昔はアルニコでスクリュータイプのポールピースが作りにくかったのでクニフェを使っていたのが、今度はクニフェが手に入らないから、アルニコを使うようになったという、あべこべのことが起こっているのですね。

昔より、加工機器の精度が上がったので、アルニコでスクリュータイプのポールピースを作りやすくなったということでしょうか。

あげく、往年の(本物の)サウンドを求めるファンは、クニフェのWRHBが欲しいという、なかなか複雑なお話になってるというわけですね。

 

WRHBブランド・リスト

アルニコ等を使って、コイルの導線の種類や巻き数などを工夫して、なんとかオリジナルフェンダーWRHBのサウンドを再現すべく、いくつかのブランドが現代のWRHBを作って販売してくれています。

↓のYouTube動画では、WRHB好きの方々が、オリジナルの78年フェンダーWRHBと、レプリカブランド「Loller Regal」「Creamery」のピックアップの3つを比較しています。

Loller、Creameryの2社ともに、サウンドキャラクターは異なりますが、オリジナルフェンダーのWRHBに肉薄した、きらびやかなサウンドですね。3つとも良い音してます。

およそギブソン方式のハムバッカーのサウンドではありませんね。きらっきらしてます。

この動画を見るだけでも、いかに一般的なギブソン方式のハムバッカーがマディなもっこりしたサウンドかがわかります。

善し悪しの問題ではなく、純粋にサウンドキャラクターが異なりますね。

 

1.Lollar Regal

このブランドは、日本の楽器店でも取り寄せで買うことができるようです。

米国ワシントン州タコマにあるPUブランドです。

日本のWRHB搭載とうたっているテレキャスターは、多くの場合このブランドのものを搭載していると聞いたことがあります(小岩ファンクの動画で)。

日本のショップで買えば、1つ3万円強といった価格帯です。

 

下の画像にハイパーリンクを貼っておきました。

 

 

本家Lollerのウェブサイトも、↓の画像にハイパーリンクを貼っておきましたので、そちらから直接買うこともできると思います。

サウンド・サンプルも充実しており、迷ってしまうくらいです。

●価格は1つ$210ドルで、ネックとブリッジのセットだと$420です。

●直流抵抗値は、ネックとブリッジともに10.k。リクエストしてネックの巻き数を減らしてもらえば、8.9kにしてもらえるようです。

 

2.Creamery

Creameryは、英国マンチェスターにある会社です。

↓の画像にハイパーリンクを貼っておきました。そこで様々なハンドメイドピックアップを見ることができます。

●CreameryのWRHBは3種類も用意されていますが、価格は、スタンダードな「Classic ’71」のネックとブリッジのセットで、£236です。

●直流抵抗値は、ネックが9.8k、ブリッジが10.7kです。

 

ちなみに、Creameryは「Baby ’71」といって、スタンダードなギブソン方式のサイズのWRHBもあります。

●価格はネックとブリッジのセットで£164です。

●直流抵抗値は、ネックが7.6k、ブリッジが8.7kです。

レスポールやSGなどのP.A.Fサイズのハムバッカーを積んでいるギターに載せ替えするのに、ザグリなどを入れなくていいので、とても魅力的ですね。またDCも10k未満とちょうどいいような気がします。

 

3.Mojo Tone

続いては、Mojo Toneというブランドのピックアップです。

米国ノースカロライナ州バーガーにあるブランドです。OEMもたくさんてがけているようです。

 

さて、Mojo ToneのWRHBは、「”72 Clone” Wide Range Humbucker Pickup」というもの。

これも日本で買うことができます。

 

 

●価格は1こで¥22,800

●直流抵抗値は、ネックが9.8k、ブリッジが10.7kです。

●4芯仕様です。

 

↓の自社サイトでも、単体で$129.956、セットで$249.95ですから、直注文してもいいかもしれませんね。

ハイパーリンクを貼っておきました。動画もありますので、サウンドチェックもできますよ。

 

4.Lindy Fralin

そして、リンディ・フレーリンです。日本でも手に入りやすいようです。

米国バージニア州リッチモンドにあるブランドです。

 

サウンドハウスのサイトで買えます。↓の画像にハイパーリンクを貼っておきました。

 

楽天のショップでも買うことができます。

ここでは\33,000と少し価格が安いようです。

 

直接買付したい場合は、↓の画像にハイパーリンクを貼っておきましたのでそこから注文してはいかでしょうか。

●価格は、ネックとブリッジ単体で$170、セットで$340となります。

●直流抵抗値は、ネックが8.2k、ブリッジが9kです。

 

5.セイモア・ダンカン

そして、老舗ブランドのセイモア・ダンカンからもWRHBが販売されています。

なんかゴールドがピカピカしてかっこいいですね。

↓の画像にハイパーリンクを貼っておきました。

●価格はネックとブリッジのセットで、$340です。

●直流抵抗値は、ネック、ブリッジともに10.6k。

●磁石はアルニコV(5)を使っており、2芯、4芯が選べます。

 

5.Curtis Novak

次は、米国カルフォルニア州のユッカバレーにある、Curtis Novakというブランドです。

●価格は、1つで、スクリュー、スプリングなし、Fender刻印なしの場合で、$200です。

「スクリュー、スプリング付き(+$10)」「刻印なしカバー+$10、Fender刻印カバー+$20」「ネックのみ、ブリッジのみ、セット」とオプションが選べます。それで、↑の画像で、$200 – $440となっているわけです。

