関正生先生の授業を受けて、英語の現在形について深堀してみる。AKA「ポケモンでサトシが『キミにきめた』のはいつの話か?」
yaozoです。
ウィルスとの闘いがいつまで続くか不明で、不安な今日この頃。
巣ごもり在宅勤務生活が長くなり、いつもの薬が切れたので、かかりつけの医者に処方してもらうべく先日外出したのですが、これが3週間ぶりにマンションの玄関を出たというぐらいでした。妻にばかり買い物をさせるのも悪いので、重装備(病院に行くんですから当たり前ですが)して外出しました。
無事、いつもの薬を処方してもらい、薬局により、その後、スーパー、ドラッグストア、コンビニと、買い回りました。
山手線の内側の繁華街の近隣に住んでいるのですが、平日のお昼どきにもかかわらず人通りはまばらでした。優秀な街ですわ。
サトシがキミにきめたのはいつの話?
さて、本日は英語ネタ。
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先日、テレ東の「YOUは何しに日本へ?」を見てたら、あるYOUが、ポケモンのTシャツを着てて、そこにはロゴの下に「I Choose You!」と英語で書いてありました。
「I Choose You!」とはなんだ、と思ったのですが、うっすらと、少し前に息子が一人遊びしながら「君に決めたっ!」などと叫んでいた、のを思い出し、追って、大量に投下されていたポケモン映画のCMが思い起こされ、あぁ、これは「ポケットモンスター キミにきめた!」の英語タイトルじゃなかろうか、と推察したのでした。
早速調べてみると、まんまとあたってました(リテラシー低すぎですね)。
https://en.wikipedia.org/wiki/Pok%C3%A9mon_the_Movie:_I_Choose_You!
ここで問題になるのは、日本語は「きめた」と過去形なのに対し、英語では「Choose You」と現在形を用いており、並行関係になっていない点です。
直訳すれば、「I Chose You!」のはずですが、訳者はなぜ、ここで現在形にしたのか。逆に言えば、なぜ過去形ではまずかったのか、というのが問題になります。
そこで、ここでは、この「現在形」について深堀してみようと思います。
関正生先生の現在形の定義「現在形は、『現在・過去・未来形』だ」
このシーンを見たとき、丁度この前投稿した、関正生先生の授業や本で習った考え方が思い出されました。
スタディサプリの大学入試編の文法のコースでも、書籍『世界一わかりやすい中学英語の授業』でも、現在形については、「現在形は、『現在・過去・未来形』だ」ということを主張しています。
彼の考え方としては、「英語の現在形」というのは、一部の例外はあるにしても、原則的には、その名前とはうらはらに、今現在(だけ)のことを語る語法ではなくて、現在のことも、過去のことも、未来のことも表現したいときに使う時制だのこと。
『世界一わかりやすい~』の140ページのコラムで「現在形」について解説しています。
簡略にまとめると。。。。。
・現在形は、今現在のことには使わない。→これは「現在進行形」で表現。
・偉い学者が昔「現在形」とつけてしまったので仕方なくそう表現しいているが、本来は「現在・過去・未来形」と呼ぶべき(「なので、受験生のみなさんはそう呼んでください」と言ってます)。
これ何言ってるかということで例文2つ。
I play baseball. 「私は野球をします」現在形
I am playing baseball. 「私は野球をしています」現在進行形
現在形は「私は(現在・過去・未来いつも)野球をします」→「(毎日)野球をします」という意味なので、「野球部」か「プロ野球選手」が使う表現だ、としています。
対する現在進行形は、野球部だろうが、プロ野球選手だろうが、一般人だろうがなんだろうが、今現在、その「私」が野球をやっているという意味(で、現在形と違って、その事実以外に言外の意味はない)。
私も、英語の参考書で「習慣の現在形」みたいなことはならったので、↑のようなことは表面的にはわかっていました。
この「習慣の現在形」的用法には、有名な典型例が2つあります。
「Do you speak English?」
「あたなは英語を話せますか?」「はい、話せます」を英語で言う際に、ついつい「Can you speak English?」「Yes, I can.」といってしまいがちだが、実は「Do you speak English?」「Yes, I do.」が正解という話。今現在話せる、ということは、今いきなり話せるようになったわけではないでしょう。何年前かはさておき、過去のある時点からすでに話せる(話す)ようになったんでしょうし、現在はもちろん話しますし、思考・認知機能が思い通り働いている限り、未来においても話すでしょう。
それから「お仕事はなんですか?」は「What is your job?」としてしまいがちだが、「What do you do?」が正解という話。もちろんこの場合の答えは「I do teaching.」などではなくて「I’m a teacher.」でいいわけです。これはbe動詞の現在形で受けている、と考えていいと思います。教師も今だけではなく、何年か前の「過去」になったんでしょうし、現在もやってますし、当分教師で行こうと思ってるんでほんわりとした未来の予定も表しています。なので「現在・過去・未来形」の質問を(形式は変化しますが)同じく「現在・過去・未来形」で受けているということです。
とにかく、両方とも、いつもはなにをやっているのか?どういう状態にあるのか?ということを質問しており、学校では「習慣的用法」などと習います。
ちなみに手直にある、大西泰斗先生の『1億人の英文法』では、548ページ(第13版)で、「現在の習慣」とまとめられています。
例文は「私の父は街に行くのに通勤電車を使ってるよ」とあります。
commuter trainに乗ってるってことですから「街」は会社のことかと思いますが、まさしく習慣としてどうだこうだということを説明する現在形です。
これを例文にとって、関先生の「現在形=現在・過去・未来形」の理屈を説明するとわかりやすいと思いますが、このお父さんは、少なくとも今の会社に勤務しだしたころ(過去)から、現在(おそらくこれを話している今日も)、そして会社を定年退職するか早期退職して家でやれる仕事に転職でもしない限りずっと(未来)、通勤電車に乗って街に通うことでしょう。
少なくともこの文章を発話した息子か娘が、これを話している現時点における「過去・現在・未来」に渡る相応に確実な事実を相手に伝えているわけです。
仮に、「過去も未来も含まない」、現時点のことだけ言いたい場合、
My Dad is catching the commuter train into the city now.
