若手ジャズ・ギタリストおすすめベスト5

音楽

エレキ・ギターを使った音楽が好きです。

本稿では、冒頭でエレキ・ギターの現代に至る歴史をきわめて簡単に振り返ったのち、2019年現在の最新のおすすめ若手ジャズ・ギタリストを紹介したいと思います。

紹介するのは、今現在活躍している若手ジャズ・ギタリストの音楽で、中でもどんなジャンルの音楽が好きな方でも、おそらくは好きになるであろうなきわめてポピュラリティの高い楽曲を提供してくれている人たちに絞りました。

なので、「ジャズなんてわかんない」「ギターに特に思い入れがない」という方にこそ紹介したいミュージシャンたちです。

 

まず、エレキ・ギターの歴史をさらっと

ギターは16世紀初期に他の似た様な撥弦楽器から派生してスペインで生まれ18世紀の終わりごろに現在の6本弦でE-A-D-G-B-E’という調律になったといわれています。200年ちょっと経っている感じですね。

次に1930年頃になって、弦の振動を拾う「ピックアップ」が搭載され、それを電気信号に変換してアンプ(音の出る箱です)で増幅して大きな音量を出せる「エレキ・ギター」という変種を生みました。

そのおかげで、それまでの大衆音楽(ジャズバンド音楽等)において、どちらかというと「コード楽器」「リズム楽器」とした扱われていたエレキ・ギターは、トランペットやサックスといった、生音でもかなり大音量のでる楽器と同じく、「ソロ楽器」としてのポジションを獲得するようになりました。それによって、そのころ大衆音楽の王様であったジャズ音楽において、幾多の名ギタリストを生み出すに至ったわけです。

その後、大衆音楽のキングがロックやポップスに変わることで、ロック・ギタリストのスターが生まれ、現代に至るわけです。

とはいえ、ジャズ音楽が滅んでいないように、あえてロック・ギタリストではなく、ジャズ・ギタリストの道を選ぶ若者が今でも一定数存在しており、素晴らしいジャズ・ギター音楽を届けてくれているわけです。

以上です。まぁまぁ簡単ですね。

 

新進気鋭の若手ジャズ・ギタリストおすすめの5人

それでは早速、私がおすすめする若手ジャズ・ギタリストの5人を、そのイチオシ楽曲と合わせてご紹介します。

 

ジュリアン・レイジ

ジャズになじみのない方に、最もおすすめしたいのが、私が一番好きなジャズ・ギタリスト、ジュリアン・レイジです。

1987年生まれの現在31歳と、本日ご紹介するギタリストの中でも最年少です。

幼いころに、「child prodigy(神童)」と呼ばれたタイプのミュージシャンで、8歳の時点ですでに彼をテーマにしたドキュメンタリーフィルム『Jules』が製作されています。

 

また将来を嘱望され、12歳でグラミー賞のステージで演奏しています。

その後、バークリーを含む数々の音楽学校で学んだ後、2009年に21歳で『Sounding Point』でデビューします。キャリアまだ10年ですがリーダーアルバムだけですでに10枚リリースしています。

この人は、他のジャズ・ギタリストと違って、いつも同じエレキ・ギターを使って同じようなタイプの楽曲をやり続けるというタイプではなく、アコースティック・ギター(アンプを使わないギター)でジャズというより、ややフォークミュージック的な楽曲をやったりして、音楽性が多様な人です。

最近の彼は、ジャズではあまり使われることのない、FenderのTelecaster(Rolling StonesのKeith Richardsがよく弾いています)がお気に入りのようです。

Telecasterだと書きましたが、「Broadcasterのレプリカ」が正解でした。YouTubeに上がっていたラジオ番組で、自身の使用ギターについて質問され際、「Broadcasterのレプリカ」だと答えていました。

ギターマニア以外に興味はないでしょうが、「Broadcaster」とは、量産型ソリッドギターの第1号で現在にまで続く大定番ライン「Telecaster」が1950年のリリーズ時、まずは「Broadcaster」という名で発売されました。