一般的な「スクリュー、スプリング付き」「刻印なしカバー」「セット」で$420となります。

●直流抵抗値は、書いてありません。

●ここは、1こ$160で、フツウのハムバッカーを、WRHB式に巻きなおししてくれるサービスをやってます。

また、ゴールドフォイルや12弦ギター用など、珍しいPUも各種取り揃えられおり、PUのためにギターを買いたいぐらいです。

 

6.Revel

そして、米国ミネソタ州ミネアポリスで、たった一人でハンドメイドPUを製作・販売しているというブランド、Rebelです。

●価格は、ネック、ブリッジ単体では、ともに$140で、セットで$280となります。

●直流抵抗値は、ネック、ブリッジともに10.7k。ネックは巻き数減らしたバージョン 9.5kと、8.8kから選べます。

カバーが、「Chrome, Nickel, Gold, Raw」から選べるので、カバーカラーにこだわりのある人には嬉しいですね。

‘Vintage ’72’ WRHBの試奏ビデオが↓。とれもクリーンで、ふくよかさもあり、素晴らしいPUですね。

 

いいですね。

 

・・・・・・とまぁ、これくらい見てきて、迷いに迷った挙句に私が最終的に注文してインストールしたのは、↓のブランドBrandon Woundです。

 

7.Brandon Wound

米国オハイオ州パタスカラで、Jared Brandonという方が一人でやっているPUブランドです。

↓同社のウェブサイトです。ハイパーリンクを貼っておきました。

●本体価格は単体で$125、Agedが$145。セットで$235、Agedで$265です。

●磁石は、「FeCrCo(鉄・クローム・コバルト)磁石」を使用していると書いてあります。これが現状もっともクニフェに近い性質だとBrandonは言っています。ノンアジャスタブルサイドには、アルニコ3を使っている、と書いてあります。

結局私のシンラインには、これを乗せました。

換装前が↓これ。

ebayで10万強で買いました(ただし、ebay.comなのに偶然売り手は日本の方でした)。

↓がピックガードをはずしてBrandon WoundのPUを取り付けたところ。

ブリッジ側のWRHBの裏面が見えます。ネック側もちゃんと写真とっておけばよかった。はずすの面倒だからまた今度外すときにでも写真とっておきます。

これを換装したのが、↓こちら。

 

↓これが、元々シンラインに乗っていたFenderのリイシューモデルのシンラインWRHBについていた「ケースだけ大きいフツウのハムバッカー」です。

95kと、200と見えます。

恐らく、9.5kと20.0kだと思います。ブリッジ側がかなりパワーがあるタイプですね。

このPUは、単なるハムバッカーですので、全くもってブーミーというか、フツウのハムバッカーの音しか出ていませんでした。

まぁ、そりゃそうでしょう。

 

ところが、Brandon WoundのWRHBに変えたとたん、全く異なる、きらびやかで、はなやかなシングルっぽいシャープなサウンドが鳴りました

これがWRHBの実力か、と大変感動したのを憶えています。

正直、それほど大差が無かったら、残念だなぁ、と思い、買ったはいいが、ちょっと換装作業に躊躇していたんですが、なんのことはない、つけてびっくりの変わりようです。

サウンドの好みに合わせようよ、このシンライン、半音下げチューニングにしましたが、より良い気持ちの良いサウンドになりました。

これまで、あまりカッティング奏法には興味がありませんでしたが、このPUのおかげで、ノーディストーションのカッティングとか短音とかの魅力に、50も後半になり、はじめてめざめた次第です。

シングルPUのテレキャスターとも、ストラトキャスターとも違う、独特のシングルっぽいハムバッカーサウンドで当分楽しめそうです。ああよかった。

ということで、なんの因果か、「ワイドレンジハムバッカーPU」をいうものに興味を持つことになったギター愛好者が、いちいち時間をかけてあちこちのサイトを回遊しなくても、全部いっぺんにわかるページをめざして作成したこの投稿、自分では相応に満足しています。

あとは、これを弾いたサウンドをお聞かせできればいいんですが、私の技量と録音機材の問題からそれができないのが残念です。

ちなみに、↓のようなカード類が同梱されてました。

ステッカーなんて2枚も入れてくれてました。ステッカーなんて、いらないんじゃ?なんて思ってましたが、結局どこやらに貼ってました。もらうと嬉しいもんです。これがブランディングってもんですね。

 

まぁ、ご覧いただいたように、一口にWRHBといっても、今や本家フェンダーさえ、クニフェWRHBを復刻していることですし、リプレイスメントブランドもたくさん出してますので、各社のサイトやYouTubeにあるサウンドデモで、じっくりとご自身の好みに合うPUを探してみてはいかがでしょうか?

 

おまけ

ちなみに、YopuTubeでは他にもCatswhisker Pickupsという英国のブランド(1つ$88ドル!)や、KinmanのTelenator等をみかけます。

Telenatorは、本家がディスコンになった後、クニフェを使っていた唯一のWRHBを製造していたとのことでしたが、残念ながら現在はクニフェが入手できずディスコンとなっているとのこと。

ebayで、英国チャシャー州にあるNorthwest Guitars Limitedというブランドが、以下のようなWRHBを販売しています。この名前がなぜか「Hoscoo Japan Wide Range Humbucker Pickup」というもの。

価格は1個、£98.0です。\14,000くらいでしょうか。

ebay.comのページを↓の画像にハイパーリンクを貼っておきました。

このブランドは、各国のebayを主なチャネルにしているらしく、かなりレアなものです。

 

まさに「沼」的WRHBの世界。これからも十分楽しめそうです。


Posted by yaozo