世界がリメイクした大ヒット北欧ドラマ3選
yaozoです。
マンガ、アニメを中心に、日本のソフトウェアは、長らく世界中にファンを獲得しており、日本人の誇りです。
『ドラえもん』『キャプテン翼』『ワンピース』と思いつくままにあげてみてもどれもみな、世界中の言葉に翻訳されて、書籍になりTV番組になりと、日本を好きになってくれる方々の日本好きになるきっかけとして大いに貢献しています。
以前『鉄腕アトム』がハリウッドでリメイクされましたし、最近では『ポケモン』がハリウッドでリメイクされています。
映像の王者アメリカ
とはいえ、映像、音楽を中心とするソフト産業は、第二次世界大戦前から、既にアメリカの独壇場だったわけです。
そこに転機が訪れたのは、音楽市場において1960年代になってエルビス・プレスリーに触発された若者が作ったバンド、ザ・ビートルズを中心とする、いわゆる「ブリティッシュ・インベイジョン」というムーブメントでした。
音楽市場においてだけは、その後も、クリーム、レッド・ツェッペリン、クイーン、ポリス、U2、コールドプレイ、レイディオヘッドと、グローバル市場で大成功する英国のロックバンドは絶えることがありません。英語が母語である点が強みになっているとは思いますが、アメリカの対抗馬としてイギリスを越える国は今のところ現れていませんし、現れる気配もありません。イギリスは強いですね。
しかし、映像分野においては、やはり、アメリカの圧倒的優位はゆるぎないものがあります。ハリウッドが量産し続ける高品質でユニバーサルな映画作品、そしてニューヨークが量産し続けるこれまた高品質でユニバーサルなTV作品、このアメリカの東西の端っこの両エリアが生産し続ける作品は、映像コンテンツのキングであり続けています。
その圧倒的な国力にも支えられて、このアメリカの東西映像文化圏が作り続けるコンテンツこそが世界標準だといってよいでしょう。
日本の映画作品も、最新の『ポケモン』以前に、いくつもハリウッドでリメイクされています。たとえば、『七人の侍』『ゴジラ』『ザ・リング』『呪怨』『Shall We ダンス?』『ハチ公物語』と思いつくものだけでも少なくありません。
新たな映像ソフト提供国としての北欧
そして、2000年代に入ってきて、にわかに映像作品の元ネタとして他国に影響を与え、リメイクされるような作品を生み出しているのがスウェーデンを中心とする北欧です。
私も、北欧ドラマの作り出す独特の空気感と圧倒的なユニークさに魅了された一人です。
ここでは、世界に愛されそしてリメイクされた北欧発の映像作品をまとめてみました。
ドラゴンタトゥーの女
まずはなんといっても、2005年にスウェーデンで出版された『ミレニアム ドラゴンタトゥーの女』が北欧コンテンツブームの火付け役となったのではないでしょうか。
2009年に映画化されてスウェーデンとデンマークで同時公開され、その後全世界で1億ドル以上を稼ぐ大ヒット作となり、イギリスのアカデミー賞で外国語作品賞を受賞するに至ります。
そして、2011年には、最新の007のボンド役で世界的大スターとなったダニエル・クレイグ主演でハリウッド映画化され、これも世界的大ヒット作となりました。
オープニングは、あのレッド・ツェッペリンの『移民の歌』のヘビーなカバーバージョン。
私は出不精なのであまり映画館で映画を見ないのですが、007シリーズの大ファンで、しかもショーンコネリーと同じくらいか少し上回るほど、ダニエル・クレイグのファンなので、迷うことなく映画館に足を運びました。オープニングで大音響で鳴り響く『移民の歌』とオープニングタイトル映像にノックアウトされたのを昨日のことのように覚えています。
内容も大満足で、特に、雪深く寒い北欧の空気感には強く魅了されました。
監督は『セブン』『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』『ソーシャル・ネットワーク』と大ヒット作品連発のアメリカ人監督デビッド・フィンチャーです。
ダニエル・クレイグも寒い場所が大変似合いますね。007シリーズでは、暑い場所でのロケも少なくありませんが、私は個人的には圧倒的に雪の中でのシーンが似合うと思います。
