イギリス英語とアメリカ英語

イギリス英語

英語と米語について考えてみました。

 

ブログやツイッターなどで、イギリス英語とアメリカ英語の違いについて書いている方がたくさんいらっしゃいますが、現地での発見など、生の体験から得た情報も数多く、読んで楽しく、また大変勉強になります。

 

で、英語の専門家はこの件について「何を」「どのように」考えているのか確認しようと、いつものとおり堀田隆一先生の情報にあたってみました。

 

以前『英語の「なぜ?」に答える はじめての英語史(2016)』を紹介したことがありますが、堀田先生の著書にはもう1つ『英語史で解きほぐす英語の誤解―納得して英語を学ぶために(2011) 』というものがあります。どちらも、先生の日頃のブログ『hellog』の投稿をもとに書かれているものです。



ブログ内に『英語史で解きほぐす~』のコンパニオンページがありますので、この投稿中で中身を深堀したくなった方は、書籍買わなくても取り急ぎ↓のブログで書籍の関連項目の最新投稿文が読めます。

『英語史で解きほぐす英語の誤解』のページ

 

該当部分は、以下のページです。

American English or British English?

 

英米の英語クイズとその答え

まずは、学校英語でも習ってきたような英米の単語や言い回しの違いが、65問のクイズになってます。

ネタ帳にどうぞ。

英語と米語の違いクイズ(問題と答え)

クイズの主なカテゴリーは↓のような構成です。

⇒fall/autumn, cell phone/mobile phone, apartment/flat 等の単語そのもののが違う語のカテゴリー

⇒pants:ズボン/下着 等の同字異義語のカテゴリー

⇒ask : /ɑ:sk/  /æsk/ 等の発音の違う語のカテゴリー

⇒center/centre 等綴りの違う語のカテゴリー

 

いかにもイギリス英語、いかにもアメリカ英語の単語

その後、複数のコーパスを使って、2つの英語を対比させた「それぞれの英語ならではの単語」の抽出が試みられています。

検索結果として出てきたのは、

⇒特徴的な綴り字([color][colour]の類)

⇒政治的用語(Pariment, President、首相や大統領の名前等)

⇒文法的用語(whilst等)

といったところです。

 

綴字の英米差は大きいか小さいか?

コーパスでの分析結果にもありましたが、[color/colour]等の2国間の綴り違いについては、大学の授業で自由レポートを提出させると、多くの学生がとりあげる人気テーマだそうです。

とはいえ、とりわけ話題にされることの多いこの綴字の英米差について堀田先生は、↓のように言っています。なるほど、という感じです。

 

むしろ,地理的にもおおいに離れており,枝分かれして400年近くもの歳月が流れているにもかかわらず,これだけしか差がないということは驚きである.英米差はとかく強調されがちだが,実際には差は僅少であるという見方は,[2009-12-21-1]で触れた Krapp に顕著である.Krapp はアメリカ英語の歴史をイギリス英語の歴史から独立させて記述することをよしとしない態度を一貫してとっている.綴字の差についても「みんな騒ぎすぎだ」という意見のようである.

 

102人の清教徒(非国教徒ですから少数派です)である「ピルグリム・ファーザーズ」がメイフラワー号でアメリカ大陸のプリマスに到着したのが、1620年だということですから、ことし丁ちょうど400年目ということですか。

TV番組やYouTubeなどでも、イギリス人とアメリカ人が双方の言葉のわからないところや、発音の違い、言い回しの違いなどを言い合っては、笑っているシーンをよく見ますが、そんなに面白がるほど差があるように感じません。ちゃんと通じていますし。

たいていの場合は、『アメリカではそういわないよなぁ』『へんなのぉ~』といったゆるい感じです。まぁ、トリビアルな程度といっていいでしょう。

どちらかといえば、↑の場合、イギリス人の方は標準英語(容認発音=RP)で話しているという前提ですが、それよりは、イギリス国内でスコットランドの地方都市の方言と、イングランドの地方都市の方言の人が二人で話す方が通じないんじゃないでしょうか。

あえていうなら、スエーデン人とデンマークは、2000年になって橋が架かる前は船でないと行き来ができなかったとはいえ、英米の間の距離に比べると、ほとんどくっついたといってよいような国ですが、英米人同士ほどには意思疎通できないのではないでしょうか。陸続きのドイツとオーストリアはどうなのでしょう。

色々考えると、堀田先生のいうとおり、英米語の差異は奇跡的に小さい程度だとも考えられます。

 

