Netflix「After Life」で学ぶイギリス英語 その1
yaozoです。
今回から、「After Life」を使って、具体的なイギリス英語表現を見ていきたいと思います。
Netflix 「After Life」で学ぶイギリス英語第1回
日頃より英語学習にNextflixを活用して英語学習をしている私が、N回etflixで見れるドラマで気になった、イギリス英語の独特の表現を確認したり、少し掘り下げたりしていきます。
このドラマ「After Life」の概要は、私の別記事で読めますので、まだ読んでない方は、こちらを先にお読みいただくことをお勧めします。
https://yaozo100.com/post-553/
「脅迫的付加疑問文」という表現方法
勿論アメリカ英語でも、付加疑問文は相応なタイミングで相応な頻度で使われてはいますが、イギリス英語ではアメリカ英語とは比べものにならないほどの頻度で付加疑問文が使われます。
本作でも、冒頭の新人の郵便配達人と主人公Tonyとが初対面するというほんの短いシーンでも、何度か使われています。
丁度玄関から出てきて道路まで出てきたTonyに、配達人がそのままカードを渡そうとします。そこでTonyは、
“I don’ t wanna walk wiht it, do I?“(そんなもんもって出たくないでしょうが)とクレームをつけます。
「なんで?」と訪ねる配達人に
“You’re new, aren’t you?”(新人だろ?)と質問返しします。
「そうなんです。前は・・・」と答える彼を途中で遮りながら「そんなのはどうでも良くてさ」と続けて
“Presubmably in your old round, you put things through the door, didn’t you?“(前んとこではさ、ちゃんと郵便受けに入れてただろう)と詰問し、「いいから郵便受けに入れろよ」と促します。しぶしぶほんの数メートル先の郵便受けにハガキを入れた配達人に、こう言います。
“That wa easy, wasn’t it?“(簡単だろ)
とまぁ、ほんの90秒かそこらの会話の中で、4回も不可疑問文が使われています。
その他、シーズン1エピソード6まで見通して、特に気になったのが、どのエピソードでも頻発されるこの付加疑問文です。
私たちが学校で付加疑問文を習ったときは、「自分の主張に関して相手に同意を求める表現」といった感じで教わりましたが、Tonyのように、執拗に繰り返される場合、いかにも「(オレの言ってることは)ごくごくまっとうなことだよね?」「わかるよね、こんくらい?」といった調子が込められてきます。
エピソード1の、ほぼ冒頭のシーンから、Tonyの性格や現在の気分を表現するのに、この「脅迫的付加疑問文」とでもいえるような表現が使われており、大変効果的だと思いました。
“innit?”に見る付加疑問文の多用と意味の変容
もちろん、イギリス英語の付加疑問文において、上のような用法は特殊なケースだとは言えますが(だからこそ主人公の心もおようの描写に貢献しているのわけです)。とはいえ、実際イギリス人は日常会話の中で、むやみやたらと付加疑問文を使います。
特に多用されるのが、
“innit (isn’t it?)?”
という表現で、isn’t itなわけですから、元来は、主文が “It is~”という文章に付加するのがルールなのですが、特に現代の若い方々の場合は、
“She is so cool, innit?” (あのこかわいいよね)
主語が she なので、isn’t it? では「非文(文法的に成立しない文)」になっていますし、
はては...
“We was just joking, innit.” (ふざけてただけだよ)
などと、過去形のwasを現在形の”innit.”で受けたりして非文となっています。あげく、ドラマの字幕などでは、「フルストップ(アメリカ語でいう『ピリオド』)」で終止される始末ですです。
よくよく見て頂くと、そもそもWe を was で受けていたりします。挙句の果てには、
“I did it by mysefl, innit.”