などと、大西先生が書いている通り、現在進行形にしなければなりません。一体どんな話なのか、前後を書かないと、一体なんの話なのか判然としない文章ではありますが。
なので、時制は、3つ(過去・現在・未来)ではなくて、4つ(過去・現在・未来・「現在・過去・未来」)あるという理屈です。
そして各々の時空間のことを、「過去形」「現在進行形」「未来形」「現在形」を使って表現するというわけです。
ちなみに、やはり関先生のこの教え方に関して矛盾点を指摘するブログもあります。
https://sites.google.com/site/maruankihuyounoeibunpou/
全部が納得できるわけではありませんでしたが、確かにあたっているところもあります。
ウェブサイト上では、関先生の書籍や教授法について、賛否両論意見が上がっています。provokeしているという証だと思います。すべてが統一感があり、穴がないものよりも、新たな付加価値を提供できる考え方を提供できている関先生はやはり素晴らしいと思います。
だって、自分の師匠から教わった通りに例文だけ改めて書き直している大学教授の文法書よりよほど、自分で考えるようになります。
関先生の狙いは、「いかに単なる丸覚えに頼らずに英語を考えられるか?」にあると思うので、細かい点はなんなら自分で考えればよいんだと思います。あまりに自信満々に講釈されるので、反発する方もいるかと思います。それもまた自然な反応だと思います。
サトシは「ずっと」きめている
さて、劇場版ポケットモンスターです。
私は息子と違って、ポケモンについてほぼなにも知識がありませんので、素直に息子に訊いたところ、どうやら「キミにきめた」の「きめる」とは、登場人物の「人間」が帯同する「ポケットモンスター」を選ぶことを言うらしいですね。
今wikiで確認したところこの映画は、
サトシとピカチュウの出会いから旅立ち、本当のパートナーになるまでの成長物語として描かれる。
とのことであり、キャッチコピーも「オレはこいつと旅に出る」とのことですので、一義的にはサトシがピカチュウを「選ぶ=きめる=決める」ということがタイトルになっていると思われます。正確で細かいことを言わなければ、おおよそそういうことで正解だとしましょうか。
ではサトシが「きめる」のはいつか?という問を立てることができます。
日本語が「きめた」だから「I Chose You!」としてしまうと、英語ネイティブからは、「過去の話限定」として、「私はあなたにきめていた。だが今はもう違う、あるいは今は確かなことは自分でもわからなくなった」というような余計なニュアンスが出てきてしまうようです。
しかし、日本語で「きめた」という場合、決めたのは過去のある一点(ぼんやりしているかもしれませんが)であるにせよ、「キミなんだ」という事実、つまり「キミを選んでいる」という現在の状態も表しています。そして、「きめた!」と強く断言している以上、なにか大きく信頼を損ねるようなことをされない限り、少なくとも将来にわたっても、「キミをchoose」している状態にあることの蓋然性は大変高い、といっていいでしょう。
このような状態にある自身の「きめた」という意思を英語で表現する場合には、単純な「過去形」ではとてもカバーしきれません。では、「I choose you, I’m choosing you and I will choose you 」などと面倒な表現をしなければこの日本語のニュアンスは出せないのか?というと、全くそうではなくて、日本語のこのような意志を英語で表現する場合「現在形」を使えばいいというわけです。
まさしく、「現在形=現在・過去・未来形」である極めてわかりやすい例文だということで、冒頭のTV番組で見た外国から来たおにいさんのTシャツに書いてあった、ポケモンの映画のタイトルの英訳を見て、強く強く膝を打った、というお話でした。
う~む、関先生恐るべし。
現在形の考え方(大西先生)
ではまた。
ちなみにいろいろあって、子供さんが不登校になっても、↓こういった本をしっかりと読みこむと、無根拠な不安がなくなり、では次にどうしようか、と考える余裕が出てきます。うちの新中2生の娘は、コロナが終息するかどうかにかかわらず、2年生になっても登校する気がないようです。
私も大変参考になりました。
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