デ・ニーロが韓国自動車会社の広告に出演!
yaozoです。
2019年の広告の祭典「カンヌライオンズ」も終わり、なんとなくAdAgeをつらつらと眺めていました。
すると7月3日付の投稿で、かのロバート・デ・ニーロが韓国の自動車メーカー「KIA」のヨーロッパ向けのTV広告に出演すると知らせています。
https://adage.com/creativity/work/kia-hipster/2181241
デ・ニーロといえば我々50代の映画ファンは言うに及ばず、若い映画ファンにも人気の高い押しも押されもせぬハリウッド・スターです。
KIAは、「起亜自動車」と書くようで、「現代」自動車」に次ぐ韓国第2位の自動車メーカーで、世界では第8位とのこと。
今では現代自動車参加の企業になっているようです。私は自動車の免許も持ってないくらいで、全くそのあたりの事情に疎いのですが、結構な規模のメーカーのようですね。
その電機自動車「e-Niro」のスポットCMにかのロバート・デ・ニーロが出演しているわけです。
エージェンシーは現代グループのハウスエージェンシーInnocean Worldwide。Sonyヨーロッパをクライアントとして獲得し、Braviaの欧州キャンペーンを担当しているようで、そこそこ力のあるエージェンシーみたいです。それはされおき、デ・ニーロ問題です。
KiaのNiroのCM:さえないデ・ニーロ
https://www.youtube.com/watch?v=TSejZd8adOo
このバージョンでは、デ・ニーロが、なんだかさえない恰好でスタジオに表れ、監督らしき人物から「なんでそんな恰好?」と言われ「台本に、トレンディバージョンのデ・ニーロって書いてあったんで」と説明します。
すると監督が
「いやいや、デ・ニーロじゃなくて、ザ・ニーロっていう車なんですよ。電気自動車やハイブリッドの車なんです」
デ・ニーロは「ごめん、じゃあ着替えて戻りますわ」と気弱。
なんでこんなやぼったいデ・ニーロをやんなきゃならんのか、全く演出意図がわかりません。
社内でピザを食べるデ・ニーロ
次は車内のインテリアがあまりに心地よいので、出たくないほど素晴らしい、ということを訴求するのに、スタジオにデリバリーしてもらったピザを、デ・ニーロが車内から出ずに受け取る、というもの。
広いトランク
最後は、トランクが広いという点を訴求するために、デ・ニーロのセリフがやまびこ(エコー)となって返ってくる、というもの。
正直どのCMもせっかくデ・ニーロを使っているのに、マッチするようなグレイト・アイデアが見られませんし、全く面白くありません。
ブランド名の「Niro」は命名する時点で、ロバート・デ・ニーロをCMに起用することを決めていたのかどうかわかりません。
このCMの唯一の頼みの綱が、商品名とデ・ニーロのビッグ・ネーム、ということで、なにやら手抜きともとれるようなクオリティです。
デ・ニーロファンとしてはなんとも忸怩たる思いがします。
こんなんでいいのでしょうか?
ベーグルのCMにも出ちゃうデ・ニーロ
はたまた、デ・ニーロはトレードマークともいえるマフィアのボス役で、イギリスのワーバートンという会社のベーグルのCMに出ています。
YouTubeもには2019年5月に投稿されていたので、最新のCMのようです。
やれやれ。
なにやら、貯金をくいつぶしてつないでいるシニアにしか見えなくなってきます。
本当のところは全く知りませんが、功成り名遂げた世界的大俳優が、ドイツ、日本、イタリア以外の国の自動車のCMに出たり、いわんやベーグルのCMにでたり、なんてことは、私の常識では到底受け入れがたいものがあります。
そもそもデ・ニーロに依頼してよいのか、という問題
これ使ってる広告主のほうは、世界に対して良きことをやろうとしてやってるんでしょうかね。
私にはそうは思えません。
デ・ニーロというのは、20世紀から21世紀にかけて映画芸術において極めて特殊かつ多大な貢献を人類に提供した俳優なわけです。
こんなCM2~3本出たからと言って、その事実は1ミリも損なうことはありません。
とはいえ、そういった大芸術家に対しては、マーケッターの側も相応の配慮をすべきだと思います。
そりゃデ・ニーロ使えば、インパクトがあるでしょう。印象にも残りやすいでしょう。消費販売への好影響も期待できるでしょう。
でも、この人材はそのようなことをするために芸術の世界に身を置いているのでしょうか?
そんな簡単なこともわからず、一体全体何様のつもりで、オファーを出したのでしょう。
無論、引き受けたのはデ・ニーロ本人なのですから、最終的な責任は本人にあります。
これくらいの俳優が、おそらく事前の完璧なプロセス管理のもと、ほぼ1日かそこらで何バージョンが撮って、「はい、OK」で、広告主のえらいさんとニコパチ写真を撮って何億だか何十億だかもらえるんであれば、易きに流れるのが人間ですから、これに何か特別な事情(家族関係で資金が必要だったとか、、、)あったりすれば、OKしたりする場合もあるでしょう。
でも、それはまわりの方が節度を持って、自重するというのが筋ではないでしょうか。
これから彼の出演作を見る際には、どうしても中級車に乗り込んでセールスしている彼を思い浮かべてしまうでしょう。
ドコモのブルース・ウィルスやカップヌードルのシュワルツネッガーならまだわからんでもないですがね。そもそもユーモア的フレイバーも持ち味になっているわけですから彼らの場合。
で、デ・ニーロとなるとどうでしょう。もちろん一時と違って意欲的にコメデイ・タッチの作品にもトライして、気難しい癖のある俳優、という領域から脱して幅を広げようとしているのもわかります。
それを言い出せば、マーロン・ブランドだって、「スーパーマン(1978)」で世界一ギャラの高い俳優になったことがありますが、これはブランドの息子さんがスーパーマンのファンなので、出たわけです。ちなみに、「ゴッドファーザー」では、すでに大スターにもかかわらずオーディションを受けてます。
しつこいですが、デ・ニーロのこのCM2シリーズについては、がっかりとしかいいようがありません。
別に誰だっていいじゃないですか、こんなの。●●や■■さんでも(伏字部分は各自で埋めてください)。
一体どんな事情や経緯があってこんなことになっているのでしょう。
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