同作品は、オリジナル、リメイクともに、シリーズ化されて、世界的に大ヒットを飛ばし続けており、今でも多くのファンを虜にしています。私は、同じ映画やドラマを見返すことはあまりないのですが、この作品は『007シリーズ』(そして『寅さんシリーズ』)と並んで、私が複数回見ている数少ない作品の1つです。
北欧のコンテンツがここまで世界を制覇したのは、1970年代の音楽シーンで、あのABBAが世界的大スターとして活躍して以来なのではないでしょうか。
それ以前ですと、1960年代のイングマール・ベルイマン監督の映画作品があげられます。ベルイマンは、黒澤明、フェリーニと並ぶ三大映画監督などと言われることもあるほどの巨匠で、ウディ・アレンも大のファンだというのは有名な話です。
ともあれ、ベルイマン~ABBAときて、40年ぶりにスウェーデンのコンテンツが世界のひのき舞台にあがったのが、この作品『ドラゴンタトゥーの女』なわけです。
キリング
次に紹介すべき作品は、デンマークで制作され2007年に放送された『キリング』です。
シーズン1が20話、その後、同じ主人公であるコペンハーゲン警察の刑事サラ・ルンドをソフィー・グローベルが演じ、シーズン2で10話、そしてシーズン3で10話まで制作されました。
スーパードラマTVの公式ホームページで、詳細な紹介がされてます。
まずこのページを見れば、本作品の大体のことはわかります。
http://www.superdramatv.com/line/the_killing/cast/detail.html
ちなみに、本作品で政治家役で出演している、ラース・ミケルセンは、この後、カンバーバッチ主演で大ヒットしたBBCの『シャーロック』で、悪役マグヌセンを演じることになります。非常に冷徹非情な感じで、いい味を出しています。
また、このラースの弟マッツ・ミケルセンは、『007 カジノロワイヤル』で悪役ル・シッフルを演じており、兄弟二人して、イギリスのスターキャラクターの適役としてイギリスの映画・ドラマ史に爪痕を残しています。
またマッツは、アメリカのテレビドラマ『ハンニバル』でもレクター役を演じ、独特な世界観を確立し、世界的スターの仲間入りをしております。
そして、この『キリング』は、アメリカで『The Killing』としてリメイクされ、2011~2014にわたってシーズン1からシーズン4まで制作され大ヒットしています。
このアメリカ版は、最初から最後まで本当にひっきりなしに雨が降っており、それがまたこのバージョンの色調として強く印象に残ります。
主人公のサラ・リンデン役は、ミレイユ・イーノスというアメリカ人女優が演じていますが、この人は、2019年にAmazonビデオのオリジナルシリーズ『ハンナ』で主人公のハンナを狙う適役(CIAの偉い人)を演じています。このドラマ版『ハンナ』は、私がここ数年何度も見返している大好きな映画『ハンナ(2011年)』をTVドラマ化したものです。この作品については、また稿を改めてたっぷり書いてみたいと思っています。
また面白いのが、このAmazon版の『ハンナ』には、このレイユ・イーノスとともに、主役の相棒刑事役で出演しているスウェーデン出身俳優、ヨエル・キナマンが、ハンナの育ての父役で再度共演しているのです。
キナマンは、父親がアメリカ人でスウェーデンとアメリカ双方の市民権を持っているとのこと。『The Killing』ではアメリカ人役ですので、ちゃんとしたアメリカ英語で話し、『ハンナ』では東欧人役なので、訛りのある英語を話します。妙に訛り方がうまいのは、そういったバックグラウンドがあったわけですね。
ブリッジ
最後に紹介したいのが、『ブリッジ』です。
2011年にシーズン1がスウェーデンとデンマークで放送され、2018年のシーズン4まで続きました。
詳細は、これまたスーパードラマTVの公式ホームページで見ることができます。
https://www.superdramatv.com/lineup/SN0000000602.html
スウェーデンの作品『ドラゴンタトゥーの女』ではじまり、デンマークの作品『キリング』で盛り上がったファンにとどめを刺したのがこの、スウェーデンとデンマークの2つの国を舞台に繰り広げられるサスペンス・ドラマ『ブリッジ』です。
毎回冒頭のタイトルには、「橋」という言葉がスウェーデン語とデンマーク語で併記されます。