しかし、この商標がすでに他社(Gretch)のスネアドラムに商標登録(「Broadkaster」、ただし読みは同じ)されていたため、1951年から「Telecaster」と名前を変えて発売されるようになりました。

「Broadcaster」の年代のものは音が良いらしいのですが、なにせ市場に出回っている玉数が少ないので、1950年代の本物は超ヴィンテージです。

Lageは、そのレプリカ(ビンテージギター再生するため、新品なのにわざと錆させたり、傷を入れたりといった「エイジング加工」をしたもの)を親しいルシアー(ギター製作者)に依頼して作ってもらったとのこと。↓のラジオ番組の中でうれしそうに語っています。

まぁ、このようなロックやカントリーのギタリストが持つようなソリッドギター(ボディに空洞がない、板そのまんまのもの)を使うのも、好きなギタリストにEric ClaptonやStevie Ray Vaughanなどの名が入っていることから、いわゆるベタなジャズ・ギタリストでないので、特別不自然でもありませんね。

ちなみにギターをはじめたくなったら、私が初めて母に買ってもらったような↓こんなセットがお手頃です。

テレキャスタータイプのギターは、もっとも量産型で安定したことをめざして、それまでのギター製作における様々な熟練を要する工程を簡略化した、とわれていますので、はじめるには、そんなに高いものでなくて全く構わないと思います。



慣れてくるとこんなのも欲しくなる。

 


さて、おすすめの一曲は

“In Heaven”

最新アルバム『Love Hurts(2019)』より




これは、David Lynchの『Eraserhead』のサウンドトラックの1曲で数々のロックミューシャンがカバーしています。このあたりがジャズ・ギタリストとはいっても、いかにも若い方らしい選曲ですね。

 

ギラッド・ヘクセルマン

次におすすめしたいジャズ・ギタリストがGilad Hekselmanです。

1983年イスラエル生まれ、9歳でギターをはじめ、18歳で高校を卒業後、奨学金を得てニューヨークの大学に入学します。

その後、2005年に22歳のときに、Gibsonというギターメーカー主催のギターコンペティション(Gibson Montreux International Guitar Competition)で優勝します。

翌2006年に、23歳の若さでデビューし、これまでに6枚のアルバムをリリースしています。キャリアも13年くらいになりますが、現在36歳とまだまだ若いギタリストの1人です。

楽曲はどれも繊細で、アレンジがとてもモダンで凝っていて、ポップスしか聞いてない耳にも大変なじみやすい傾向があります。かわいい感じの曲が多いです。

 

おすすめの一曲は

“Do Re Mi Fa Sol”

最新アルバム『Ask for Chaos(2018)』より

偶然ですが、↑の動画では、珍しくLageと同じく、Telecasterタイプのギターを使っています。ヘッド部分のロゴを見るとFender製ではないようですが...。

最近では、John Scofieldもテレキャスターを使うようになっていますし、Bill Frieselはずっとテレキャスターです。このようにソリッドギター(フルアコースティックエレキや、セミアコースティックエレキのようにあ中が空洞なものではなく、板そのまんまのソリッドがギターのこと)でジャズをやる人が少しづつ増えているような気がしないでもありません。カントリーではド定番のこのギター、ロック、ジャズとなんにでも合うとても良いギターですね。

私がはじめて買ったエレキギターは、Fender Japanのテレキャスタータイプでした。ギターといったら、まずはテレキャスター、というイメージがあったのでしょうね。

ともあれ、Gilad Hekselman、おすすめです。


 

マイク・モレノ

3人目のおすすめ新進ジャズ・ギタリストは、Mike Morenoです。

1978年アメリカ生まれの40歳。15歳で地元テキサスの芸術高校で音楽修行をはじめ、18歳で奨学金を得て、ニューヨークにあるジャズと現代音楽の大学に入学します。そこからさまざまなミュージシャンとのツアーやレコーディングに参加することになります。

著名なトランペット奏者Wynton Marsalisとも仕事をしており、上の2人に比べて「正統派ジャズ」の連中との関わりが深いジャズ・ギタリストだといえるかもしれません。

