Netflixで『Sherlock』のイギリス英語を完全制覇:その6
yaozoです。
ベネディクト・カンバーバッチ版の『Sherlock』のシーズン1のエピソード1『ピンク色の研究』の読破企画。第6回です。まだまだ終わりません。
On the house, for you and for your date.
ワトソンに頼んで、犯人にテキストメッセージを打ち、あるレストランに来い、とおびき出すシャーロック。
2人で待っているときのシーンです。
このレストランの店員(または主人)アンジェロは、ワイルドな人物で、以前、レストラードに残忍な殺人事件の犯人に疑われたところをシャーロックに救われたことから、シャーロックに恩義を感じています。
ワトソンと2人でディナータイムに来たので、アンジェロはすっかり、ワトソンがシャーロックの「恋人」だと勘違いしながら、「恩義があるから、なんでもタダにするから注文してくれ」的な感じで接してきます。
ということで、シャーロックの分もワトソンの分も、何を注文しても店持ちだ、ということで、こういいます。
On the house, for you and for your date.
店のおごりだ。デート相手もね。
デートの相手のことを、そのまま”date”といいます。
もちろんワトソンはすかさず否定します。
”I’m not his date.”
デート相手じゃない。
なんどか、デート相手呼ばわりされるので、その度に律儀に否定するワトソン。
ちなみに、なんどかドラマや映画で聞いた表現に、この”date”を日本語通りの「デート」という名詞で使う時に、独特の言い回しをします。
man:OK, then Saturday 5 p.m.
男:OK、じゃあ土曜日の夕方5時ね。
woman:It’s a date.
女:じゃあ、約束よ。
このように、「デート日程」をお互いに確認し合う時に、最後に”It’s a date.”と言ってしめる時の”date”は、「逢引」という意味ではなくて「逢引をする約束」という意味で使います。
なんか独特の言い回しだなぁ、などとweblioで”date”を調べると、ちゃんと↓のように書いてありました。
5 可算名詞
a 面会[会合]の約束; デート 《異性との会う約束,または約束して異性と会うこと》.
b《米口語》 デートの相手.
Bessy ismydate for tonight. ベッシーが今夜の私のデートの相手だ.
“date”の意味の5番目でやっといわゆる「デート」が出てきて、しかもその最初が、デートそのものではなくて、「面会の約束」と、約束それ自体の方が先に出ています。
なので、なにも独特でもなんでもない、ということがわかります。
ちなみに、bでちゃんと「デートの相手」というのも出ています。
You’re unattached.
なにやら店のアンジェロが、よけいな気を回したせいで、2人は微妙な雰囲気になります。
お互いに腹の探り合い(相手が、同性愛者か否か)をしばらくやったあげく、シャーロックには、ガールフレンドもいないし(”No, not really my area”と否定します)、かといってボーイフレンドもいない、ということが確認できたワトソンが言う一言。
You’re unattached.
独り身なんだな
”unattached”なんて、英語でビジネスメールをやりとりしている際に、送信したメールに文書を添付し忘れて、相手から「添付されてませんでしたよ」と指摘されるときぐらいしかみたことがありません。
“The document you mentioned was unattached. Can you email me gain with it?”
といった具合の恥ずかしいメールをいただくわけです。慌てて再度メール送信しないと。
誰とも付き合っていないことをどう表現するか、というのもなかなか面白いですね。
よく耳にするのは”single”ですよね。
この言葉で、結婚相手か彼氏/彼女にすぎないかはさておき、とにかくパートナーがいないことを表すようです。
”Are you single?”
”Yes, I’m single.”というセットです。
結婚しているのかどうかまで特定したい場合は、ダイレクトに
”Are you married?”と質問しないとなりません。
とはいえ、こんな質問ができる状況っていうのは、そこそこな感じまで行ってないと無理ですね。
ドラマなんかだと、バーで意気投合した2人がお互いのことについてあらましが把握できた時点で、ようやくどちらかが質問するわけですね。男の場合もあれば、女の場合もありますね。
付き合っている人がいるのか?と聞きたい場合、
”Are you seeing someone?”という表現もしばしば耳にします。
この”see someone”は「誰かに会う → 誰かと付き合う」という意味変化をしています。
これはあくまでも、付き合っている人がいるかどうかという点に絞って質問しています。
たとえば、女性の友人同士で、独身だとわかっている相手に対して、質問しているような場合は、
「誰か付き合っている人いるの?」という意味です。
この”Are you seeing~”と現在進行形になっているのが、いかにも、「最近付き合っている人がいるのかどうか」を確認している感じが出ていますね。
ところが、同じこのフレーズが、夫婦の間で交わされる質問だと、のっぴきならない話に激変します。
“Are you seeing someone?”
「浮気してるの?」という意味に変わります。
大体こういうときは、わなわなした声で質問していますね。真実がどちらかはさておき、質問している方は、もう浮気されてるかも、って思って質問していますからね。
Open her up.
シャーロックとワトソンが犯人を呼び寄せた場所に一台のタクシーが止まっています。
そこから二人とタクシーの逃走劇がドラマを盛り上げるわけです。
シャーロックは、ロンドンの町の隅々まで頭に入っているので、タクシーがある方向に行った場合、ここが一通で、ここが行き止まりなので左折しかなくて、みたいなことがわかります。
心因性で足を引きづっていたはずのワトソンも、なぜか杖なしでシャーロックとともに走り出します。
まんまと当のタクシーと鉢合わせできた、間に合った、さぁ、ドアを開けて犯人の顔を拝むのみだ、という瞬間に、ドアを開けろ、という際のセリフがこれ。
Open her up.
ドアを開けろ
ドイツ語やフランス語、スペイン語では、名詞が女性詞、男性詞、中性詞に分かれているようですが、英語にはその区別が消え去っています。
ただし、代名詞で受ける際には、いくつかその名残があるようで、乗り物は女性代名詞=sheで受けます。
船、鉄道、車などがそれにあたるようです。
最もよく耳にするのは、かのDeep Purpleの代表曲『Highway Star』ですね。
Oooh she‘s a killing machine.
と明らかに、”she”は”killing machine”などと、いっており、ご自慢の愛車のことだということがわかります。
1コーラス目の頭では↓のように歌い始めます。
Nobody gonna take my car.
しかし、2コーラス目ではすでに”car”が”girl”に変わっております。
Nobody gonna take my girl.
サビでは、
I love her. I need her. I seed her.
などとシャウトする始末です。
第二期の糊に乗ったDeep Purpleのパフォーマンスから。
ということで、シャーロックが、タクシーのドアを開けろ!というシーンは、
Open her up.
ということになる、というお話でした。
“Open the door.”なんて言うのかと思いますけど、そのあたり、”her”で自然なんですかね。勉強になりますわ。
p.s.
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