またこのブロックでは、「後々の役にたつかも」ということで、英米での綴字違いの単語をリストにしてくれてあります。今数えたら、全部で140組以上ありました。専門家ってのはすごいですね。

 


 

文法の英米差

先生はここで、英米英語の文法上の差の中で主要なものを10点あげてくれています。

長くなるので、そこから半分の5点をつまみ考察を加えてみました。

 

①gotten/go

イギリスの場合、「現在形/過去形/過去分詞形」で「get/got/got」なのに対し、アメリカでは「get/got/gotten」となるという話。

“forget”は言うに及ばず、英米で動詞変化が異なる語には、”dream(英:deramt、米:dreamt)”とか”learn”などもあります。

 

②集合名詞の数の一致

teamaudienceboardcommitteegovernmentthe public などの「集合名詞」を動詞でどう受けるかの問題。

イギリス英語では形態が単数でも意味が複数であれば複数扱いにする。

例) The Government have been considering further tax cuts.

 

一方アメリカ英語では、単数の語なのであくまでも単数扱い

例)The Government has been considering further tax cuts.

 

これは私の場合、先生の説明を読むまでは、そのときの気分や(メールや電話の)相手に合わせる形で、単数扱いにしたり、複数扱いにしたりしていましたが、実は英米の違いだったわけです。

 

③insist, recommend, suggestを受けるthat節の違い

insist, recommend, suggestなどの動詞の後に、that節で受けますが、その節が「仮定法(アメリカ:動詞が原形)」か「should使用(イギリス)」かの違いがあり、↓のように整理されています。

 

⇒アメリカ: They insist that she accept the offer. (イギリスでも増えている)

⇒イギリス: They insist that she should accept the offer. (アメリカでも容認されつつある)

⇒イギリス(口語): They insist that she accepts the offer. (アメリカでは不使用)

 

これも、若いころに習った覚えがありますが(専攻が英米文学だったので)、どっちがどっちだか忘れてました。

ただし、最後のイギリスの口語で普通に「三単現のs」で受ける、というのは先生の指摘ではじめて知りました。

イギリスのドラマなんかで耳にしていた可能性が高いのですが、頭で認識していないので、耳でも受け付けていなかったのでしょう。聞いた記憶がありませんでした。知った後ドラマを見ると、確かに言っている人がいました。

Netflixの場合、字幕版が日本語に限定されているのではなく、英語に(他の言語にも)変えられますので、『おやっ』と思った際は、リワインドして字幕を英語に変更して確認するようにしています。便利ですね。

 

そういえば、BBCのカンバーバッチ版『Sherlock』で、コックニー訛りで文法上間違った言い回しを使う依頼者の言葉をいちいち正統な英語に訂正しているシーンがありました。ホームズあたりからすれば、↑のように”she accepts” なんて言ったら、”she should accept” と訂正されそうですが。

 

④アメリカ英語でlikeを接続詞として使用。イギリス英語だと as ifに。

⇒アメリカ: It seems like we’ve made another mistake. (イギリスでは非標準的用法)

⇒イギリス: It seems as if we’ve made another mistake.

 

これなどは、学校で ”It seems like~” で「まるで~のようだ」というイディオム表現だとならったので、てっきりどの国でもOKかと思っていました。

“seems as if” も習いましたが、単に ”seems like” のやや堅苦しいバージョンだと、誤解していましたが、英米の違いだったわけですね。

でも、↑でも「非標準」と書いてあるように、若いイギリス人なんかは、平気で“It seems like~” とか言ってそうですね。それに、若いイギリス人は必要以上に “like” って使うみたいですからね(生では若い人と打ち解けた会話をしたことがないので、あくまでもドラマ情報)。

ちなみに、私のLanguage Exchangeの相手であるイギリス人の方と、このあたりの話をする場合があるのですが、その方はアメリカ在住も長かったり、英米以外の国でも長く暮らしていたことがあったりするので、言葉の微妙な言い回しに関して「この点イギリスではどうなの?」といった質問をしても、あまり自信を持って回答してくれません。

大体「ごめんなさいねぇ。そういった点はちょっと私の場合は、なんとも正確なことが言えないのよねぇ。『海外(イギリス人だから海外ですね)』が長かったんでねぇ」などと心もとない返事がきます。

まぁ、これも、それくらいアメリカ英語の世界中の英語への影響力が強いという証左の1つかと思います。

⑤現在完了形と過去形。アメリカ英語ではしばしば過去形が代用される点。

⇒アメリカ: Dolly just finished her homework.

⇒イギリス: Dolly has just finished her homework.