2007年に29歳でリーダーアルバムをリリースした後、これまで6枚のアルバムをリリースしています。その他サイドマンとして膨大なアルバムに参加しており、正統派ジャズメンからひっぱりだこと言っていいでしょう。

音色がマイルドでとても耳にやさしく、ロック・ギターのギャンギャンしたサウンドが苦手な人にはとてもマッチする、現代的なギタリストです。

 

おすすめの一曲は “The Spinning Wheel”

アルバム『Another Way(2012)』より



 


 

ジョナサン・クライスバーグ

4人目のおすすめジャズ・ギタリストは、Jonathan Kreisberg。

1972年ニューヨーク生まれで現在46歳と、↑の3人より10歳くらい上の世代になりますが、その音楽的世界観や知名度の具合から、若手ジャズ・ギタリストに入れていいのではないかと思います(中堅・ベテランは50歳、60歳以上の大御所になりますので)。

マイアミ大学を卒業後、故郷のニューヨークに戻りミューシャンとしてのキャリアをスタートしました。その後、2002年に初のリーダーアルバム『Troioing』でデビューし、これまでに10作品を世に送り出しています。

デビューアルバムから追いかけてきましたが、個人的には、ギター1本でオーバーダビングなしで、「千手観音」的でありながら、なおかつ静謐さを漂わせる『One(2013)』が好きで、よく聞きます。

不思議なのですが、このアルバムは、集中して作業に取り組みたいときでも、夜就寝前の読書で眠りに落ちたいときでも、どちらにもマッチするアルバムだと感じています。

 

おすすめの1曲は

“Canto De Ossanha”

アルバム『One(2013)』より



 

カート・ローズウィンケル

最後のおすすめ若手ジャズ・ギタリストは、Kurt Rosenwinkelです。

1970年にフィラデルフィアで生まれ、バークリー音大に入学後2年在籍し、学業途中で、Gary Burton(ヴィブラフォン奏者)のツアーに誘われ、プロとしてのキャリアをスタート。現在48歳と、今回紹介するジャズ・ギタリストの中の最年長です。

おすすめ若手ジャズ・ギタリストの1人にKurt Rosenwinkelを入れたのには訳があります。1996年に『East Coast Love affair』でデビューし、その前の世代のスター・ジャズ・ギタリスト、Larry Carton(71歳)、John Scofield(67歳)、Pat Metheny(64歳)といった人と、Julian Lage(31歳)の世代とのギャップを埋めるというか、間をつなぐキーパーソンとなっているからです。

ジャズ・ギタリストは、上にあげた3人に代表されるような、いわゆる「フュージョン系」ギタリストが長らく市場に君臨し、その後続が出なかったような感じでした。

年齢差を見てもベテラン最年少のPat Methenyと若手最年長のKurt Rosenwinkelには、15歳以上の差が開いています。まるまる2世代くらい断絶があるような感じです。

そのギャップを埋めたのが、ジャズ・ギタリスト界に久々に表れたスター・ギタリスト、Kurt Rosenwinkelだったというわけです。

彼を見出して、プロになる手助けをしたGary Burtonは、後にJulian Lageにも声がけし、ジャズ界での確固としたポジションを築くお手伝いをしたようなところがあります。

どこの世界にも、Burtonのような「接着剤」的な役割をする人がいるわけですね。

Miles Davisもそういう意味では、John MacLaughlin、Mike Stern、John Scofield等を一流ギタリストに引き上げた偉大な「接着剤」の1人でした。

おすすめの1曲は

“Heartcore”

アルバム『Heartcore(2003)』より

 

ここにご紹介した、おすすめ若手ジャズ・ギタリストの作品は、どれも「むずかしいジャズ」ではなく、「現代のポピュラー音楽」を無心に追及している人たちです。

そして、たまたまそのメインの楽器として「エレキ・ギター」が選ばれているといった感じですので、ジャズへの拒絶反応から、食わず嫌いをしている方は、もったいないので、是非一度聞いてみることをおすすめします。

Amazonプライムや、Spotifyなど、主要な音楽配信サービスであれば、彼らのアルバムが楽しめます。私はAmazonプライムで十分楽しめてます。

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Posted by yaozo