などと一般動詞の最後を innit で受けたりするレベルまで変容しています。
この文例の場合、
”I did it by mysefl, didn’t I?” と文法上の破綻のない文章に修正すると、上の表現と全く意味がことなってきます。
上:「それ自分でやったんだよね~。ちゅうか、そんな感じ」
下:「それは私がやったんですよね。(「そりゃそうさ。えらかったねぇ」などといったハートウォーミングな返答が想定されています)」
となるわけです。
ドラマを見ていたり、若いイギリスの方を話すときには、本当にしばしば耳にする表現です。私は全く気になりませんし、どちらかというと、最後になんかつけてくれた方が、特に会って会話する時や電話で話しをするときには、かえってリラックスして話せます。時と場合が許せば、私自身も使ったりします。
ただ、中には特にアメリカ在住が長い方やアメリカ英語に慣れている方などで、これが気になって仕方がない、という声をきいたことがあります。
いわく「そもそも、あまりに多用されるんで、頭悪そうに聞こえてくるのよねぇ」だの「文法的な逸脱が過ぎるので耐え難い」といった理由だそうです。
「いつまでたってもママがやってくんないからさ~、結局は自分で片づけちゃってさ~」などというときの「ちゃってさ~」に近い「雰囲気言葉」のようです。このときの「ちゃってさ~」も別に本来の「(するべきでないことを私は)してしまったのです」ということを言いたいわけではありませんよね。この文例の場合、本当に彼女は自分で(おそらくは自分のお部屋を)片付けだのですが、表現を和らげてカジュアルなトーンを出すために使っており、そのだらっとした語感によって、見事にその目的は達成されているわけです。
“like”も沢山使いますよ(みたいな~)
実は、にたような表現で現代のイギリスの若者に流行している言葉に “like” があります。これは、アメリカ人も使わないことはないとは思いますが、その頻度に相当差があるように感じますし、また使う場所がやや違っているような気がします。
アメリカ人の場合は、文中に挿入して、次にくる言葉を和らげるために使っているようですが、イギリス人の場合、とにかく、なんであれ、言いたいことを言った後にくっつけまくります。
“I was so drunk, like.” (すんげぇ、酔っちゃってさ~、みたいな)
といった感じで、文末にくっつけることで、まさしく日本語でいうところの「~みたいな」といった感じを表現しているようです。
イギリスのドラマに出てくる、特に若いお嬢さんたちは、特に”like”,”like”と連発して驚かされました。発音は、「ライク」ではなくて、「ラーイク」とだらっとしているところも「みたいな~」と似ていて面白いなぁ、と思いました。
どのドラマだったか失念したので、今度調べておきます。イギリスのパッとしない法律事務所だかにつとめる女性ともだち二人の統制若者風のでたらめな感じをだる~く、表現してて、私は好きでした。彼女たちが、(特に酔っぱらうと)ほとんどワンフレーズごとに、「ラーイク」終わるので、新鮮な感じがしました。なんだっけかなぁ。
you knowの多用
似たような言葉では “you know” = “y’know” がありますね。確かにいちいち、”you know?”, “you know?” などと付ける癖の強い方と話しているときに、やや「???」となる場合があります。
何か話す度に、「知ってるよね?」「だよね?」などと言われると「いいえ、知りませんけど」と言いたくなることもないではありません。
実際、最近Netflixで見たアメリカのドラマで、主人公の男性が、「だよね」ぐらいの、あまり意味のない合いの手的な使い方で “you know?” と言った後に、相手の女性が “I don’t know!” と言い返し「そんな意見私には理解できないわ」と反論していたシーンがあって、「あぁ、やっぱりそういう切り替えしもありうるんだ」と、妙に感心したことをおぼえています。
と長くなったので第1回はこれくらいに。
おまけ:イギリス英語学習について
英語学習については、高額なスクールに通う前に、かなり計画的に学習誘導してくれるような、自学ツールでコツコツやるのも一つの手ではないでしょうか。 ちなみに、うちの中一の娘はこれで英語頑張ってます。
また、イギリス人が普段の生活で話している英語を実際に「手加減なし」で聴き取って理解したい、という方には、「生のイギリス英語を現地の生録音」を使ってしっかりと「精聴」しよう、というコンセプトで作られている↓の2冊がおすすめです。
小川直樹さんと川合良平さんというに2人による、どちらかというと文化人類学的なフィールドワーク的アプローチの「現地語採取」に近い感じで、今のイギリス英語(話し言葉)を記録し、それを文字に起こし、そして解説する、という極めて面白い企画です。
まぁ、もちろん一発目は、音声だけ聞いて自分がどれくらい聴き取れるかやってみるんですが、インタビュアーがペラペラなので、対象のイギリス人もそりゃもう普通に、言葉につまったり、省略したり、訛ったりして、全く普段通りに話してくるので、わからない箇所が多いです。それを、しっかり聴き取れるプロが、文字に起こしてくれてるわけなので、「へ~なるほど、そうやっていってるのか。わかんなかったよ」というAHA体験が味わえます。
私にとっては、大変貴重なイギリス語学習の教材です。
RedとBlueがあります。
また、私も大好きな「シャーロック(カンバーバッチ版)」でイギリス英語にしびれた、という人も多いと思うのですが、ファンの方にもそうでない方にも、マンガでバイリンガルでシャーロックのシーズン1の3作を再現してくれている↓の3冊が超お勧めです。
大昔、ピーナッツ(スヌーピー)のバイリンガルマンガが好きで一所懸命読んで勉強したことを思い出す。
今考えると、子供用とはいえ、学校では習わない結構難しい表現が多くて苦労しました。というより、子供用だからこそ、我々が学校で習わないような「生っぽい」英語が多いので、知らない表現が多かったですね。
とにかくマンガで勉強というのは、現代の学習方法としては最も優れたものの1つですからね。
気になったセリフ回しがあって、対訳だけでは物足りない方は、そこだけネットサーフィンして徹底的に深堀りすると言った学習方法も楽しいですね。私は結構やりました。発見が多いですよ。
個人的には、「シャーロック」はシーズン1が最高の出来栄えだと思っているので、この3作だけでいいのではないかと思います。あくまで、個人的にはですが。
寝ころびながらのイギリス英語学習、いかがでしょうかね。
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