 

「今終わったばかり」感を表現する際、イギリス英語では、「have+過去分詞」の現在完了形のルールがちゃんと守られているが、アメリカでは「単純過去」と「現在完了」を区別していないという話です。

これなどは文例のように、”just” を加えれば「今まさに完了した」感が出るので、「プラクティカル」な方に傾きがちなアメリカ英語では、省エネ的見地から「現在完了形」を使わないことになったと察せられます。

 

「過去完了形」の場合なら、「過去のある時点で、それが完了していたのかどうか」を表現する必要があるわけですから、「単純過去」にするとそのニュアンスが全然出せませんので、「過去完了形」を使う必然性があります。

 

しかし「現在完了」なら、実際「今のことを、今話している」のだから、「終わってるかどうかさえわかればよい」という感じなので、今話している時点で「過去形」を使えば、今そのことが終わっている(現在完了している)ことが伝わるので、それでOKなような気もします。

“lose” を例にとると、

⇒ イギリス英語 ”I have lost my bag.”

⇒ アメリカ英語 ”I lost my bag.”

となり、イギリス英語の場合は、「(過去に)バッグをなくした」という状態を、今現在持っている(have)なので、まだ見つかっていないのは、明白ですが、

アメリカ英語だと、「(過去に)バッグなくした」事実は同じでも、まだ見つかっていないのか、今はは見つかったのかについては、何か言葉を足さないと明白ではありません。

だから、まだ見つかっていない場合は、

”I lost my bag, and I’m still looking for it.”などとし、

もう見つかった場合は、

”I lost my bag, and now I got it back.”的なことを言わなければなりません。

あるいは、”I lost my bag.” といった後に、相手の「でどうなったの?」というレスポンスが帰ってきて当然という言語空間に住んでいるとも考えられます。

つまり、イギリスは、できるだけワンウェイで明瞭に事実を伝えることを目指しているのに対して、アメリカ英語は、よりインタラクティブだということです。

面白いので、ついつい長くなりました。

まだ終わっていませんが、一度切ります。

 

 

おまけ:イギリス英語学習について

英語学習については、高額なスクールに通う前に、かなり計画的に学習誘導してくれるような、自学ツールでコツコツやるのも一つの手ではないでしょうか。 ちなみに、うちの中一の娘はこれで英語頑張ってます。

 

また、イギリス人が普段の生活で話している英語を実際に「手加減なし」で聴き取って理解したい、という方には、「生のイギリス英語を現地の生録音」を使ってしっかりと「精聴」しよう、というコンセプトで作られている本が↓の2冊がおすすめです。

小川直樹さんと川合良平さんというに2人による、どちらかというと文化人類学的なフィールドワーク的アプローチの「現地語採取」に近い感じで、今のイギリス英語(話し言葉)を記録し、それを文字に起こし、そして解説する、という極めて面白い企画です。

まぁ、もちろん一発目は、音声だけ聞いて自分がどれくらい聴き取れるかやってみるんですが、インタビュアーがペラペラなので、対象のイギリス人もそりゃもう普通に、言葉につまったり、省略したり、訛ったりして、全く普段通りに話してくるので、わからない箇所が多いです。それを、しっかり聴き取れるプロが、文字に起こしてくれてるわけなので、「へ~なるほど、そうやっていってるのか。わかんなかったよ」というAHA体験が味わえます。

私にとっては、大変貴重なイギリス語学習の教材です。

RedとBlueがあります。



 

また、私も大好きな「シャーロック(カンバーバッチ版)」でイギリス英語にしびれた、という人も多いと思うのですが、ファンの方にもそうでない方にも、マンガでバイリンガルでシャーロックのシーズン1の3作を再現してくれている↓の3冊が超お勧めです。

大昔、ピーナッツ(スヌーピー)のバイリンガルマンガが好きで一所懸命読んで勉強したことを思い出す。

今考えると、子供用とはいえ、学校では習わない結構難しい表現が多くて苦労しました。というより、子供用だからこそ、我々が学校で習わないような「生っぽい」英語が多いので、知らない表現が多かったですね。

とにかくマンガで勉強というのは、現代の学習方法としては最も優れたものの1つですからね。

気になったセリフ回しがあって、対訳だけでは物足りない方は、そこだけネットサーフィンして徹底的に深堀りすると言った学習方法も楽しいですね。私は結構やりました。発見が多いですよ。

個人的には、「シャーロック」はシーズン1が最高の出来栄えだと思っているので、この3作だけでいいのではないかと思います。あくまで、個人的にはですが。

寝ころびながらのイギリス英語学習、いかがでしょうかね。



 

 

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Posted by yaozo