あらすじとしては、スウェーデンとデンマークを結ぶオースレン橋の上に両国の国境となる線が引かれているのですが、上半身がスウェーデン側に、下半身がデンマーク側に置かれている死体が発見されたところから、両国の警察が連携して捜査にあたる、というストーリーです。
主役であるスウェーデンのマルメ県警のサーガ・ノレンが、高度な知性を持ち極度のワーカホリックで事件解決能力が高い優秀な刑事でありながら、アスペルガー症候群を患っているらしく、周囲の人間が取り扱いに困ってしまう、という設定です。
現実的にはちょっと考えられませんが、良く思いついたなぁ、というトリッキーなキャラクタ―設定についつい引き込まれます。
ちなみに、このドラマは、「キリング」のスタッフが、スウェーデンのドラマ「刑事ヴァンダラー」シリーズの脚本家と組んで制作されています。つまりスタッフも実際に、スウェーデンとデンマークの混成チームなわけですね。
また、毎回冒頭のタイトルバックの橋のシーンに流れる、デンマーク出身のバンドChoir of young Believersが演奏する『Hollow Talk』が秀逸で、この曲とこのドラマの空気感があまりにぴったりマッチしており、かなり強力に結び合っています。このドラマを思い出すたびに、頭にこの曲が流れるほどです。
このドラマの主役2人が、BBCの朝の人気番組『breakfast』にゲストで呼ばれ、英語でインタビューに答えています。イギリスでも大ヒットしたことの証左ですね。主演女優のソフィア・ヘーリンが終始にこやかに笑っているのが印象的です。なにせ、役柄上、社会生活を送るのに困難を抱えるキャラクターで、作り笑い以外に、全く笑っている顔を見ることがないからです。
このドラマは、国境にまたがって事件が発生し、2つの国の警察官が協力して捜査にあたる、という形式で、大ヒット作品なわけなので、当然の帰結としていくつかの国境にまたがったストーリーで各国でリメイクされています。
アメリカ/メキシコ版 『ブリッジ』
まず、アメリカとメキシコの国境を舞台に制作されたアメリカ版リメイクが、2013年7月から2014年10月まで、2シーズンにわたって放送されました。
ここでは、アメリカ側が女性警察官、メキシコ側が男性警察官というコンビで、事件を捜査します。
メキシコとアメリカのカルチャーの違いに悩むアメリカ人警察官、そして自国の事情に縛られながらも正義を追求しようとするメキシコ人警察官が織りなす、異文化ドラマに仕上がっています。
日本では、FOXチャンネルで放送されました。
イギリス/フランス版『トンネル』
最後は、2013年に、イギリス/フランスの二国間で発生した事件としてリメイクされたイギリス版の『ブリッジ』です。今回は、英仏海峡を通る海底トンネルが舞台となりますので、タイトルも、ブリッジではなくて、トンネルになります。
イギリスのTV局Sky AtlanticとフランスのTV局Canal+の合作でリメイクされました。
番組概要は↓で見れます。
https://www.twellv.co.jp/event/tunnel/
こちらは、イギリスが男性警察官、フランスが女性警察官という設定で、他の2作品と異なり、どちらかというとイギリス人の男性警察官の方が主役っぽく描かれています。男性警察官の方が、さえない感じなのは、他の作品と同じですね。どの作品も、女性警察官の方が、しっかりと強固なキャラクターとして描かれており、男性警察官は絶えず悩みもがく、とった格好になっています。
この作品は、日本ではHuluで配信されています。
ロシア/エストニア版「The Bridge」
こちらは、たまたまwikipediaで知ったの作品で、これだけは見ていません。
ロシアとエストニアの国境を舞台にロシアNTVが2018年に放送したとのことです。
現在のところ日本で見られそうにありませんが、是非見てみたいと思っています。
以上、どうしても見ておくべき北欧ドラマ3選をご紹介しました。
もしまだ見たことのない作品があれば、1つでも2つでも見てみることを強くおすすめします。本当に期待を裏切らない作品ばかりです。
英語学習については、高額なスクールに通う前に、かなり計画的に学習誘導してくれるような、自学ツールでコツコツやるのも一つの手ではないでしょうか。 ちなみに、うちの中一の娘はこれで英語頑張ってます。
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